第二話 未体験の知識

シルヴィーは夕食をとりながら、思考を働かせていた。
「(正直、あの武の方が上手い言い訳を考えられるとは思いませんし、何よりフェルナンド様を説き伏せるなんて不可能…一体何故、誰が、都合良い話を作り上げて周りに信じ込ませたの…?)」
「それにしても本当におめでたいですわ」
「ああ。とうとう我一族は明日、王族に組みする事になるのだな。決断力と行動力の優れたフェルナンド殿に感謝だ」
「…はい?」
思案を止め、シルヴィーは妙に機嫌が良い両親へ視線を移した。
それに、先程から父の「フェルナンド『殿』」という発言も気になっている。
「先程からお二人共、随分と機嫌が良いようですが…私がいない間に何かあったのですか?」
──そんな困惑した娘の言葉に父はにんまりと笑いながら言った。
「ハハハッ!とぼけおって!フェルナンド殿との婚礼式が明日に決まったではないか!喜ばなくてどうする?」
「なっ!?」
シルヴィーは立ち上がり、叫んだ。
「そんなの聞いていませんよ?!」
「聞いていない?…まあ、いいじゃないか。聞いてないにしても、明日私達は王家になるのだ」
「うふふ。ルイス、私、欲しい宝石がありますの」
「ああ、良いとも!好きなように買いなさい!ハハハッ!」

…なんだ、この状況は…

「女の子を産んだかいがありましたわぁ」
「王妃の父親ともなれば発言力も強まる。政治に口を出す事も出来るぞ」
「まずはドレスを新調致しましょう」
「いずれは我一族が」
「そうだわ、サロンも開きませんとね。たっぷりと皆さんに今までの御礼をしませんと」
「国を動かす事になる」

──嗚呼、やはり鳥籠の雛は逃げ出せない。

シルヴィーの藍色の瞳が失望に揺れた。
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