第二話 未体験の知識
「ここをまっすぐ行ったら、すぐに国境だへ」
「はい。ありがとうございました」
丘を離れ、広大な森をサルゴンの案内で抜けると、見慣れた知の国が広がっていた。馬車に乗れそうな小さな町も見える。
──随分と遠くまで歩いたかと思っていたが、そこまで時間もかからず国境に到着したという事は、意外に少ししか進んでいなかったようだ。
シルヴィーは向き直り、改めてサルゴンを見上げた。
「あの、サルゴン様」
──短い時間だったが、サルゴンに会えた。
「…会えて、良かったです」
「……うん」
「相談できて、良かったです」
「うん」
「もう」
「………」
本来ならば、会話なんて出来ないはずだった。
出会う事はないはずだった。
けれども、出会ってしまった。出会う事が出来た。沢山の事、そして自分自身の思いを知る事が出来た。
だから──
「もう心残りはありません」
シルヴィーは満面の笑みを浮かべた。
「これで心置きなくフェルナンド様の元へ嫁ぎ、知国の王妃としての役目を全うする事が出来ます。ありがとうございました」
──嘘吐き