第二話 未体験の知識
「雛はな、空を飛ぶことができっぺ」
「へ?」
俯いてしまっていたシルヴィーが顔を上げると、サルゴンは空を見上げていた。
「昔いただよ。水田用に育ててる鴨の雛がな、空を飛んだんよ。大体うちで育ててる鳥──飼われてる家禽てな、大きく肉厚に育つように改良されてるけぇ。だから体が重くて飛べなくなるんよ。でもな、その雛はずっと羽をバタバタさせて、ある日高く飛んだっぺよ」
「……」
「シルヴィー。雛はな、無限の可能性を持った未熟な種けぇ。種からは何が生えるかはわかんねぇ。でも──信じて育てたら、綺麗な綺麗な花が咲くかもしれんべや」
太陽が眩しい。
シルヴィーは見上げた目を細めて、サルゴンを見詰め続ける。
「自分を…信じて、ですか」
「んだ。飛んだ雛けぇ、自分を信じて…勇気を出して一歩を踏み出したけ」
サルゴンは頷き立ち上がると、跳ね回る雛に近付いて、手に乗せた。
シルヴィーもそれに続いてサルゴンの横に立つ。
手を覗き込みと、持ち上げられた雛はキョロキョロと辺りを見回し興奮したように鳴いている。
「誰でも、体験したことね事は怖いべや。でも」
サルゴンが雛を一撫でし、そっとゴンの体の上に乗せると、雛は突然走り始めた。
「それを乗り越えば、新しい風景が見えるけぇ」
雛は小さな羽根を必死にばたつかせて、ゴンの頭を蹴り上げ、空中に飛び出した。
──辺りの時が一瞬止まり、風が頬を撫ぜる。
雛は
「ビッ!!」
見事に落下した。
「おっとと…」
一瞬にして落下した雛をサルゴンがナイスキャッチ。予測していたのか、クスリと笑った。
「ま、最初は失敗するべな」
「ピッ、ピッ!!」
『もう一度!!』と言うかのように、雛は瞳を光らせた。
サルゴンは笑顔のまま、ゴンの上に雛を再び下ろした。
「…また落ちますよ?」
「ビッ!!」
シルヴィーがツッコミをいれるそばから、雛は見事な落下を見せてくれた。
「ほら…言わんこっちゃないです」
「だいじだいじ」
サルゴンは再び雛を定位置に置いた。
「ビッ!!」
「何度だって受け止めてあげるでなぁ」
コロンと雛が手に落ちると、サルゴンは視線をシルヴィーに移した。
「だいじへ。いつだって、どんな時だって…受け止めるべよ」
太陽に照らされたサルゴンは微笑む。シルヴィーはそんな彼から──目が離せなかった。
「へ?」
俯いてしまっていたシルヴィーが顔を上げると、サルゴンは空を見上げていた。
「昔いただよ。水田用に育ててる鴨の雛がな、空を飛んだんよ。大体うちで育ててる鳥──飼われてる家禽てな、大きく肉厚に育つように改良されてるけぇ。だから体が重くて飛べなくなるんよ。でもな、その雛はずっと羽をバタバタさせて、ある日高く飛んだっぺよ」
「……」
「シルヴィー。雛はな、無限の可能性を持った未熟な種けぇ。種からは何が生えるかはわかんねぇ。でも──信じて育てたら、綺麗な綺麗な花が咲くかもしれんべや」
太陽が眩しい。
シルヴィーは見上げた目を細めて、サルゴンを見詰め続ける。
「自分を…信じて、ですか」
「んだ。飛んだ雛けぇ、自分を信じて…勇気を出して一歩を踏み出したけ」
サルゴンは頷き立ち上がると、跳ね回る雛に近付いて、手に乗せた。
シルヴィーもそれに続いてサルゴンの横に立つ。
手を覗き込みと、持ち上げられた雛はキョロキョロと辺りを見回し興奮したように鳴いている。
「誰でも、体験したことね事は怖いべや。でも」
サルゴンが雛を一撫でし、そっとゴンの体の上に乗せると、雛は突然走り始めた。
「それを乗り越えば、新しい風景が見えるけぇ」
雛は小さな羽根を必死にばたつかせて、ゴンの頭を蹴り上げ、空中に飛び出した。
──辺りの時が一瞬止まり、風が頬を撫ぜる。
雛は
「ビッ!!」
見事に落下した。
「おっとと…」
一瞬にして落下した雛をサルゴンがナイスキャッチ。予測していたのか、クスリと笑った。
「ま、最初は失敗するべな」
「ピッ、ピッ!!」
『もう一度!!』と言うかのように、雛は瞳を光らせた。
サルゴンは笑顔のまま、ゴンの上に雛を再び下ろした。
「…また落ちますよ?」
「ビッ!!」
シルヴィーがツッコミをいれるそばから、雛は見事な落下を見せてくれた。
「ほら…言わんこっちゃないです」
「だいじだいじ」
サルゴンは再び雛を定位置に置いた。
「ビッ!!」
「何度だって受け止めてあげるでなぁ」
コロンと雛が手に落ちると、サルゴンは視線をシルヴィーに移した。
「だいじへ。いつだって、どんな時だって…受け止めるべよ」
太陽に照らされたサルゴンは微笑む。シルヴィーはそんな彼から──目が離せなかった。