Esperanza Leon(完結)
レオとリーフは知城に入り、定例会議を行う部屋までやってきた。予定していた時間よりも遅れてしまったが、とりあえずは許容範囲だろう。
部屋に入ると城主のナルセスと既に到着していた工王ヒイラギの視線が二人に刺さった。
農王ラルゴもいる事はいるが椅子にもたれて、寝ている。
「遅いぞ、時間厳守だと伝えたはずだ」
何かの資料を手にしたナルセスは鋭い視線でレオとリーフを交互に睨みつけた…が、いつもの事なので気にしなくて良いだろう。
「すまん…」
「ごっめーん☆僕の可愛さに免じて許してよー」
リーフはペロリと舌を出しながら首を傾げる。
…普通、男がやると気持ち悪く感じてしまうのだが、リーフがやると可愛く見えてしまうのが不思議だ。
「と、いうか…リーフ、何故女の格好をしているのだ?……全くもって王としての自覚を感じん、けしからん事だ。さっさと脱げ」
「えー、ナルセスって大胆だねぇ~脱げ!だなんて…僕まだ心の準備できてないよぉ」
リーフは「きゃー」とワザとらしく声を出すと、レオの背に隠れた。
ナルセスはそのふざけた様子に呆れて溜息を吐いている。
「ま、ええやん。着替えないんやろ?それにめちゃ似合ってるし、許してあげようや」
「ラルゴ~」
寝ていると思っていたラルゴがのっそりと身を起こす。
目が元々細いので、たまに寝ているのか起きているのか分からない時がある…今回もそうだ。
「ありがとー、褒めてくれるのラルゴとレオだけだよぉ~」
「はいはいはいはい」
リーフはにっこにこと笑いながらラルゴの膝に乗って頬にキスをした。
拒否するのが面倒なのか、まんざらでもないのか、ラルゴはそれを受ける。
その様子にナルセスはさらに深い溜息を吐いた。
「…はぁ…全く、レオもリーフを甘やかすな。最近さらに変な癖が悪化しているんだぞ?今はまだ許されるが、将来は…」
「すまない…」
言葉を最後まで聞かず、レオは席についた。
その声はボソボソとしていて、聴き取り難い。
レオを除いた一同は一瞬顔を見合わせた。
「…今日は一段と暗くないか…?」
ナルセスがヒソリと呟く。
すると自然に残りの四人がナルセスの近くへと寄った。
「レオの周りだけ空気重いな…何?また誰か殴ったんか?」
「いや、多分…さっきリザさんと喧嘩してたから…僕を女の子と勘違いしてさ」
「リザ……ああ、いつもレオの身辺警備をしている女性か……ふむ…特に信頼していたようだからな」
「…たくっ、んな家臣一人と喧嘩したくらいで…バカしゃねぇの」
ヒイラギは一人だけ呆れたように溜息を吐くと、リーフが珍しくキッと目を鋭くさせた。
「酷い!元を辿ればヒイラギがレオをたぶらかしたのが悪いのに!!」
「たぶらかす…?」
「ちょっ、ま…!!」
「そーそー聞いてよ!ヒイラギったらね、創国であんな事やそんな事をして、それでレオをかくかくしかじかな感じで、それでリザさんが勘違いしちゃったんだ!」
リーフはいつもののんびりとした口調では考えられない位早口でヒイラギの行いを暴露した。
早口にもかかわらず聴き取りやすいのが不思議だ。
それを聞いたナルセスとラルゴはジトリとした視線をヒイラギに向ける。
「へー…良い御身分やなぁ…」
「……ヒイラギ、お前と言う奴は…!!」
皆から非難を受けたヒイラギは舌打ちをしてからそっぽを向いた。
「(…そうだ…)」
レオは皆の会話をぼーっと聞きながら、先程ヒイラギが言っていた事について考えていた。
「(…リザは家臣の一人。信用できる家臣は彼女の他にも何人かいる。だから一人くらいいなくなっても…)」
元々敵は数え切れないほどいるのだ。一人くらい敵が増えた所で、味方が減った所で…状況は変わらない。
変わらないはず…はずなのに…
「ソの胸のイタミは不治のやまいだヨ」
「えっ…」
突然耳元で声がしたと思うと、周りが自分を残して真っ暗になっている事に気付いた。
今まで隣にいたリーフもヒイラギもナルセスもラルゴもいない。
いつぞやか見た、漆黒の空間。
どこかにとり残されたかのように浮いている椅子。
そこに座る自分。
そして目の前に、
「離れてワかル、でも、理解デきないトってもとってモ厄介な病気よ、それ」
「…女神」
空間にぽっかりと浮かぶ光の如く、レオの前に立つ女神はニッコリ笑った。
久方ぶりに見る女神は白い装束を着ている。
腕と足が露出しているが…頭に乗せた帽子に医者の印が付いているので、恐らく女神お得意の『異世界で手に入れた医療関係の服』なのだろう。
「そ、今ワタシはせくしーナースさん☆どんな病気もコの注射でタチマチ治しちゃうヨ♪」
女神は手に持った透明の…よく分からない器具から水らしき物を出した。
レオの頭では分からないが、ナルセスやヒイラギなら今の女神の持っている物や服装の事を理解出来るだろう。
だが、残念ながらレオには分からない。
女神もそれは百の承知なのか、レオの訝しげな視線も気にせず続けた。
「で・も・ネ。アナタを治すのはムリ。人によっては…というかアナタイガイなら治せるんだけどぉ、アナタはムリ。だって不治の病だもん」
「…不治…ということは、死ぬのか?」
「きゃははは、死ぬわヨ♪アナタの大事なヒトが」
「大事な…?」
レオは渋い顔をした。
自分の不治の病で大事な人が死ぬ?
女神の言う事はいつも意味が分からないが、今回はさらに分からない。
だが、女神は嘘を吐かない。
「ふふふ…そう、私は嘘を吐かない。約束も破らナい」
「約束?」
「私、最初に言ったデしょ?一つだけお願い聞いテあげるって…アナタは選んだわ、『自分の命』を…ふふふ…だから、死ぬわ。アナタのダイジなダイジな、リザが」
部屋に入ると城主のナルセスと既に到着していた工王ヒイラギの視線が二人に刺さった。
農王ラルゴもいる事はいるが椅子にもたれて、寝ている。
「遅いぞ、時間厳守だと伝えたはずだ」
何かの資料を手にしたナルセスは鋭い視線でレオとリーフを交互に睨みつけた…が、いつもの事なので気にしなくて良いだろう。
「すまん…」
「ごっめーん☆僕の可愛さに免じて許してよー」
リーフはペロリと舌を出しながら首を傾げる。
…普通、男がやると気持ち悪く感じてしまうのだが、リーフがやると可愛く見えてしまうのが不思議だ。
「と、いうか…リーフ、何故女の格好をしているのだ?……全くもって王としての自覚を感じん、けしからん事だ。さっさと脱げ」
「えー、ナルセスって大胆だねぇ~脱げ!だなんて…僕まだ心の準備できてないよぉ」
リーフは「きゃー」とワザとらしく声を出すと、レオの背に隠れた。
ナルセスはそのふざけた様子に呆れて溜息を吐いている。
「ま、ええやん。着替えないんやろ?それにめちゃ似合ってるし、許してあげようや」
「ラルゴ~」
寝ていると思っていたラルゴがのっそりと身を起こす。
目が元々細いので、たまに寝ているのか起きているのか分からない時がある…今回もそうだ。
「ありがとー、褒めてくれるのラルゴとレオだけだよぉ~」
「はいはいはいはい」
リーフはにっこにこと笑いながらラルゴの膝に乗って頬にキスをした。
拒否するのが面倒なのか、まんざらでもないのか、ラルゴはそれを受ける。
その様子にナルセスはさらに深い溜息を吐いた。
「…はぁ…全く、レオもリーフを甘やかすな。最近さらに変な癖が悪化しているんだぞ?今はまだ許されるが、将来は…」
「すまない…」
言葉を最後まで聞かず、レオは席についた。
その声はボソボソとしていて、聴き取り難い。
レオを除いた一同は一瞬顔を見合わせた。
「…今日は一段と暗くないか…?」
ナルセスがヒソリと呟く。
すると自然に残りの四人がナルセスの近くへと寄った。
「レオの周りだけ空気重いな…何?また誰か殴ったんか?」
「いや、多分…さっきリザさんと喧嘩してたから…僕を女の子と勘違いしてさ」
「リザ……ああ、いつもレオの身辺警備をしている女性か……ふむ…特に信頼していたようだからな」
「…たくっ、んな家臣一人と喧嘩したくらいで…バカしゃねぇの」
ヒイラギは一人だけ呆れたように溜息を吐くと、リーフが珍しくキッと目を鋭くさせた。
「酷い!元を辿ればヒイラギがレオをたぶらかしたのが悪いのに!!」
「たぶらかす…?」
「ちょっ、ま…!!」
「そーそー聞いてよ!ヒイラギったらね、創国であんな事やそんな事をして、それでレオをかくかくしかじかな感じで、それでリザさんが勘違いしちゃったんだ!」
リーフはいつもののんびりとした口調では考えられない位早口でヒイラギの行いを暴露した。
早口にもかかわらず聴き取りやすいのが不思議だ。
それを聞いたナルセスとラルゴはジトリとした視線をヒイラギに向ける。
「へー…良い御身分やなぁ…」
「……ヒイラギ、お前と言う奴は…!!」
皆から非難を受けたヒイラギは舌打ちをしてからそっぽを向いた。
「(…そうだ…)」
レオは皆の会話をぼーっと聞きながら、先程ヒイラギが言っていた事について考えていた。
「(…リザは家臣の一人。信用できる家臣は彼女の他にも何人かいる。だから一人くらいいなくなっても…)」
元々敵は数え切れないほどいるのだ。一人くらい敵が増えた所で、味方が減った所で…状況は変わらない。
変わらないはず…はずなのに…
「ソの胸のイタミは不治のやまいだヨ」
「えっ…」
突然耳元で声がしたと思うと、周りが自分を残して真っ暗になっている事に気付いた。
今まで隣にいたリーフもヒイラギもナルセスもラルゴもいない。
いつぞやか見た、漆黒の空間。
どこかにとり残されたかのように浮いている椅子。
そこに座る自分。
そして目の前に、
「離れてワかル、でも、理解デきないトってもとってモ厄介な病気よ、それ」
「…女神」
空間にぽっかりと浮かぶ光の如く、レオの前に立つ女神はニッコリ笑った。
久方ぶりに見る女神は白い装束を着ている。
腕と足が露出しているが…頭に乗せた帽子に医者の印が付いているので、恐らく女神お得意の『異世界で手に入れた医療関係の服』なのだろう。
「そ、今ワタシはせくしーナースさん☆どんな病気もコの注射でタチマチ治しちゃうヨ♪」
女神は手に持った透明の…よく分からない器具から水らしき物を出した。
レオの頭では分からないが、ナルセスやヒイラギなら今の女神の持っている物や服装の事を理解出来るだろう。
だが、残念ながらレオには分からない。
女神もそれは百の承知なのか、レオの訝しげな視線も気にせず続けた。
「で・も・ネ。アナタを治すのはムリ。人によっては…というかアナタイガイなら治せるんだけどぉ、アナタはムリ。だって不治の病だもん」
「…不治…ということは、死ぬのか?」
「きゃははは、死ぬわヨ♪アナタの大事なヒトが」
「大事な…?」
レオは渋い顔をした。
自分の不治の病で大事な人が死ぬ?
女神の言う事はいつも意味が分からないが、今回はさらに分からない。
だが、女神は嘘を吐かない。
「ふふふ…そう、私は嘘を吐かない。約束も破らナい」
「約束?」
「私、最初に言ったデしょ?一つだけお願い聞いテあげるって…アナタは選んだわ、『自分の命』を…ふふふ…だから、死ぬわ。アナタのダイジなダイジな、リザが」
