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Esperanza Leon(完結)

「レオ様っっ!!!」

ヒイラギと別れ、レオが武城へ戻ると、リザが飛びかかってきた。
女性とはいえ平均よりも身長が高い上にレオより頭1つ違う為、少し後退りしてしまったがリザはそんなレオの肩をガシリと掴み、押さえる。

「どこに行っていたんですか!?勝手に!!国中探し回ってしまったんですよ!!?」
「国中を……すまん」
「全く…命を狙われてるのは自分が一番よーーーく知っているでしょう?なのに…どれだけ心配したと思っているんです?こっちはアナタが誘拐でもされたかと思って…あーあ、もう足が棒!」
「……心配していたのか?」
「当り前ですよ」
「…そうか」

説教されているはずだが、レオは何故か少し嬉しくなった。

リーフには『皆心配している』と言ったが、レオ自身もそうだとは思ってもいなかったようだ。
自分は皆にただ邪魔扱いされている…玉座という『生』にしがみついた、誰からも必要とされていない人間だとレオは思っていた。
…しかし、リザだけはレオを本気で心配してくれていたようだ。

レオは自然に頬を緩める事が出来た。


「で?レオ様?勝手に、というか他の者にも断わらないで、無断で、一日中…どこ行っていたんですか?」

レオとリザは城内名物、長い廊下を歩いていた。
外はすでに夕日の半分が沈んでおり、足元を照らす光が失せている。

「…そろそろ火を灯さんとな」
「レオ様、人の話聞いてます?」

レオはリザの問いを自然にかわそうとするが、残念!回り込まれてしまった!!

「……ヒイラギと創国に」
「創国?!どうやって?というか、ヒイラギ様なんていつの間に来てたんです?!」

「あの子は神出鬼没だからなぁ」とリザがブツブツと呟いているが、レオは本当の事を言おうか迷っていた。
…ヒイラギに言われて、無理矢理創国に侵入して娼婦館に行って、リーフとでぇと?して…
そんな事をリザに言ったら、逞しい(どころではない)腕でブン殴らせそうである…

目に一瞬動揺を走らせたレオを見逃さず、リザは前に回り込んで尋問するように腕を組んだ。

「入った方法とか、そこらへんは聞かないでおきますけど…ヒイラギ様と創国へ何しに行ったんです?」
「……」
「レオ様…?」
「…さ…散歩、だ」
「へぇ、散歩?散歩でどこに行ったんですか?」
「リザ……何だか今日は随分と喰い付いてくるな」
「気のせいです。私の問いに早く答えなさい」

…尋常ではなく怒っている。
無断で外出してしまったとはいえ、怒り過ぎではないだろうか?
そりゃあ、足を棒にして国中を探させてしまったが…

リザとはレオは昔からの付き合いだ。
嘘を吐いても少しの表情の変化ですぐにばれてしまうだろう。
嘘を吐き続けては逆に怒らせてしまう…これは正直に言うしかない。

「…ヒイラギに、鍛えなおすと言われて………娼婦館に、連れていかれた」
「・・・・・・は?」

レオはリザの顔を見る事が出来なかった。
否、見なくても分かる。
鬼の形相で、こちらを見ているのが分かる。
刺さっている、言葉では言い表せられない何かがリザから放たれて刺さっている。

「しょう……よく聞こえなかったんだけど、もう一回言ってみて?」
「リザ、アックスを構える必要はないと思うんだが…というか、どこに持っていたんだ…?」

リザは今までどこに持っていたか分からない背丈ほどもあるアックスをレオに向ける。
冗談でも向けられた事はないのだが…レオは内心焦りながらも表面では冷静に話を続けた。

「しょ…娼婦館には行っただけだ。リーフが助けてくれたからな」
「…リーフ様?どうして、どうやって、というか本当に?」
「私も事情の全ては分からないが…リーフは女の姿をしていて…」
「どーしてリーフ様が女の格好なんかするんですか!?やっぱり言い訳でそんな嘘を…!!?あああ、一国の王がそんな淫らな…というか、レオ様そんな事に興味を持ってしまったんですか?!」

リザはレオにズイズイと詰め寄る。
これは…怒られているというよりも、責められているような感覚だ。
そう、いつもの怒り方とは違うように感じるが、レオにはどこが明確に違うか分からない。

…と、突然リザが後ろに後ずさった。

「…はぁ、そうですよね」
「リザ?」
「レオ様も、もう15歳ですもんね…健全な男子はそう言う事に興味を持つ事は当り前ですよね…そうですよね…」

困惑しているレオを尻目に、リザはアックスを肩にかけてブツブツと何かを呟きながらどこかに行ってしまった。

…一体何だったのだろう?

レオは一人残された事にも、どうしてあんな剣幕で責められたのかも分からずその場で首を傾げた。
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