Esperanza Leon(完結)
五つ国大陸で随一の華やかさを誇る自由と芸術の国『ティファレト』
時代は変わろうと、娯楽施設や文化的遺産が無くなる事はなく、連日訪れる者が絶えない場所。
自由と癒しを求めてやってくる者。
自分を表現する者。
美を追求する者。
様々なモノを抱えつつ、人々はティファレトに足を踏み入れる。
そこは誰も拒む事はなく、しかし逃れる事が困難な魅惑の国──
他国が荒れようとも創国『ティファレト』の城下を歩く観光客は多い。
派手な装飾を纏う者に淫らな化粧をする者。商売に来る者、見習いの画家らしき者。
━その中で明らかに浮いている薄汚れたローブを着た者が二人、路地裏へと身を隠した。
二人は足早に裏通りに抜けると、ようやく足を止めた。
「ここまで来れば大丈夫だろ」
「…ヒイラギ…」
「暑苦しいし、これ脱ぐぞ」
先頭にいた一人がローブを脱ぐと、工国王のヒイラギが出てきた。後ろの大柄な者も同じように脱ぐと、とても複雑そうな武国王レオがヒイラギを見つめていた。
「ふっふっふっ…潜入成功だな。さーてどの店にするかなぁ」
「ヒイラギ」
「まっ、創の女は皆上玉だからな。どこでもハズレなしだぜ」
「ヒイラギ」
「さっきから煩いな。何だよ、根暗」
ウキウキと歩き出すヒイラギは一瞬だけレオに視線を送るが、すぐに正面の店に向き直ってしまった。
レオは眉を顰める。
数刻前、ヒイラギに『その性格を直してやる』と言われ付いて来たは良いが、その場所が創国だった。
今、武国側から創国へ行く道は全て閉鎖されている。
内乱の多発している武国からの飛び火がないように…というのが理由だが、子猫一匹入れない状態はちょっと酷いと思う。
とはいえ、レオも言い返せないので仕方ないが…
そんな閉鎖されてしまっている道を無理矢理通ってきたのだ。
具体的に言うと、警備していた創国の衛兵をレオが後ろから首に手刀を喰らわせ、気絶させた。
「(その後一人で先に先に行こうとしているから…私の事はついでで、創国に侵入して遊ぶ事が本当の目的だったようだな…)」
ようするにレオは創国に侵入する為に利用された、という事だ。
どの時点でその計画を思いついたかは分からないが…ヒイラギの事だ、最初からそのつもりだったのかもしれない。
そもそも、ヒイラギは創国に来る事が困難だ。
国境や国王等の理由を差し引いても…前王の事がある。
ヒイラギもリーフも言葉と顔には出さないが、内心ではお互い『ソレ』を気にしている。
過去の事とはいえ、犯してしまった事実は変えられない。
もちろん、自分も含めて……
「おい、レオ!早く来い!」
「…ああ」
前方から怒鳴られると、レオは止まっていた足を動かし始めた。
時代は変わろうと、娯楽施設や文化的遺産が無くなる事はなく、連日訪れる者が絶えない場所。
自由と癒しを求めてやってくる者。
自分を表現する者。
美を追求する者。
様々なモノを抱えつつ、人々はティファレトに足を踏み入れる。
そこは誰も拒む事はなく、しかし逃れる事が困難な魅惑の国──
他国が荒れようとも創国『ティファレト』の城下を歩く観光客は多い。
派手な装飾を纏う者に淫らな化粧をする者。商売に来る者、見習いの画家らしき者。
━その中で明らかに浮いている薄汚れたローブを着た者が二人、路地裏へと身を隠した。
二人は足早に裏通りに抜けると、ようやく足を止めた。
「ここまで来れば大丈夫だろ」
「…ヒイラギ…」
「暑苦しいし、これ脱ぐぞ」
先頭にいた一人がローブを脱ぐと、工国王のヒイラギが出てきた。後ろの大柄な者も同じように脱ぐと、とても複雑そうな武国王レオがヒイラギを見つめていた。
「ふっふっふっ…潜入成功だな。さーてどの店にするかなぁ」
「ヒイラギ」
「まっ、創の女は皆上玉だからな。どこでもハズレなしだぜ」
「ヒイラギ」
「さっきから煩いな。何だよ、根暗」
ウキウキと歩き出すヒイラギは一瞬だけレオに視線を送るが、すぐに正面の店に向き直ってしまった。
レオは眉を顰める。
数刻前、ヒイラギに『その性格を直してやる』と言われ付いて来たは良いが、その場所が創国だった。
今、武国側から創国へ行く道は全て閉鎖されている。
内乱の多発している武国からの飛び火がないように…というのが理由だが、子猫一匹入れない状態はちょっと酷いと思う。
とはいえ、レオも言い返せないので仕方ないが…
そんな閉鎖されてしまっている道を無理矢理通ってきたのだ。
具体的に言うと、警備していた創国の衛兵をレオが後ろから首に手刀を喰らわせ、気絶させた。
「(その後一人で先に先に行こうとしているから…私の事はついでで、創国に侵入して遊ぶ事が本当の目的だったようだな…)」
ようするにレオは創国に侵入する為に利用された、という事だ。
どの時点でその計画を思いついたかは分からないが…ヒイラギの事だ、最初からそのつもりだったのかもしれない。
そもそも、ヒイラギは創国に来る事が困難だ。
国境や国王等の理由を差し引いても…前王の事がある。
ヒイラギもリーフも言葉と顔には出さないが、内心ではお互い『ソレ』を気にしている。
過去の事とはいえ、犯してしまった事実は変えられない。
もちろん、自分も含めて……
「おい、レオ!早く来い!」
「…ああ」
前方から怒鳴られると、レオは止まっていた足を動かし始めた。
