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Esperanza Leon(完結)

父は…息子の自分が言うのもなんだが…
とても皆に好かれていたと思う。

腹が減っている民がいれば、城に連れてきて食料を分け与えた。
王の座を狙って襲ってきた相手も笑って許した。
どんなに弱い者でも根気よく訓練に付き合い一人前にした。
他の国の人手が足りないと聞けば、手伝いに行く。
金がなくなれば、自分で出稼ぎに行く。
カジキマグロや海鮮物が好物で、よく周辺の海へ船を出して捕りに行っていた。
自分は泳げないから見ているだけだったが…

けして驕ることなく、ただ己の意志真っ直ぐに生きていた。


自分とは正反対の父。
明るくて、皆に好かれていた父。
そんな彼にもいつか追い付けると信じていた。
しかし…
しかし、それは叶わなかった。
不可能だと思い知らされた。
信じていた自分が愚か者だった。

父には申し訳ないが、息子の育て方を間違ったとしか言いようがない。
または
アナタが偉大過ぎた。
アナタが勝手過ぎた。
アナタが
私に生を与えたのが間違いだった…



…それも、もう昔の事か。
そう、あの頃は毎日のように彼を恨んでいたが、今考えると幼稚な逃避方法だったと思う。
誰かのせいにしないと、心の底まで壊れてしまいそうだった。

あの悪夢のような日々…嗚呼思い出したくもない。
だが、同時に一生忘れてはならない記憶だ。
死した者たちの為に。
愛した者の為に。

何が始まりで、何が正しくて、何が間違っていたのか…
私には到底分からない。
だから今語ろう。
私の体験した全てを。

━━五つ国歴576年
ホド国 55代目国王 レオ
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