ハンター試験編
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最初の刺客はその部屋を出て案外すぐのことだった。
「今で三人」
「えっ、いつの間に?」
「予想通り、素人連中の集まりだ。これだったら一気に来てくれたほうが面倒くさくない」
道なりに進んでいっている間に三人の命が失われたらしい。百人もの数を用意するとなれば念能力者ではないのだろう。二対百という圧倒的な数の優位さに囚人試験官はこの仕事を安請け合いしたのだろうか。本当にご愁傷様です。
その後も淡々と何人、何人、と数えるイルミと確実に屠られていく受験者。恐ろしいことのはずなのに実感がイマイチ湧いてこないのは、大概その死は私の目に入らないところで終わっていたからだ。百、と数えたところでイルミが話しかけてきた。
「疲れてるみたいだし、ちょっと休む?」
「えっ」
「掴まっているのも、けっこう疲れるんでしょ?」
オレには分からないけれど。なんて付け加えられたけれど、紛れもない気づかいの言葉がイルミから出てきたことに驚いた。確かに私は少しだけ疲れていた。長姉様の筋力は文句なしのEなのだ。ただ、何もしていない自覚があったため、疲れたなんて言えなかったけれど。
「確かに、疲れはありますけど……いいんですか?」
「何が」
「何もしていない私のために時間を使って…ただでさえ72時間しかないのに……」
「いいんじゃない。どうせ時間内にはクリアできるし」
「でも、」
「カタカタカタ」
「あの」
「カタカタカタ」
「……少しの間、休ませてください」
「うん」
完全勝利S。イルミの後ろにそんな文字が見えた気がした。
こんな恐ろしい場所でタイミングでスヤッてしまった人間の心境を述べよ。目が覚めたら目の前に針人間の顔があって、私が猫だったら確実に全身の毛が逆立っていた……あまりの衝撃に秒で寝ぼけが去ったのは、良かったのかもしれない。
「……私、どれくらい寝てましたか?」
「二時間半くらいじゃない?」
「ひぇっ……す、すみません!本当にそんなに寝るつもりじゃなくて…というか、元々寝るつもりでは…!」
「別にいいよ。もう行けそう?」
「あっ、はいっ!」
これもうイルミに足向けて寝れない。二時間半も寝入るお荷物私だったら絶対に嫌だ。その間ずっと見張りもしてくれていたのだろうし……そして責める一言すら言わない。それは私が長姉様だからなのだけれど、今度人気投票があったならイルミに必ず票を入れようと心に誓った瞬間だった。
「カタカタカタ」
「(これは間違いなく、行くよ、のニュアンスだ!)はい…!」
そうしてまた再び進み始めた私達だけれど、道には色々なトラップがしかけられている。突然上から槍が降ってきたと思えば後ろから道を塞ぐ大玉。道に突然穴が開いたなんてこともあったし、それらを軽く躱していくイルミに内心感嘆と驚異の念を抱いた。
「ね、これ。どっちがいい?」
確実に実力でこの試験をねじ伏せにかかっているイルミは、何故か右左で道が分かれた時に私に聞いてきた。
「さっきも言いましたが、ギタラクルさんが選んだ方が……」
「カタカタカタ」
「えっと、」
「カタカタカタ」
「……じゃあ、左で」
「カタカタ」
さっきから思っていたけど、イルミちょっと楽しんでない?そこで何も言うことのできない私は本当にしっかり実力差をわきまえていると思った。よく夢小説なんかで主人公が思ったことを全てポンポン言う場合があるけれど、本当にすごいと思う。この手のキャラ相手には自分の意思なんてあってないようなものだ。作戦名は【いのちだいじに】でよろしくお願いします。
そのまま左に進んだ私達を待っていたのは、またハンター語で書かれた私には分からないものだった。
「なんて書いてありますか?」
「さっき思ったけど、やっぱりハンター語分からないんだ」
「、はい」
「ま、いいか。これには二人でじゃんけんしてどちらかが二十勝しないと次のドアが現れないって。しかもこれを被って」
「そんな、確率論的にも……」
「うん。滅茶苦茶だね」
イルミが手に持ったのは厚い黒い布袋。イルミの反射神経ならもしかしたら、と思ったけれど、予想の斜め上の試験内容に内心頭を抱えた。原作のイルミは難なく試験をクリアしたため、間違ってもこんな確率的な問題吹っ掛けられることはなかっただろう……もう幸運EXを信じるしかないようだ。
「まあ、やるしかないね」
「……はい、」
布袋を被ったところでまたスピーカーから声がした。本当に何も見えないことに落胆する。小細工の一切きかないであろうこの状況。渋々覚悟を決めた。
「指示通り、布袋を被ったようで結構。一蓮托生の道を選んだ二人ならこれは乗り越えられるはずだ。じゃんけんのタイミングや勝敗のカウントはこちらでさせて頂こう。では構えてくれ」
一蓮托生って言えば何とでもなると思うなよ。漫画で見た試験官の子憎たらしい顔を思い出して苛立った。もうどうにでもなれ!そんな思いで拳を構えた。
「じゃんけん、ポン!」
「勝者120番。一勝」
まずは一勝。しかしこれをあと19回もしなければならないのだと考えると一周回って笑えて来る。
「じゃんけん、ポン!」
「勝者120番。二勝」
まあ、二勝続けることは珍しいことではない。順調だ。
「じゃんけん、ポン!」
「勝者120番。三勝」
あいこすらならずに三勝目。確かに確率的に少なくても、実際起こりうる範囲だ。
「じゃんけん、ポン!」
「勝者120番。四勝」
ここで私は幸運EXを本格的に意識し始めた。
「じゃんけん、ポン!」
「勝者120番。五勝」
多分私以外が若干首を傾げ始めたのではないだろうか。
・・・
・・
・
「じゃんけん、ポン!」
「勝者120番。十勝」
これでももう十分にすごい。
・・・
・・
・
「じゃんけん、ポン!」
「、勝者120番。十五勝」
試験官の声に動揺が見られた。内心私も震えた。女神様は伊達じゃないんやなって……ここまでくると私は半ば結果を確信していた。
・・・
・・
・
「じゃんけん、ポン!」
ここまでくると結果なんてわかりきっていた。
「今で三人」
「えっ、いつの間に?」
「予想通り、素人連中の集まりだ。これだったら一気に来てくれたほうが面倒くさくない」
道なりに進んでいっている間に三人の命が失われたらしい。百人もの数を用意するとなれば念能力者ではないのだろう。二対百という圧倒的な数の優位さに囚人試験官はこの仕事を安請け合いしたのだろうか。本当にご愁傷様です。
その後も淡々と何人、何人、と数えるイルミと確実に屠られていく受験者。恐ろしいことのはずなのに実感がイマイチ湧いてこないのは、大概その死は私の目に入らないところで終わっていたからだ。百、と数えたところでイルミが話しかけてきた。
「疲れてるみたいだし、ちょっと休む?」
「えっ」
「掴まっているのも、けっこう疲れるんでしょ?」
オレには分からないけれど。なんて付け加えられたけれど、紛れもない気づかいの言葉がイルミから出てきたことに驚いた。確かに私は少しだけ疲れていた。長姉様の筋力は文句なしのEなのだ。ただ、何もしていない自覚があったため、疲れたなんて言えなかったけれど。
「確かに、疲れはありますけど……いいんですか?」
「何が」
「何もしていない私のために時間を使って…ただでさえ72時間しかないのに……」
「いいんじゃない。どうせ時間内にはクリアできるし」
「でも、」
「カタカタカタ」
「あの」
「カタカタカタ」
「……少しの間、休ませてください」
「うん」
完全勝利S。イルミの後ろにそんな文字が見えた気がした。
こんな恐ろしい場所でタイミングでスヤッてしまった人間の心境を述べよ。目が覚めたら目の前に針人間の顔があって、私が猫だったら確実に全身の毛が逆立っていた……あまりの衝撃に秒で寝ぼけが去ったのは、良かったのかもしれない。
「……私、どれくらい寝てましたか?」
「二時間半くらいじゃない?」
「ひぇっ……す、すみません!本当にそんなに寝るつもりじゃなくて…というか、元々寝るつもりでは…!」
「別にいいよ。もう行けそう?」
「あっ、はいっ!」
これもうイルミに足向けて寝れない。二時間半も寝入るお荷物私だったら絶対に嫌だ。その間ずっと見張りもしてくれていたのだろうし……そして責める一言すら言わない。それは私が長姉様だからなのだけれど、今度人気投票があったならイルミに必ず票を入れようと心に誓った瞬間だった。
「カタカタカタ」
「(これは間違いなく、行くよ、のニュアンスだ!)はい…!」
そうしてまた再び進み始めた私達だけれど、道には色々なトラップがしかけられている。突然上から槍が降ってきたと思えば後ろから道を塞ぐ大玉。道に突然穴が開いたなんてこともあったし、それらを軽く躱していくイルミに内心感嘆と驚異の念を抱いた。
「ね、これ。どっちがいい?」
確実に実力でこの試験をねじ伏せにかかっているイルミは、何故か右左で道が分かれた時に私に聞いてきた。
「さっきも言いましたが、ギタラクルさんが選んだ方が……」
「カタカタカタ」
「えっと、」
「カタカタカタ」
「……じゃあ、左で」
「カタカタ」
さっきから思っていたけど、イルミちょっと楽しんでない?そこで何も言うことのできない私は本当にしっかり実力差をわきまえていると思った。よく夢小説なんかで主人公が思ったことを全てポンポン言う場合があるけれど、本当にすごいと思う。この手のキャラ相手には自分の意思なんてあってないようなものだ。作戦名は【いのちだいじに】でよろしくお願いします。
そのまま左に進んだ私達を待っていたのは、またハンター語で書かれた私には分からないものだった。
「なんて書いてありますか?」
「さっき思ったけど、やっぱりハンター語分からないんだ」
「、はい」
「ま、いいか。これには二人でじゃんけんしてどちらかが二十勝しないと次のドアが現れないって。しかもこれを被って」
「そんな、確率論的にも……」
「うん。滅茶苦茶だね」
イルミが手に持ったのは厚い黒い布袋。イルミの反射神経ならもしかしたら、と思ったけれど、予想の斜め上の試験内容に内心頭を抱えた。原作のイルミは難なく試験をクリアしたため、間違ってもこんな確率的な問題吹っ掛けられることはなかっただろう……もう幸運EXを信じるしかないようだ。
「まあ、やるしかないね」
「……はい、」
布袋を被ったところでまたスピーカーから声がした。本当に何も見えないことに落胆する。小細工の一切きかないであろうこの状況。渋々覚悟を決めた。
「指示通り、布袋を被ったようで結構。一蓮托生の道を選んだ二人ならこれは乗り越えられるはずだ。じゃんけんのタイミングや勝敗のカウントはこちらでさせて頂こう。では構えてくれ」
一蓮托生って言えば何とでもなると思うなよ。漫画で見た試験官の子憎たらしい顔を思い出して苛立った。もうどうにでもなれ!そんな思いで拳を構えた。
「じゃんけん、ポン!」
「勝者120番。一勝」
まずは一勝。しかしこれをあと19回もしなければならないのだと考えると一周回って笑えて来る。
「じゃんけん、ポン!」
「勝者120番。二勝」
まあ、二勝続けることは珍しいことではない。順調だ。
「じゃんけん、ポン!」
「勝者120番。三勝」
あいこすらならずに三勝目。確かに確率的に少なくても、実際起こりうる範囲だ。
「じゃんけん、ポン!」
「勝者120番。四勝」
ここで私は幸運EXを本格的に意識し始めた。
「じゃんけん、ポン!」
「勝者120番。五勝」
多分私以外が若干首を傾げ始めたのではないだろうか。
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「じゃんけん、ポン!」
「勝者120番。十勝」
これでももう十分にすごい。
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「じゃんけん、ポン!」
「、勝者120番。十五勝」
試験官の声に動揺が見られた。内心私も震えた。女神様は伊達じゃないんやなって……ここまでくると私は半ば結果を確信していた。
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「じゃんけん、ポン!」
ここまでくると結果なんてわかりきっていた。