ハンター試験編
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二次試験が終わった後、心労からなのか(何もしていないとか言わない)気絶するように私は眠ってしまったらしい。目を覚ますと呆れた顔をしたキルアが私を見ていた。
三次試験は大きな塔の屋上から72時間経過するまでに下まで降りてくること。ロッククライムの要領で下に降りようとした受験者は無残に散っていった。残虐な怪鳥を見たそれ以外は正規ルートの存在を確信する。私は知っているため、いずれかのタイミングで扉に入れたらいいと呑気に思っていた。
「……ひゃっ!」
呑気にしていたのも束の間、キルアとゴンと行動していた私は二人の目の前で隠し扉に落ちてしまったのだった。
隠し扉から隠し部屋へは意外と高さがあることを思い出して顔が青ざめる。絶対に痛い、とこれから来るであろう衝撃に目を瞑った。
「……?」
しかし予想していた衝撃は訪れなかった。ぽすり、と誰かが受け止めてくれた感覚。誰だろう、と恐る恐る目を開けた。
「カタカタカタ」
「……あ、ありがとう、ございます」
中身を知らなければ絶叫していたのではないだろうか。私を受け止めたのはギタラクル、もといイルミだった。じっと見つめ合う謎の時間を過ごしていると、それも終り、何故かその体勢のままイルミは移動し始める。何故なのかは聞けない。紙面とは違って怖いから。怖いから。
部屋の端まで来ると、ハンター語で書かれた説明らしきものと台に置かれた鎖の長さが一メートルもない一つの手錠。HUNTER×HUNTERは愛読書だったものの、ハンター文字まで履修していなかった私は眉を下げる。
助けを求めるようにイルミを見ると、イルミは片腕に手錠を嵌めていた。そして私にも差し出してきた。
「お互いが片腕に嵌める、ということですよね」
「カタカタカタ」
「(何を伝えたいのか全然わからん)」
とりあえずの行動はどうやら正解だったらしい。嵌めて暫くもしないうちに部屋にあったスピーカーから声がした。
「条件を満たしたようだな。ここは一蓮托生の道。お前達二人はゴールまでその鎖に繋がれたまま行動を共にしてもらう。そして一蓮托生の名の通り、どちらかがリタイアすればもう片方もリタイアの難コースだ。では、検討を祈る」
試験官の説明が終わるとドアが現れた。一蓮托生、加えてイルミと。それから分かるのは勝ちフラグがとりあえずは立ったということ。生命の保証がなされたことにホッとしていると、イルミが私の手をとってそのままイルミの首に移動させた。
「えっと……あの、」
「手、首に回して。この試験で君は何もしなくていいから」
「(いや、喋るんかーい)あ、はい」
わかりやすい戦力外通告にもムッとすることはない。ヒソカでさえ六時間かかる試験なのだ。私が出しゃばっても良い結果が得られるはずもない。いや、そもそも私がこのハンター試験にいることが手違いというのか場違いというのか。長姉様に成り代わっていなければ、もっと前に誰にも助けられず寂しく死んでいっただろう。女神の魅了ってすごい。幸運EXってすごい。(なお、この時の私は最初のマラソンで脱落したらよかったことをすっかり忘れている)
「カタカタカタ」
「(今のカタカタ、行くよ、とかそういうニュアンスな気がする)」
こうして私の三次試験は始まりを迎えたのだった。
「あの、私、ステンノと申します。お名前をお伺いしても……」
三人以上の沈黙には耐えられるけれど、二人きりの沈黙に耐えられないという人は少なくないのではないだろうか。かくいう私もそのタイプで何を血迷ったのか、天下のゾルディック家の長男に向かって話し始めたのだった。十数時間一緒にいるという先を考えることへの胃痛と、殺されることはないという少しの楽観思考。この時すでに私は自分でステンノを名乗ることに諦めを持って受け入れていた。
無視されてもカタカタしか返ってこなくても許容範囲(なお、確実に胃痛は増す)の当たって砕けろ精神。しかし、長男様は案外寛容らしかった。
「ギタラクル。ステンノって名前、変わってるけどどこの地方?」
キルアにも言われたけれど、そんなにこの世界では変わっている名前なのか。しかしここで問題になるのは私の出身。日本です、なんて馬鹿正直に答えても通じないし。この見た目でジャポンと答えても結果は言わずもがな。
「えっと、内緒です。ギタラクルさんは?」
「ふうん。オレは君が一緒に来てくれるなら教えてあげてもいいよ」
えっそれってククル―マウンテン?なんて聞けるはずもなく。
どう答えようか一人悶々としていると、新しい部屋に入り、またスピーカーから声が聞こえた。とりあえず、返事がなあなあになったことにホッとした。
「一蓮托生の道、最初の試練は二対百の鬼事だ。ここからしばらくはいたるところに試験官が隠れている」
言うだけ言って、ブツリ、と放送は切れてしまった。ここまで人数差があると逆に現実感がない。絶対殺す感が強すぎる。
「大丈夫ですかね……?」
「まあ、大丈夫なんじゃない」
天下のゾルディックの圧倒的安心感しゅごい……
三次試験は大きな塔の屋上から72時間経過するまでに下まで降りてくること。ロッククライムの要領で下に降りようとした受験者は無残に散っていった。残虐な怪鳥を見たそれ以外は正規ルートの存在を確信する。私は知っているため、いずれかのタイミングで扉に入れたらいいと呑気に思っていた。
「……ひゃっ!」
呑気にしていたのも束の間、キルアとゴンと行動していた私は二人の目の前で隠し扉に落ちてしまったのだった。
隠し扉から隠し部屋へは意外と高さがあることを思い出して顔が青ざめる。絶対に痛い、とこれから来るであろう衝撃に目を瞑った。
「……?」
しかし予想していた衝撃は訪れなかった。ぽすり、と誰かが受け止めてくれた感覚。誰だろう、と恐る恐る目を開けた。
「カタカタカタ」
「……あ、ありがとう、ございます」
中身を知らなければ絶叫していたのではないだろうか。私を受け止めたのはギタラクル、もといイルミだった。じっと見つめ合う謎の時間を過ごしていると、それも終り、何故かその体勢のままイルミは移動し始める。何故なのかは聞けない。紙面とは違って怖いから。怖いから。
部屋の端まで来ると、ハンター語で書かれた説明らしきものと台に置かれた鎖の長さが一メートルもない一つの手錠。HUNTER×HUNTERは愛読書だったものの、ハンター文字まで履修していなかった私は眉を下げる。
助けを求めるようにイルミを見ると、イルミは片腕に手錠を嵌めていた。そして私にも差し出してきた。
「お互いが片腕に嵌める、ということですよね」
「カタカタカタ」
「(何を伝えたいのか全然わからん)」
とりあえずの行動はどうやら正解だったらしい。嵌めて暫くもしないうちに部屋にあったスピーカーから声がした。
「条件を満たしたようだな。ここは一蓮托生の道。お前達二人はゴールまでその鎖に繋がれたまま行動を共にしてもらう。そして一蓮托生の名の通り、どちらかがリタイアすればもう片方もリタイアの難コースだ。では、検討を祈る」
試験官の説明が終わるとドアが現れた。一蓮托生、加えてイルミと。それから分かるのは勝ちフラグがとりあえずは立ったということ。生命の保証がなされたことにホッとしていると、イルミが私の手をとってそのままイルミの首に移動させた。
「えっと……あの、」
「手、首に回して。この試験で君は何もしなくていいから」
「(いや、喋るんかーい)あ、はい」
わかりやすい戦力外通告にもムッとすることはない。ヒソカでさえ六時間かかる試験なのだ。私が出しゃばっても良い結果が得られるはずもない。いや、そもそも私がこのハンター試験にいることが手違いというのか場違いというのか。長姉様に成り代わっていなければ、もっと前に誰にも助けられず寂しく死んでいっただろう。女神の魅了ってすごい。幸運EXってすごい。(なお、この時の私は最初のマラソンで脱落したらよかったことをすっかり忘れている)
「カタカタカタ」
「(今のカタカタ、行くよ、とかそういうニュアンスな気がする)」
こうして私の三次試験は始まりを迎えたのだった。
「あの、私、ステンノと申します。お名前をお伺いしても……」
三人以上の沈黙には耐えられるけれど、二人きりの沈黙に耐えられないという人は少なくないのではないだろうか。かくいう私もそのタイプで何を血迷ったのか、天下のゾルディック家の長男に向かって話し始めたのだった。十数時間一緒にいるという先を考えることへの胃痛と、殺されることはないという少しの楽観思考。この時すでに私は自分でステンノを名乗ることに諦めを持って受け入れていた。
無視されてもカタカタしか返ってこなくても許容範囲(なお、確実に胃痛は増す)の当たって砕けろ精神。しかし、長男様は案外寛容らしかった。
「ギタラクル。ステンノって名前、変わってるけどどこの地方?」
キルアにも言われたけれど、そんなにこの世界では変わっている名前なのか。しかしここで問題になるのは私の出身。日本です、なんて馬鹿正直に答えても通じないし。この見た目でジャポンと答えても結果は言わずもがな。
「えっと、内緒です。ギタラクルさんは?」
「ふうん。オレは君が一緒に来てくれるなら教えてあげてもいいよ」
えっそれってククル―マウンテン?なんて聞けるはずもなく。
どう答えようか一人悶々としていると、新しい部屋に入り、またスピーカーから声が聞こえた。とりあえず、返事がなあなあになったことにホッとした。
「一蓮托生の道、最初の試練は二対百の鬼事だ。ここからしばらくはいたるところに試験官が隠れている」
言うだけ言って、ブツリ、と放送は切れてしまった。ここまで人数差があると逆に現実感がない。絶対殺す感が強すぎる。
「大丈夫ですかね……?」
「まあ、大丈夫なんじゃない」
天下のゾルディックの圧倒的安心感しゅごい……