ハンター試験編
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「二次試験後半。あたしのメニューはスシよ!!」
メンチの課題は日本人(ここではジャポン人)にとっては良く知ったものだ。分からないと首を傾げる受験者多数。隣にいるゴンとキルアも分からないようだった。
「スシってなんだろうね。ライスだけで作るのかな」
「道具とか見ると他にも何か使いそうだぜ。ステンノはスシって何か知ってるか?」
「……えっと、」
この会場で正解を知っているのはおそらく私とハンゾーのたった二人だけだ。七十人いるうちの中のたった二人。先を知っていることもあり、私はどう答えようか迷っていた。
ただ、知らないと嘘を言うことも違う気がする。とりあえず何か言おうとしたところ大きな声に遮られた。
「魚ァ!?お前ここは森ん中だぜ!?」
クラピカと会話していたレオリオの会場中に響き渡る特大ヒントにゴンとキルア(とその手に引っ張られた私)を含む受験者が一斉に外に駆けていったのだった。
***
二人が課題達成のため魚を得ようとする中、私は川の岸辺で水に足を浸けちゃぷちゃぷと動かしていた。ここで一つ言い訳をさせてもらうと、初めは何かしようと意欲はあったのだ。ただ釣竿を作ろうとした段階で、危なっかしくて見ていられないとキルアからストップがかかってしまった。不器用をそれなりに自覚しているから手付きが頼りなかったのは否定しない。そして何より私は暗殺一家の期待の星に逆らうことは出来なかった。トリップしたところでチキンはチキンのままだった。その結果歳下の子を働かせている。無念。
というわけで私はお飾り受験者を極めていたのだった。 水が気持ちいいね。
空を見上げると眩しく輝く太陽に目を細める。雲一つない晴天だ。あまり暑いと感じないのは私の体が女神のものだからなのだろう。向こうの世界で私はそこそこ代謝がよかった。
「ステンノー!」
生産性のない水遊びもそこそこに二人が戻ってきた。その腕にはピチピチと活きのいい魚がいっぱい抱えられていた。寿司にはそんな沢山の魚は使わなくていい。内心そう思ったけれど、何もしていない身分で言えるはずもなかった。最悪リリースかスタッフが美味しく頂きましたをするかだ。生きたままご飯に包まれる魚。メンチが放り投げていた原作の惨状を思い浮かべた。あれは食べたくない。
「こんな短時間でよくそれだけの量の魚を捕まえれたね」
「そーか?余裕だったぜ」
「二人とも話は後々!早く行こうよ!」
「うん」
「そうだな」
ゴンの一声で用意された調理室に移動した私達だけれど、そこにはまばらに人がいた。それでもしっかりとした作り方を知っておらず、考えあぐね、とりあえず何かしようとしている様子だった。
誰か知っている奴はいないか。そんな雰囲気も若干流れている会場では人の視線が多く行き来していた。全体も少しピリピリした雰囲気が漂っている。
「あー……にしてもわっかんねぇなあ。何だよスシって」
「オレもミトさんに作ってもらったことないし……うーん」
「(急募 魚の捌き方)」
二人が持ってきた魚はこの地域特有なのか変わった形状のものが多くあった。正直、これって毒あるんじゃないのレベルのものもちらほら。こうなってくると捌くのも少し抵抗が出てくる。
「(えーい!女は度胸!)」
結局私が魚を捌き始めたのは、二人がメンチに思い思いの寿司を持って行ってからのことだった。一人だけ時間感覚がおかしいような気がする。
前にテレビで見た時は頭から落としていたはず。そんな曖昧な知識で包丁を入れていく。魚のぬめりが気になるけれど、目を瞑る方向で探り探りの寿司ネタ作りだ。内臓ってこのタイミングで取るの?、とか、見たことのないような魚だし炙って若干火を通そうかな、なんて考えるうちにどんどん時間は過ぎていく。
慣れない作業は神経を使う。集中が切れたのをきっかけに一休みして手を洗っていたら、二人が戻ってきた。
「結果はどうだったの?」
「オレもゴンも二人とも全然ダメ。でも、ハゲのおっさんがスシを知ってたらしくてさ、スシってのはメシを一口サイズの長方形に握ってその上にワサビと魚の切り身をのせるんだってさ」
「大きな声で言ってたからもう全員気付いたんじゃないかな。遠くから見た時ステンノは集中してるみたいだったけど、その様子だと自力で正解近くまでたどり着いてたみたいだね」
ゴンの指さす先にはまな板の上に中途半端に捌かれた魚。最初から正解を知っている身でここまで手こずっているから、私としては恥ずかしい限りだ。これまでお手軽な切り身を買ってきた現代人がここにいる。
「正解ってそんな……でも、全員が調理法を知ってしまったからもう早い者勝ちだね。二人も早く作らないと」
私の言葉に二人は焦ったような顔をする。そして調理法が分かり活気づく周りを確認して、すぐさま取り掛かったのだった。包丁捌きにも心做しか迷いがないように見える。この世界の子は当然のように魚を捌けるのか……謎の敗北感に打ちひしがれた。キルアなんて海から一番遠いような所に住んでいるのに。
二人は要領がいいのか直ぐに作って持って行ってしまう。私が当初考えていたように炙りネタを作り、持って行った頃にはメンチが机を構える場所はほかの受験者で溢れていた。メンチの厳しいやり直しを指示する審査の声が次々と飛ぶ。そして私の番になることもなく、その時は訪れてしまった。
「悪!!おなかいっぱいになっちった」
軽快な調子で告げられたのは合格者ゼロという誰もが予想しなかった結果。辺りに流れた空気は当初困惑であった。
メンチの課題は日本人(ここではジャポン人)にとっては良く知ったものだ。分からないと首を傾げる受験者多数。隣にいるゴンとキルアも分からないようだった。
「スシってなんだろうね。ライスだけで作るのかな」
「道具とか見ると他にも何か使いそうだぜ。ステンノはスシって何か知ってるか?」
「……えっと、」
この会場で正解を知っているのはおそらく私とハンゾーのたった二人だけだ。七十人いるうちの中のたった二人。先を知っていることもあり、私はどう答えようか迷っていた。
ただ、知らないと嘘を言うことも違う気がする。とりあえず何か言おうとしたところ大きな声に遮られた。
「魚ァ!?お前ここは森ん中だぜ!?」
クラピカと会話していたレオリオの会場中に響き渡る特大ヒントにゴンとキルア(とその手に引っ張られた私)を含む受験者が一斉に外に駆けていったのだった。
***
二人が課題達成のため魚を得ようとする中、私は川の岸辺で水に足を浸けちゃぷちゃぷと動かしていた。ここで一つ言い訳をさせてもらうと、初めは何かしようと意欲はあったのだ。ただ釣竿を作ろうとした段階で、危なっかしくて見ていられないとキルアからストップがかかってしまった。不器用をそれなりに自覚しているから手付きが頼りなかったのは否定しない。そして何より私は暗殺一家の期待の星に逆らうことは出来なかった。トリップしたところでチキンはチキンのままだった。その結果歳下の子を働かせている。無念。
というわけで私はお飾り受験者を極めていたのだった。 水が気持ちいいね。
空を見上げると眩しく輝く太陽に目を細める。雲一つない晴天だ。あまり暑いと感じないのは私の体が女神のものだからなのだろう。向こうの世界で私はそこそこ代謝がよかった。
「ステンノー!」
生産性のない水遊びもそこそこに二人が戻ってきた。その腕にはピチピチと活きのいい魚がいっぱい抱えられていた。寿司にはそんな沢山の魚は使わなくていい。内心そう思ったけれど、何もしていない身分で言えるはずもなかった。最悪リリースかスタッフが美味しく頂きましたをするかだ。生きたままご飯に包まれる魚。メンチが放り投げていた原作の惨状を思い浮かべた。あれは食べたくない。
「こんな短時間でよくそれだけの量の魚を捕まえれたね」
「そーか?余裕だったぜ」
「二人とも話は後々!早く行こうよ!」
「うん」
「そうだな」
ゴンの一声で用意された調理室に移動した私達だけれど、そこにはまばらに人がいた。それでもしっかりとした作り方を知っておらず、考えあぐね、とりあえず何かしようとしている様子だった。
誰か知っている奴はいないか。そんな雰囲気も若干流れている会場では人の視線が多く行き来していた。全体も少しピリピリした雰囲気が漂っている。
「あー……にしてもわっかんねぇなあ。何だよスシって」
「オレもミトさんに作ってもらったことないし……うーん」
「(急募 魚の捌き方)」
二人が持ってきた魚はこの地域特有なのか変わった形状のものが多くあった。正直、これって毒あるんじゃないのレベルのものもちらほら。こうなってくると捌くのも少し抵抗が出てくる。
「(えーい!女は度胸!)」
結局私が魚を捌き始めたのは、二人がメンチに思い思いの寿司を持って行ってからのことだった。一人だけ時間感覚がおかしいような気がする。
前にテレビで見た時は頭から落としていたはず。そんな曖昧な知識で包丁を入れていく。魚のぬめりが気になるけれど、目を瞑る方向で探り探りの寿司ネタ作りだ。内臓ってこのタイミングで取るの?、とか、見たことのないような魚だし炙って若干火を通そうかな、なんて考えるうちにどんどん時間は過ぎていく。
慣れない作業は神経を使う。集中が切れたのをきっかけに一休みして手を洗っていたら、二人が戻ってきた。
「結果はどうだったの?」
「オレもゴンも二人とも全然ダメ。でも、ハゲのおっさんがスシを知ってたらしくてさ、スシってのはメシを一口サイズの長方形に握ってその上にワサビと魚の切り身をのせるんだってさ」
「大きな声で言ってたからもう全員気付いたんじゃないかな。遠くから見た時ステンノは集中してるみたいだったけど、その様子だと自力で正解近くまでたどり着いてたみたいだね」
ゴンの指さす先にはまな板の上に中途半端に捌かれた魚。最初から正解を知っている身でここまで手こずっているから、私としては恥ずかしい限りだ。これまでお手軽な切り身を買ってきた現代人がここにいる。
「正解ってそんな……でも、全員が調理法を知ってしまったからもう早い者勝ちだね。二人も早く作らないと」
私の言葉に二人は焦ったような顔をする。そして調理法が分かり活気づく周りを確認して、すぐさま取り掛かったのだった。包丁捌きにも心做しか迷いがないように見える。この世界の子は当然のように魚を捌けるのか……謎の敗北感に打ちひしがれた。キルアなんて海から一番遠いような所に住んでいるのに。
二人は要領がいいのか直ぐに作って持って行ってしまう。私が当初考えていたように炙りネタを作り、持って行った頃にはメンチが机を構える場所はほかの受験者で溢れていた。メンチの厳しいやり直しを指示する審査の声が次々と飛ぶ。そして私の番になることもなく、その時は訪れてしまった。
「悪!!おなかいっぱいになっちった」
軽快な調子で告げられたのは合格者ゼロという誰もが予想しなかった結果。辺りに流れた空気は当初困惑であった。