ハンター試験編
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「ねえ、本当に大丈夫?」
「逆に軽すぎ。もっと飯食べれば?」
「この体、食べても太らないから、多分無理だと思う」
確か長姉様の固有スキル、女神の神核にはいくらカロリー摂取しても太らないという世の女性が泣いて欲しがるような効果があったはずだ。
試験は先ほど知っている通りに開始した。私は今、キルアに後ろからつかまる形でスケボーに乗せられている。視線は感じない。それは長姉様のスキルに気配遮断があることを思い出して、試しにやってみたら簡単にできた。薄々気が付いていたけれど、容姿以外も私はしっかり長姉様になっているらしい。流石アサシン、とか、ハンターの世界ではこれは絶扱いになるのかしら、とか言いたいことは色々あったけれど、とにかく私は少しずつハンター世界と長姉様成り代わりということを理解し始めた。
納得は一切、本当に一切してませんけど!!!
「つーか、仮にも試験だっていうのにドレスって余裕じゃん」
「これにはね、もう語るも涙のわけがあって、」
「ま、よく分かんねーけど、いいんじゃね?似合ってるし」
「キルアって絶対将来沢山の女の子転がすよね。知ってる」
「なんだよそれ」
喋るのがあまり得意ではない私はキルアと何だかんだ会話を続けられていることに感動していた。きっと彼のコミュ力によるものなのだろう。
この後の展開は確か……
「おいガキ汚ねーぞ! 反則してんじゃねーよ」
ああ、始まった。聞きなれたセリフと声。主役級の登場だ。分かっていたことだけれど、心臓は大きく音をたてた。長姉様本人なら全く意に介さないであろう状況。成り代わったとはいえ、私のデリケートなところは全く変わっていないらしい。少しの情けなさにため息をつきたくなった。
「え?何で?」
キルアは意に介していない。ひっそりと変なおっさん、なんて私に囁いた。
「何でって……こりゃ持久力のテストだろ!なのに道具使うなんて卑怯じゃねーか!」
「え、違うよ。試験官の人はついて来いって言っただけだし」
前者の言葉とは違い、キルアを庇うような言動をする後者。ゴン=フリークス。心の中で小さく呟いた。
「どっちの味方だよ、てめーはよォ!」
「怒鳴るなレオリオ。体力を消耗したいのか。何よりもまず煩い」
レオリオ、ゴン、クラピカ、キルア。メイン四人組の出会いのシーンを実際見ているとなると奇妙な気持ちになる。現実なのに非現実的だという圧倒的な矛盾に顔を顰めた。今までに私が見てきた数々のトリップ夢主はこんな気持ちになっていたのだろうか。
「基本的にテストは持ち込み自由になっている。試験官が走ってついて来いと言わない限り反則にはならない」
金髪の少年、クラピカの補足は彼の冷静さをよく表していた。
「ねえ君、年いくつ?」
「え? オレ? もうすぐ十二歳!」
「へー」
淡泊な返事だが、キルアはゴンに興味を持ったことは確かだった。レオリオとクラピカよりも年が近いからだろう。暗殺一家の後継者と目された存在は友達一人作ることを許されなかった。漫画の中では笑って流せるけれど、現実だとなかなかに壮絶だ。
「そう言えば、お前らはステンノを見ても何も思わねーの?」
「ステンノ?」
思い出したように言うキルアに、私とキルア以外の三人の声が重なる。いつかはこうなっていたのだ。渋々私は口を開いた。
「……こんにちは?」
『えええええええええええ!!!!』
その後の絶叫といったらあたりの視線が一斉に向くほどすごいものだった。
三人に自己紹介やちょっとした問答を終え(見かねたキルアが助けてくれた)、再び原作へ戻ってく。クラピカの性別は確か不明だったけれど、長姉様のスキルが効いたようだったから、男性であることが確定するという小ネタも実はあったりした。
「やっぱオレも走ろ」
「え、私はどうしたらいいの?」
「ばーか。おいて行ったりしねー。ちゃんと背負うって」
「わーかっこいい!」
ゴンが私の気持ちを代弁してくれた。それでも不安は残るもので……
「背負うって、大丈夫?」
「そんくらいよゆー」
ほらな、そう言ったキルアはスケボーから降りて私を言葉通り背負った。片手でスケボーも持ちながら。改めてキルアのスペックの高さを実感する。長姉様だって一応米俵一つの重さになるのだ。それを持ちながら走り続けるなんて常人には絶対にできない。
「オレ、キルア」
「オレはゴン」
はらはらしている私とは反対にもうその心配は終わったこととして処理されたらしい。楽しそうな二人を見ていたら、私がおかしいのかという気がしてくる(実際背負われて受験する受験者なんていないから、確かにおかしいのだけれど)
「おっさんは?」
「おっさんってオレはまだ十代だぞ!」
確かにレオリオは十九には見えない。初めて漫画を読んだ時のことを思い出した。ゴン達が年相応に見える分、レオリオは三十くらいに見えていた。
「ウソォ!」
「あーッ! ゴンまでひっでーもう絶交な!」
「……ふふ」
「ステンノまで……」
こらえきれず笑ってしまったら、レオリオは項垂れた。本人にも気にするところがあったらしい。ステンノ、とレオリオが呼んできたことには驚いたけれど、相手はゴンで隠れていてもコミュ力の権化。すごいなあ、なんて自分と比べてしまい遠い目になった。
「逆に軽すぎ。もっと飯食べれば?」
「この体、食べても太らないから、多分無理だと思う」
確か長姉様の固有スキル、女神の神核にはいくらカロリー摂取しても太らないという世の女性が泣いて欲しがるような効果があったはずだ。
試験は先ほど知っている通りに開始した。私は今、キルアに後ろからつかまる形でスケボーに乗せられている。視線は感じない。それは長姉様のスキルに気配遮断があることを思い出して、試しにやってみたら簡単にできた。薄々気が付いていたけれど、容姿以外も私はしっかり長姉様になっているらしい。流石アサシン、とか、ハンターの世界ではこれは絶扱いになるのかしら、とか言いたいことは色々あったけれど、とにかく私は少しずつハンター世界と長姉様成り代わりということを理解し始めた。
納得は一切、本当に一切してませんけど!!!
「つーか、仮にも試験だっていうのにドレスって余裕じゃん」
「これにはね、もう語るも涙のわけがあって、」
「ま、よく分かんねーけど、いいんじゃね?似合ってるし」
「キルアって絶対将来沢山の女の子転がすよね。知ってる」
「なんだよそれ」
喋るのがあまり得意ではない私はキルアと何だかんだ会話を続けられていることに感動していた。きっと彼のコミュ力によるものなのだろう。
この後の展開は確か……
「おいガキ汚ねーぞ! 反則してんじゃねーよ」
ああ、始まった。聞きなれたセリフと声。主役級の登場だ。分かっていたことだけれど、心臓は大きく音をたてた。長姉様本人なら全く意に介さないであろう状況。成り代わったとはいえ、私のデリケートなところは全く変わっていないらしい。少しの情けなさにため息をつきたくなった。
「え?何で?」
キルアは意に介していない。ひっそりと変なおっさん、なんて私に囁いた。
「何でって……こりゃ持久力のテストだろ!なのに道具使うなんて卑怯じゃねーか!」
「え、違うよ。試験官の人はついて来いって言っただけだし」
前者の言葉とは違い、キルアを庇うような言動をする後者。ゴン=フリークス。心の中で小さく呟いた。
「どっちの味方だよ、てめーはよォ!」
「怒鳴るなレオリオ。体力を消耗したいのか。何よりもまず煩い」
レオリオ、ゴン、クラピカ、キルア。メイン四人組の出会いのシーンを実際見ているとなると奇妙な気持ちになる。現実なのに非現実的だという圧倒的な矛盾に顔を顰めた。今までに私が見てきた数々のトリップ夢主はこんな気持ちになっていたのだろうか。
「基本的にテストは持ち込み自由になっている。試験官が走ってついて来いと言わない限り反則にはならない」
金髪の少年、クラピカの補足は彼の冷静さをよく表していた。
「ねえ君、年いくつ?」
「え? オレ? もうすぐ十二歳!」
「へー」
淡泊な返事だが、キルアはゴンに興味を持ったことは確かだった。レオリオとクラピカよりも年が近いからだろう。暗殺一家の後継者と目された存在は友達一人作ることを許されなかった。漫画の中では笑って流せるけれど、現実だとなかなかに壮絶だ。
「そう言えば、お前らはステンノを見ても何も思わねーの?」
「ステンノ?」
思い出したように言うキルアに、私とキルア以外の三人の声が重なる。いつかはこうなっていたのだ。渋々私は口を開いた。
「……こんにちは?」
『えええええええええええ!!!!』
その後の絶叫といったらあたりの視線が一斉に向くほどすごいものだった。
三人に自己紹介やちょっとした問答を終え(見かねたキルアが助けてくれた)、再び原作へ戻ってく。クラピカの性別は確か不明だったけれど、長姉様のスキルが効いたようだったから、男性であることが確定するという小ネタも実はあったりした。
「やっぱオレも走ろ」
「え、私はどうしたらいいの?」
「ばーか。おいて行ったりしねー。ちゃんと背負うって」
「わーかっこいい!」
ゴンが私の気持ちを代弁してくれた。それでも不安は残るもので……
「背負うって、大丈夫?」
「そんくらいよゆー」
ほらな、そう言ったキルアはスケボーから降りて私を言葉通り背負った。片手でスケボーも持ちながら。改めてキルアのスペックの高さを実感する。長姉様だって一応米俵一つの重さになるのだ。それを持ちながら走り続けるなんて常人には絶対にできない。
「オレ、キルア」
「オレはゴン」
はらはらしている私とは反対にもうその心配は終わったこととして処理されたらしい。楽しそうな二人を見ていたら、私がおかしいのかという気がしてくる(実際背負われて受験する受験者なんていないから、確かにおかしいのだけれど)
「おっさんは?」
「おっさんってオレはまだ十代だぞ!」
確かにレオリオは十九には見えない。初めて漫画を読んだ時のことを思い出した。ゴン達が年相応に見える分、レオリオは三十くらいに見えていた。
「ウソォ!」
「あーッ! ゴンまでひっでーもう絶交な!」
「……ふふ」
「ステンノまで……」
こらえきれず笑ってしまったら、レオリオは項垂れた。本人にも気にするところがあったらしい。ステンノ、とレオリオが呼んできたことには驚いたけれど、相手はゴンで隠れていてもコミュ力の権化。すごいなあ、なんて自分と比べてしまい遠い目になった。