ハンター試験編
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「三番スタート」
周囲のざわつきもしょうがないことだと苦笑しながら私は足を踏み出す。出発する順番は前回の試験のゴール順。強そうに見えない、尤もな意見だ。実際のところこのハンター試験、一度だって私自身の実力で勝ち抜いていないのだから。特にゾルディック家に物理的におんぶにだっこ状態だったことは自覚している。
小走りで進んでいく。計画としてとりあえず序盤はスタート地点から離れる、そして期日の一週間後まで過ごせそうな場所を探し、息を潜めるつもりだ。私はくじの結果既に六ポイントを得ているため誰かを狙わなくてもよい。標的として狙われることもない。点数の足しにされる前に隠れてしまった方が効率のいいことは分かり切っている。
ポイントを既に得ていて試験通過条件を例外的に満たしている私。長姉様のスペックも相まって今回の試験は勝ち確なのではないか、というのが開始数分後の見解だった。ただし少しネックなのが一週間という期間。隠れ家は慎重に選ばなくてはならない。それはスタート地点から遠すぎてもいけないのだ。
周囲は木ばかりで変わり映えしない光景が続いている。方向感覚がおかしくなってしまいそうだとため息を吐きたくなった。
そんな時。
「やあ」
「……ヒソカ、さん」
太陽に反射した美しい赤髪は鮮血のようで。考え事をしていたせいなのかその気配に気が付くことが出来なかった。内心焦るものの、目の前のヒソカからは原作で描写されるような恐ろしさは感じられない。それは軍艦島の時と同じようだった。
「……キミはカタチのない島を知っているかい?」
「は、」
「知らないのなら別にいいけどさ」
ヒソカとこうして二人きりで話すのは二度目だ。ヒソカのこの態度。原作という絶対的な知識との乖離に困惑すると共に、ヒソカの口から出た「カタチのない島」という言葉はあまりに信じ難いものだった。
カタチのない島。それはゴルゴン三姉妹の終焉の土地であり、同時に彼女達だけのものであるはずだった。この世界には決して存在しないはず。それをヒソカが知っているのは間違いなく歪みで、意味の一片すらわからない。
「……あの、」
「まあ、どうせキミは今回の試験で戦う気はないんだろ?それなら、ボクがこうしようと問題ないわけだ」
質問に対しての私の反応すらどうでもいいような扱い。そして私が何か言い返す間もなくヒソカは私を抱き上げた。片腕に乗せられるその体勢はイルミにもされたものだった。 揺らいだバランスを安定させるために反射的にヒソカの首に手を置いた。
「、え」
「隠れ場所を探しているんだろう。キミはかくれんぼが得意だろうから、ボクの助けなんて必要ないかもしれないけど」
ヒソカは何を考えているのか、何がしたいのかわからない。端正な横顔は感情を読み取らせてはくれない。それなのに胸の中に波紋のように広がるこれは何なのだろう。
私を抱えたまま(反抗するだけの気力は私には残念ながらない)ヒソカは足早に進んでいった。森の中なのにどの方向が正解なのかわかっているかのようだった。そして私が目視で距離を測ることを諦めた頃、大樹の傍に私を下ろした。
「もしかして、この木の洞の中にいればいいってこと、ですか?」
「そう。あと言い忘れてたけど敬語はいらないし、ボクのことはヒソカでいい」
理由がわからない。どう答えていいのか考えあぐねる私にヒソカは笑った。その表情は一人ぼっちの子どものような印象を私に抱かせた。不思議なことだ。
「じゃあ、またあとで」
私が木の洞に入ったことを確認したヒソカはその入り口をバンジーガムで塞いだ。その後も何かしていたようけれどそれは大方薄っぺらな愛だろう。その意味はヒソカがさっき言った通り私を助けるためだ。
ヒソカが行ってしまった後、私はぼんやりと時間を持て余すだけになってしまっていた。この身体はサーヴァント。人の輪から外れているために食事をはじめとした活動を一切必要としない。それにしては魔力の依存先がどこかも分からない奇妙な仕様だけれど、考えたところで分かることでもないのだ。
ただ人間が必要とする活動も必要ないだけでできないわけではない。目を閉じて数分も経てば意識は夢の世界へ沈んでいった。
周囲のざわつきもしょうがないことだと苦笑しながら私は足を踏み出す。出発する順番は前回の試験のゴール順。強そうに見えない、尤もな意見だ。実際のところこのハンター試験、一度だって私自身の実力で勝ち抜いていないのだから。特にゾルディック家に物理的におんぶにだっこ状態だったことは自覚している。
小走りで進んでいく。計画としてとりあえず序盤はスタート地点から離れる、そして期日の一週間後まで過ごせそうな場所を探し、息を潜めるつもりだ。私はくじの結果既に六ポイントを得ているため誰かを狙わなくてもよい。標的として狙われることもない。点数の足しにされる前に隠れてしまった方が効率のいいことは分かり切っている。
ポイントを既に得ていて試験通過条件を例外的に満たしている私。長姉様のスペックも相まって今回の試験は勝ち確なのではないか、というのが開始数分後の見解だった。ただし少しネックなのが一週間という期間。隠れ家は慎重に選ばなくてはならない。それはスタート地点から遠すぎてもいけないのだ。
周囲は木ばかりで変わり映えしない光景が続いている。方向感覚がおかしくなってしまいそうだとため息を吐きたくなった。
そんな時。
「やあ」
「……ヒソカ、さん」
太陽に反射した美しい赤髪は鮮血のようで。考え事をしていたせいなのかその気配に気が付くことが出来なかった。内心焦るものの、目の前のヒソカからは原作で描写されるような恐ろしさは感じられない。それは軍艦島の時と同じようだった。
「……キミはカタチのない島を知っているかい?」
「は、」
「知らないのなら別にいいけどさ」
ヒソカとこうして二人きりで話すのは二度目だ。ヒソカのこの態度。原作という絶対的な知識との乖離に困惑すると共に、ヒソカの口から出た「カタチのない島」という言葉はあまりに信じ難いものだった。
カタチのない島。それはゴルゴン三姉妹の終焉の土地であり、同時に彼女達だけのものであるはずだった。この世界には決して存在しないはず。それをヒソカが知っているのは間違いなく歪みで、意味の一片すらわからない。
「……あの、」
「まあ、どうせキミは今回の試験で戦う気はないんだろ?それなら、ボクがこうしようと問題ないわけだ」
質問に対しての私の反応すらどうでもいいような扱い。そして私が何か言い返す間もなくヒソカは私を抱き上げた。片腕に乗せられるその体勢はイルミにもされたものだった。 揺らいだバランスを安定させるために反射的にヒソカの首に手を置いた。
「、え」
「隠れ場所を探しているんだろう。キミはかくれんぼが得意だろうから、ボクの助けなんて必要ないかもしれないけど」
ヒソカは何を考えているのか、何がしたいのかわからない。端正な横顔は感情を読み取らせてはくれない。それなのに胸の中に波紋のように広がるこれは何なのだろう。
私を抱えたまま(反抗するだけの気力は私には残念ながらない)ヒソカは足早に進んでいった。森の中なのにどの方向が正解なのかわかっているかのようだった。そして私が目視で距離を測ることを諦めた頃、大樹の傍に私を下ろした。
「もしかして、この木の洞の中にいればいいってこと、ですか?」
「そう。あと言い忘れてたけど敬語はいらないし、ボクのことはヒソカでいい」
理由がわからない。どう答えていいのか考えあぐねる私にヒソカは笑った。その表情は一人ぼっちの子どものような印象を私に抱かせた。不思議なことだ。
「じゃあ、またあとで」
私が木の洞に入ったことを確認したヒソカはその入り口をバンジーガムで塞いだ。その後も何かしていたようけれどそれは大方薄っぺらな愛だろう。その意味はヒソカがさっき言った通り私を助けるためだ。
ヒソカが行ってしまった後、私はぼんやりと時間を持て余すだけになってしまっていた。この身体はサーヴァント。人の輪から外れているために食事をはじめとした活動を一切必要としない。それにしては魔力の依存先がどこかも分からない奇妙な仕様だけれど、考えたところで分かることでもないのだ。
ただ人間が必要とする活動も必要ないだけでできないわけではない。目を閉じて数分も経てば意識は夢の世界へ沈んでいった。