ハンター試験編
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四次試験の内容も記憶と同じらしい。狩る者と狩られる者。自分のナンバープレートとクジで引いた自分の標的のナンバープレートは三ポイントとなり、他の標的は一ポイントにしかならない。試験を通過するには計六ポイント集めなくてはならないため、セオリー通りにいくと自分の標的を狩るのが効率的に良い。しかし、対人関係や純粋な力の差、それぞれの思惑、そういったものが複雑に絡み合う厄介な試験でもあった。
異分子である私はいったい何番を引くのか。気になるところだったけれど、順番が来て息を吐いた。私が引いたのは120番。つまりは自分の番号だったのだ。
「これは……」
試験官がニヤリ、と笑う気配がした。
私が自分の番号を引いたからだろう。その後原作には明らかになかった説明が付け加えられた。万一自分の番号を引いた者のプレートは、本人にとって六点分となる、と。つまり最初から試験通過の条件をクリアしていることになる。そんな奴がいるのかとにわかにざわつく中、運も実力の内、試験官はそう言って受験者を黙らせた。
内心喜びの声を上げている私だけれど、反対に船内にはピリピリとした緊張感が張り巡らされている……当たり前だ。誰が敵なのかここでは分からない。まして隣にいる人なのかもしれないのだ。
「ステンノ」
くじを引き終わった私達は四次試験の会場に向かうために船に乗り込んだ。周囲には重い雰囲気が漂っている。そのせいか隣にいるキルアも声を潜めて話しかけてきた。
「どうしたの?キルア」
「お前さ、自由時間の間どうせ暇だろ」
「そう、だけど」
「ゴンのとこに行く。一緒に行こう」
情けないのか有難いのか。キルアの私に対する保護対象的な扱いは継続中らしい。断る理由も力もない私は、大人しくキルアの手に引かれるがままになった。
ゴンは割合すぐ見つかった。何かを考えていたのだろうか。カモメが飛ぶ青空の下、甲板で一人座っていた。
「よ」
「キルア、ステンノ」
ゴンの隣に座ったキルアの隣に私も座る。ドレスのまま地べたに座るのもどうかと一瞬思ったものの、今更だった。今までの私の行動や身に降り掛かった出来事もそうだけれど、何より身に付けているもの全てが魔力で生成されるから汚れとは無縁だった。完全に杞憂である。
「何番引いた?」
「……キルアは?」
「ナイショ」
私は二人が話すのを黙って聞いていた。二人が話しているのを聞いていると何故だか落ち着く。今までの私はただの観客だったからなのだろうか……そのままだったら良かったのに。
「安心しろよ。オレの獲物は405番じゃない」
「オレも99番じゃないよ。120番でもない」
何気ないやり取りの中で、ふと自分が加わっていることに気付きハッとさせられる。
「せーので見せっこするか?ほら、ステンノも」
キルアにせっつかれて慌ててカードを取り出した。キルアはそんな私にボーッとするなよ、そう言って肘で小突いてきた。
用意が出来たことを確認するように三人で目配せし合う。誰からともなく頷き合った。
「せーの!!」
ゴンとキルアの掛け声と同時に出したクジの番号。ゴンが44でキルアが199、そして私が120。キルアが注目したのはゴンの数字だった。
「……マジ?お前クジ運ないなー」
「やっぱり?」
44番はヒソカの受験番号。死神と名高い彼らしい番号というかなんと言うか。狙ってその数字を取ったのではないかという疑いすら抱いてしまう。ヒソカに対しては他のキャラクターよりも像やイメージが先行しているというのも否めない。ヴィジュアルも含めキャラが濃すぎるのだ。
「キルアの…これ、誰の番号だっけ?」
「……やっぱしわかんねー?……ステンノは……って!お前!」
「、え?」
ゴンと話していたキルアの矛先が急に自分に向かったことに驚いて、思わずクジを落としてしまった。そしてクジはひらりとゴンの元へ。
「あ、ホントだ!試験官の人が言ってたのってステンノのことだったんだね」
「なんつーか、強運だな」
ゴンが返してくれたクジ。これは原作の歪みを補正する力か、長姉様の力か本当のところはどちらのおかげなのだろう。私としては後者を信じたい。どちらにせよ私にとっては都合の良い展開には変わりはないけれど。
「……幸運の女神様が私にはついてるから」
「初耳。まあ、ステンノはそれくらいしないと受からないだろ」
「でも本当にすごいよね!運も実力のうちって言うし!」
「ここまでくると殺しても死ななさそう……そんな焦るなって、冗談だろ」
「キルアは真顔で物騒なこと言うのよくない…!」
「はいはい」
抗議の意味を込めてキルアを小突くけれど全く効いていないのは丸わかりだ。適当な返事が返ってきただけだった。キルアに何か言おうとしたその時、私は口を噤んだ。私とキルアは同じものを見ていた。ゴンが震えていた。冷や汗をかきながらもその顔は笑っている。
それは時間にして数秒。ゴンが私達の視線に気付き、ハッとした表情を形作った。
「うれしいのか怖いのかどっちなんだ?」
キルアの問いかけにゴンは口を開く。
「両方…かな。これがもしただの決闘だったらオレに勝ち目はなかっただろうけど、プレートを奪えばいいってことなら何か方法があるはず」
ゴンの頬を汗が伝った。
「今のオレでも…少しはチャンスがある。そうおもうとさ怖いけど、やりがいはあるよ」
固く手を組むゴンを見るキルアの表情は柔らかかった。キルアは私に目配せをする。どうやらキルアの聞けたいことは聞けたらしい。
「……そっか。ま、がんばろうぜ。行こう。ステンノ」
立ち上がったキルアに倣って私も立ち上がる。生き残れよ、そうゴンに言うキルアに親指を立てるゴン。手を振った私にも笑顔で返してくれた。
試験が近付いている。
異分子である私はいったい何番を引くのか。気になるところだったけれど、順番が来て息を吐いた。私が引いたのは120番。つまりは自分の番号だったのだ。
「これは……」
試験官がニヤリ、と笑う気配がした。
私が自分の番号を引いたからだろう。その後原作には明らかになかった説明が付け加えられた。万一自分の番号を引いた者のプレートは、本人にとって六点分となる、と。つまり最初から試験通過の条件をクリアしていることになる。そんな奴がいるのかとにわかにざわつく中、運も実力の内、試験官はそう言って受験者を黙らせた。
内心喜びの声を上げている私だけれど、反対に船内にはピリピリとした緊張感が張り巡らされている……当たり前だ。誰が敵なのかここでは分からない。まして隣にいる人なのかもしれないのだ。
「ステンノ」
くじを引き終わった私達は四次試験の会場に向かうために船に乗り込んだ。周囲には重い雰囲気が漂っている。そのせいか隣にいるキルアも声を潜めて話しかけてきた。
「どうしたの?キルア」
「お前さ、自由時間の間どうせ暇だろ」
「そう、だけど」
「ゴンのとこに行く。一緒に行こう」
情けないのか有難いのか。キルアの私に対する保護対象的な扱いは継続中らしい。断る理由も力もない私は、大人しくキルアの手に引かれるがままになった。
ゴンは割合すぐ見つかった。何かを考えていたのだろうか。カモメが飛ぶ青空の下、甲板で一人座っていた。
「よ」
「キルア、ステンノ」
ゴンの隣に座ったキルアの隣に私も座る。ドレスのまま地べたに座るのもどうかと一瞬思ったものの、今更だった。今までの私の行動や身に降り掛かった出来事もそうだけれど、何より身に付けているもの全てが魔力で生成されるから汚れとは無縁だった。完全に杞憂である。
「何番引いた?」
「……キルアは?」
「ナイショ」
私は二人が話すのを黙って聞いていた。二人が話しているのを聞いていると何故だか落ち着く。今までの私はただの観客だったからなのだろうか……そのままだったら良かったのに。
「安心しろよ。オレの獲物は405番じゃない」
「オレも99番じゃないよ。120番でもない」
何気ないやり取りの中で、ふと自分が加わっていることに気付きハッとさせられる。
「せーので見せっこするか?ほら、ステンノも」
キルアにせっつかれて慌ててカードを取り出した。キルアはそんな私にボーッとするなよ、そう言って肘で小突いてきた。
用意が出来たことを確認するように三人で目配せし合う。誰からともなく頷き合った。
「せーの!!」
ゴンとキルアの掛け声と同時に出したクジの番号。ゴンが44でキルアが199、そして私が120。キルアが注目したのはゴンの数字だった。
「……マジ?お前クジ運ないなー」
「やっぱり?」
44番はヒソカの受験番号。死神と名高い彼らしい番号というかなんと言うか。狙ってその数字を取ったのではないかという疑いすら抱いてしまう。ヒソカに対しては他のキャラクターよりも像やイメージが先行しているというのも否めない。ヴィジュアルも含めキャラが濃すぎるのだ。
「キルアの…これ、誰の番号だっけ?」
「……やっぱしわかんねー?……ステンノは……って!お前!」
「、え?」
ゴンと話していたキルアの矛先が急に自分に向かったことに驚いて、思わずクジを落としてしまった。そしてクジはひらりとゴンの元へ。
「あ、ホントだ!試験官の人が言ってたのってステンノのことだったんだね」
「なんつーか、強運だな」
ゴンが返してくれたクジ。これは原作の歪みを補正する力か、長姉様の力か本当のところはどちらのおかげなのだろう。私としては後者を信じたい。どちらにせよ私にとっては都合の良い展開には変わりはないけれど。
「……幸運の女神様が私にはついてるから」
「初耳。まあ、ステンノはそれくらいしないと受からないだろ」
「でも本当にすごいよね!運も実力のうちって言うし!」
「ここまでくると殺しても死ななさそう……そんな焦るなって、冗談だろ」
「キルアは真顔で物騒なこと言うのよくない…!」
「はいはい」
抗議の意味を込めてキルアを小突くけれど全く効いていないのは丸わかりだ。適当な返事が返ってきただけだった。キルアに何か言おうとしたその時、私は口を噤んだ。私とキルアは同じものを見ていた。ゴンが震えていた。冷や汗をかきながらもその顔は笑っている。
それは時間にして数秒。ゴンが私達の視線に気付き、ハッとした表情を形作った。
「うれしいのか怖いのかどっちなんだ?」
キルアの問いかけにゴンは口を開く。
「両方…かな。これがもしただの決闘だったらオレに勝ち目はなかっただろうけど、プレートを奪えばいいってことなら何か方法があるはず」
ゴンの頬を汗が伝った。
「今のオレでも…少しはチャンスがある。そうおもうとさ怖いけど、やりがいはあるよ」
固く手を組むゴンを見るキルアの表情は柔らかかった。キルアは私に目配せをする。どうやらキルアの聞けたいことは聞けたらしい。
「……そっか。ま、がんばろうぜ。行こう。ステンノ」
立ち上がったキルアに倣って私も立ち上がる。生き残れよ、そうゴンに言うキルアに親指を立てるゴン。手を振った私にも笑顔で返してくれた。
試験が近付いている。