ハンター試験編
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飛行船でこの島までやってきた私達。しかし、あのお爺さんとお婆さんは受験者全員を置いて、飛行船でどこかに行ってしまった。私達は残されてしまったのだ。それが遅れてやってきた私にキルアから伝えられたことの顛末だった。
待つこと数時間。唯一と言っても良い手がかりはこれ見よがしに置かれていたという地図と羅針盤。行き方しか書かれていない不親切な地図のために、私はゴンとキルアと共に何か手がかりを探すため行動を共にすることにした。地図が見つかったのはいいけれど、距離すら分からないのにすぐに行動するのは頂けない、というクラピカの意見は正しい。それに聞く耳持たずに出ていった人達はどうなったのだったか。主人公に近しい人物と行動するのがこういった場合死亡率が下がるのだと思うのだけれど、紙面上画面上の人物にそんなメタ発言通用するとは思えなかった。
「ねえ、思ったんだけど」
ボロボロで使えるか怪しい潜水服、使い方もよくわからない機械。
手がかりらしい手がかりもないまま。三人の状態はそのままただの散策をしているだけだった。だから外に出てきて潮風を浴びている二人に私は言ってみることにしたのだった。幸運EXを信頼して、というよりは頼りっぱなしで。元の世界に戻れたら私は長姉様ありがとうの思いで課金しようと決意した。
「どうしたんだよ」
「どうしたの?まさか、何か気になることでもあった?」
二人は同じことを言う。それに私は頷いた。ゴンが原作でよくやっていた発想の転換、見方の転換が必要な時が来たのだという思いを込めて。
「、昔から大事な物は、私は高いところに隠す癖があって」
「それがどうかしたの?」
「あの、人は自分の目線から外れたところを無意識に見ていないと思うの」
思い返すのは家族に内緒で美味しいクッキーを買った時のことや、そういった下らない出来事の数々。ふと、強い郷愁の念が巻き起こってきそうになったのを寸でのところで押し止めて微笑みを形作る。これ以上はいけない、と前置きもほどほどに本題に入ることにした。目を丸くする二人は何を言いたいのかきっともう何となくわかっているのだろう。私はダメ押しとばかりに上を指さした。
「あそこ、何かありそうじゃない?」
私が指さしたのは船でも一番高いところ。客室になっていなかったため、おそらくはまだ誰もそこを調べてはいないと思われた。それに行くには足掛けを一つ一つ登っていかなくてはならない。
「確かに……あそこならまだ誰も入ってない」
「じゃあ早速行こう!」
手を引いてくれるゴンに私は待ったをかけた。ゴンが眉を下げる。すかさず体調を心配してくれたのに首を横に振った。
「私がそこに行くの、この服だし……二人がそこに行っている間また別のところを調べてくるよ」
「破れたりしたら困るもんね。分かった」
「そんなん今更な気もするけど……わかった。あんま離れんなよ」
それぞれの反応に苦笑いする。強く言えないのは今まで散々助けてもらっているからだ。危険である試験ならばともかく、それ以外まで背負ってまで行動するメリットはお互いにないのだとキルアも理解しているのだろう。付け加えられた一言はそれでも心配だと言っているようなものだったけれど。
「キルアはステンノに対してはお母さんみたいだね」
「ちょっと待てゴン!」
確かに。と思ったのはキルアには内緒にしておこう。仲良く去って行った二人を見送って私も歩き出した。
***
「キミがいればなんとかなる、ってギタラクルが言ってたけど」
いかなくていいのかい?と死神は笑った。
アサシンクラスというのは中々侮れないもので、近づいてくるヒソカの気配を私はばっちり把握していたのだった。ただ、私が二人とした会話をヒソカがどこでどうやって聞いていたのかは分からない。聞いたところで返ってくるのは飄々とした答えだけなのだろう。奇術師には不可能はないの、とかそういった。
「ヒソカさん」
「じゃんけん二十連勝、普通だったらできるはずもないことを易々とやってのけたキミは幸運の女神様ってところかい?ボクの気配にも気が付いていたみたいだし、本当に興味が尽きないよ」
なくなってしまえ。そんな興味。そう内心で毒づきながらヒソカから目を逸らす。何を考えているのか分からないその瞳はあまり得意ではなかった。危害を加えられることは、今のところないとは思っているけれど。原作の危険なイメージがあまりに強すぎる。私が本物の長姉様だったら恐れず渡り合うのだろうか。渡り合うんだろうなあ。
「……ただ、私が言えるのは」
「なんだい」
一拍間をおいて、引き結んでいた口を解いた。
「私がいなくても何事もなく進んでいきますよ」
私が伝えたのは謙遜でもなく知識として知っているための事実だった。自らが異分子である自覚、不条理な運命。その全てを伝えようとは思わないけれど。伝えないのはヒソカだからじゃない。彼らと私のどうしようもない隔絶は誰であろうと埋めることはできないものだ。
目を逸らしたのは私の方なのに、今更負けたような気になってヒソカの方を見た。予想外だったのはヒソカが目を見開いていたことだった。邪悪さは感じられない表情だった。
「なんだか、それじゃ報われないねえ」
今度は私が目を見開く番だった。物寂しさを感じさせるような優しい声色は私の中のヒソカ像とは結ばれない。別の人を相手にしているようだった。
「報われないって、誰が、」
「誰もが」
その意味を考えてもキリがないような気がした。不意にヒソカの手が私に近付いてきた。反射的に身構えようとするも、それよりヒソカは早かった。
「まあ、頑張りなよ」
痛みは訪れなかった。頭に触れた手の感触。優しいそれに撫でられているのだとすぐに気が付いた。何を考えているのか、本当によく分からない。戸惑い、嬉しさ、そして少しの後悔。全てが見透かされているような気がした。
待つこと数時間。唯一と言っても良い手がかりはこれ見よがしに置かれていたという地図と羅針盤。行き方しか書かれていない不親切な地図のために、私はゴンとキルアと共に何か手がかりを探すため行動を共にすることにした。地図が見つかったのはいいけれど、距離すら分からないのにすぐに行動するのは頂けない、というクラピカの意見は正しい。それに聞く耳持たずに出ていった人達はどうなったのだったか。主人公に近しい人物と行動するのがこういった場合死亡率が下がるのだと思うのだけれど、紙面上画面上の人物にそんなメタ発言通用するとは思えなかった。
「ねえ、思ったんだけど」
ボロボロで使えるか怪しい潜水服、使い方もよくわからない機械。
手がかりらしい手がかりもないまま。三人の状態はそのままただの散策をしているだけだった。だから外に出てきて潮風を浴びている二人に私は言ってみることにしたのだった。幸運EXを信頼して、というよりは頼りっぱなしで。元の世界に戻れたら私は長姉様ありがとうの思いで課金しようと決意した。
「どうしたんだよ」
「どうしたの?まさか、何か気になることでもあった?」
二人は同じことを言う。それに私は頷いた。ゴンが原作でよくやっていた発想の転換、見方の転換が必要な時が来たのだという思いを込めて。
「、昔から大事な物は、私は高いところに隠す癖があって」
「それがどうかしたの?」
「あの、人は自分の目線から外れたところを無意識に見ていないと思うの」
思い返すのは家族に内緒で美味しいクッキーを買った時のことや、そういった下らない出来事の数々。ふと、強い郷愁の念が巻き起こってきそうになったのを寸でのところで押し止めて微笑みを形作る。これ以上はいけない、と前置きもほどほどに本題に入ることにした。目を丸くする二人は何を言いたいのかきっともう何となくわかっているのだろう。私はダメ押しとばかりに上を指さした。
「あそこ、何かありそうじゃない?」
私が指さしたのは船でも一番高いところ。客室になっていなかったため、おそらくはまだ誰もそこを調べてはいないと思われた。それに行くには足掛けを一つ一つ登っていかなくてはならない。
「確かに……あそこならまだ誰も入ってない」
「じゃあ早速行こう!」
手を引いてくれるゴンに私は待ったをかけた。ゴンが眉を下げる。すかさず体調を心配してくれたのに首を横に振った。
「私がそこに行くの、この服だし……二人がそこに行っている間また別のところを調べてくるよ」
「破れたりしたら困るもんね。分かった」
「そんなん今更な気もするけど……わかった。あんま離れんなよ」
それぞれの反応に苦笑いする。強く言えないのは今まで散々助けてもらっているからだ。危険である試験ならばともかく、それ以外まで背負ってまで行動するメリットはお互いにないのだとキルアも理解しているのだろう。付け加えられた一言はそれでも心配だと言っているようなものだったけれど。
「キルアはステンノに対してはお母さんみたいだね」
「ちょっと待てゴン!」
確かに。と思ったのはキルアには内緒にしておこう。仲良く去って行った二人を見送って私も歩き出した。
***
「キミがいればなんとかなる、ってギタラクルが言ってたけど」
いかなくていいのかい?と死神は笑った。
アサシンクラスというのは中々侮れないもので、近づいてくるヒソカの気配を私はばっちり把握していたのだった。ただ、私が二人とした会話をヒソカがどこでどうやって聞いていたのかは分からない。聞いたところで返ってくるのは飄々とした答えだけなのだろう。奇術師には不可能はないの、とかそういった。
「ヒソカさん」
「じゃんけん二十連勝、普通だったらできるはずもないことを易々とやってのけたキミは幸運の女神様ってところかい?ボクの気配にも気が付いていたみたいだし、本当に興味が尽きないよ」
なくなってしまえ。そんな興味。そう内心で毒づきながらヒソカから目を逸らす。何を考えているのか分からないその瞳はあまり得意ではなかった。危害を加えられることは、今のところないとは思っているけれど。原作の危険なイメージがあまりに強すぎる。私が本物の長姉様だったら恐れず渡り合うのだろうか。渡り合うんだろうなあ。
「……ただ、私が言えるのは」
「なんだい」
一拍間をおいて、引き結んでいた口を解いた。
「私がいなくても何事もなく進んでいきますよ」
私が伝えたのは謙遜でもなく知識として知っているための事実だった。自らが異分子である自覚、不条理な運命。その全てを伝えようとは思わないけれど。伝えないのはヒソカだからじゃない。彼らと私のどうしようもない隔絶は誰であろうと埋めることはできないものだ。
目を逸らしたのは私の方なのに、今更負けたような気になってヒソカの方を見た。予想外だったのはヒソカが目を見開いていたことだった。邪悪さは感じられない表情だった。
「なんだか、それじゃ報われないねえ」
今度は私が目を見開く番だった。物寂しさを感じさせるような優しい声色は私の中のヒソカ像とは結ばれない。別の人を相手にしているようだった。
「報われないって、誰が、」
「誰もが」
その意味を考えてもキリがないような気がした。不意にヒソカの手が私に近付いてきた。反射的に身構えようとするも、それよりヒソカは早かった。
「まあ、頑張りなよ」
痛みは訪れなかった。頭に触れた手の感触。優しいそれに撫でられているのだとすぐに気が付いた。何を考えているのか、本当によく分からない。戸惑い、嬉しさ、そして少しの後悔。全てが見透かされているような気がした。