ハンター試験編
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この島でしばしの休息をお楽しみください。
先ほどから漫画の展開と現状とを脳内で照らし合わせていたけれど、その一言で疑問が確信に変わった。この後、目の前お婆さんとお爺さんはとんでもないことを言ってのける。それらを思い出してしまった。
「だってさ。良かったな、ステンノ」
「そうだね、(まさかここで旧アニオリ回を挟むとは……!)」
軍艦島編。漫画は最近読み返したけれど、アニメは一二年ほど前に見返したっきりだ。大体の流れは覚えている。それでも記憶というものは案外当てにならないもので。一滴の不安が胸に滲んでいくようだった。
ホテルの法外な宿泊費を払うために、数々の難破船が漂着するという島の特徴からお宝を探すことになった私達。現物で払うことができるというのは、救済策なような罠なような。前金1000万と言われたら後者の可能性を感じざるをえない。
それでも幸運EXを前にしたら、とりあえずどんな状況でも悪いようには転がらないようだった。
「ステンノ、それは…?」
「ああ、このイヤリングはね、片方しかないけどさっき落ちていたのを拾ったの。流石にこれで1000万はしないと思うけど」
話しかけてきたクラピカに手に持っていたイヤリングを見せた。金色の大振りのイヤリングはまるでどこかの王様の所有物のように光り輝いている。本当に無造作に転がっていたものを拾ったから、私達と同じように宝探しをしている人のものだと言われても否定はできない。ただ、イヤリングを見たクラピカは急に無言になってしまった。
「……どうかしたの?」
「……いや、間違いない」
「クラピカ?」
クラピカが私に耳を貸してくれ、そう言った。私はその通りにクラピカに耳を差し出す。いわゆる内緒話をする体勢だ。クラピカの息が耳にかかる。思わずくすぐったさに身をよじると、すまない、そう焦ったような声がした。
「実は、世界最古の王、という存在が数十年前発掘された遺跡から明らかになっていて、その発掘物の一部が博物館へ輸送中に行方不明になったらしい。私の持ち得る知識では、君が持っているイヤリングは、百億は下らない代物の可能性がある」
耳をクラピカから離した私は驚きを隠すことができなかった。百億…百億て……!
「、本当?」
「確信には至っていないが、その可能性は高い」
「えっ、キルア達にも言ってくるね…!これがあれば、皆の分のホテル代もばっちりだろうし……!」
「あっちょっと待て、ステンノ……!……私は自分のホテル代は自分で見つけると言いたかったが、あの様子では届いていないな」
興奮していた私にクラピカのため息は聞こえなかった。
***
キルアとゴンの二人を探しに来たけれど、二人はまだ探している最中らしく姿が見えなかった。しょうがなく、鑑定してもらいに行くことにした。当りを付けずに探すよりも、最終目的地にいさえすればいずれ合流できるからだ。長姉様の力だったらそう苦労もなく見つけることが出来るのは分かっている。正直に言うと先ほどから日差しが強く、あまり歩きたくなかったのも少し。
「あの、このイヤリング、お願いします」
「こ、これは……」
口をあんぐりと開けて動かなくなってしまったお爺さんに不安が募る。偽物の可能性もゼロじゃない。見た目はどうあっても前金さえ届かなさそうだった。
「部屋、貸してもらえるでしょうか?」
しかし、そんな不安は杞憂だったらしい。お爺さんの声音で私はクラピカが言っていたことが真であると理解した。恐ろしいほどの熱がお爺さんを取り巻いているように感じた。
「貸せますとも…!素晴らしい一品の他何も言えませぬ。原初の王の耳飾りをここで目にすることとなろうとは……」
「一等船室です」
すかさずお婆さんから渡された鍵に面食らうも、もう一つの目的を忘れてはいない。
「あ、あの……、もし大丈夫でしたら私の部屋のランクを下げてもいいので、」
「どうかされましたか?」
「十歳ほどの黒髪の男の子と銀髪の男の子、それよりも少し年の大きな金髪で綺麗な顔をした子と、短髪で眼鏡をかけ、トランクを持った男性がこれから来ます。もし彼らにお金が足りない等のことがありましたら、私の持ってきたこのイヤリングで補えそうであれば、お願いしたいのですが……」
ゴンとキルアとクラピカとレオリオ。その四人がここで脱落ということはないと思うけれど、もし万一が起きた時の保険があるに越したことはない。お爺さんは快諾してくれた。
その後合流したゴンには釣りに誘われたけれど、早くシャワーに浴びたいからと言って断った。ただ、甲板に長いこといるみたいで後で来るということになった。私は部屋へ急ぐ。長姉様の体は新陳代謝とは無縁。しかし何となく現代人の感覚から言えば、一日一度は体を綺麗にしておきたいのだ。
部屋は一等船室と言われただけあって、一人部屋のそこそこしっかりとした作りの部屋だった。水の出も良好。やはり何事も綺麗にする行為というものは心にも清涼感をもたらしてくれる。お風呂に入りたいと思ったものの、それはあまり一般的ではない。外国に行った日本人あるあるなのではないだろうか。
結局シャワーで終えた私はしばらくの休憩を挟み、ゴンとキルアが待つ甲板に行くことにしたのだった。
甲板に近付くにつれ、煙とそれに紛れて美味しそうな匂いが漂ってきた。空は茜色。二人は案の定、釣った魚を焼いていたところだったらしい。これは良い時に来てしまった。
「美味しそうだね」
「ステンノ!キルアったら、自分で釣ったのに気持ち悪いって言うんだよ。魚に失礼だよね」
「…だってコイツ、目が動いたんだよ」
確か、アニメでそんなこと言ってたっけ。細かいことを覚えていないせいか何だか新鮮に感じた。
「、一口もらってもいい?それで私に何もなかったら、キルアが食べたらいいよ」
「お前が食べたいだけだろ」
「バレたか……」
「それならステンノ、こっちにもう一匹あるから食べなよ」
ゴンがくれた魚を有難くいただくことにした。結局私達はそのまま辺りが暗くなるまで話し続けたのだった。
先ほどから漫画の展開と現状とを脳内で照らし合わせていたけれど、その一言で疑問が確信に変わった。この後、目の前お婆さんとお爺さんはとんでもないことを言ってのける。それらを思い出してしまった。
「だってさ。良かったな、ステンノ」
「そうだね、(まさかここで旧アニオリ回を挟むとは……!)」
軍艦島編。漫画は最近読み返したけれど、アニメは一二年ほど前に見返したっきりだ。大体の流れは覚えている。それでも記憶というものは案外当てにならないもので。一滴の不安が胸に滲んでいくようだった。
ホテルの法外な宿泊費を払うために、数々の難破船が漂着するという島の特徴からお宝を探すことになった私達。現物で払うことができるというのは、救済策なような罠なような。前金1000万と言われたら後者の可能性を感じざるをえない。
それでも幸運EXを前にしたら、とりあえずどんな状況でも悪いようには転がらないようだった。
「ステンノ、それは…?」
「ああ、このイヤリングはね、片方しかないけどさっき落ちていたのを拾ったの。流石にこれで1000万はしないと思うけど」
話しかけてきたクラピカに手に持っていたイヤリングを見せた。金色の大振りのイヤリングはまるでどこかの王様の所有物のように光り輝いている。本当に無造作に転がっていたものを拾ったから、私達と同じように宝探しをしている人のものだと言われても否定はできない。ただ、イヤリングを見たクラピカは急に無言になってしまった。
「……どうかしたの?」
「……いや、間違いない」
「クラピカ?」
クラピカが私に耳を貸してくれ、そう言った。私はその通りにクラピカに耳を差し出す。いわゆる内緒話をする体勢だ。クラピカの息が耳にかかる。思わずくすぐったさに身をよじると、すまない、そう焦ったような声がした。
「実は、世界最古の王、という存在が数十年前発掘された遺跡から明らかになっていて、その発掘物の一部が博物館へ輸送中に行方不明になったらしい。私の持ち得る知識では、君が持っているイヤリングは、百億は下らない代物の可能性がある」
耳をクラピカから離した私は驚きを隠すことができなかった。百億…百億て……!
「、本当?」
「確信には至っていないが、その可能性は高い」
「えっ、キルア達にも言ってくるね…!これがあれば、皆の分のホテル代もばっちりだろうし……!」
「あっちょっと待て、ステンノ……!……私は自分のホテル代は自分で見つけると言いたかったが、あの様子では届いていないな」
興奮していた私にクラピカのため息は聞こえなかった。
***
キルアとゴンの二人を探しに来たけれど、二人はまだ探している最中らしく姿が見えなかった。しょうがなく、鑑定してもらいに行くことにした。当りを付けずに探すよりも、最終目的地にいさえすればいずれ合流できるからだ。長姉様の力だったらそう苦労もなく見つけることが出来るのは分かっている。正直に言うと先ほどから日差しが強く、あまり歩きたくなかったのも少し。
「あの、このイヤリング、お願いします」
「こ、これは……」
口をあんぐりと開けて動かなくなってしまったお爺さんに不安が募る。偽物の可能性もゼロじゃない。見た目はどうあっても前金さえ届かなさそうだった。
「部屋、貸してもらえるでしょうか?」
しかし、そんな不安は杞憂だったらしい。お爺さんの声音で私はクラピカが言っていたことが真であると理解した。恐ろしいほどの熱がお爺さんを取り巻いているように感じた。
「貸せますとも…!素晴らしい一品の他何も言えませぬ。原初の王の耳飾りをここで目にすることとなろうとは……」
「一等船室です」
すかさずお婆さんから渡された鍵に面食らうも、もう一つの目的を忘れてはいない。
「あ、あの……、もし大丈夫でしたら私の部屋のランクを下げてもいいので、」
「どうかされましたか?」
「十歳ほどの黒髪の男の子と銀髪の男の子、それよりも少し年の大きな金髪で綺麗な顔をした子と、短髪で眼鏡をかけ、トランクを持った男性がこれから来ます。もし彼らにお金が足りない等のことがありましたら、私の持ってきたこのイヤリングで補えそうであれば、お願いしたいのですが……」
ゴンとキルアとクラピカとレオリオ。その四人がここで脱落ということはないと思うけれど、もし万一が起きた時の保険があるに越したことはない。お爺さんは快諾してくれた。
その後合流したゴンには釣りに誘われたけれど、早くシャワーに浴びたいからと言って断った。ただ、甲板に長いこといるみたいで後で来るということになった。私は部屋へ急ぐ。長姉様の体は新陳代謝とは無縁。しかし何となく現代人の感覚から言えば、一日一度は体を綺麗にしておきたいのだ。
部屋は一等船室と言われただけあって、一人部屋のそこそこしっかりとした作りの部屋だった。水の出も良好。やはり何事も綺麗にする行為というものは心にも清涼感をもたらしてくれる。お風呂に入りたいと思ったものの、それはあまり一般的ではない。外国に行った日本人あるあるなのではないだろうか。
結局シャワーで終えた私はしばらくの休憩を挟み、ゴンとキルアが待つ甲板に行くことにしたのだった。
甲板に近付くにつれ、煙とそれに紛れて美味しそうな匂いが漂ってきた。空は茜色。二人は案の定、釣った魚を焼いていたところだったらしい。これは良い時に来てしまった。
「美味しそうだね」
「ステンノ!キルアったら、自分で釣ったのに気持ち悪いって言うんだよ。魚に失礼だよね」
「…だってコイツ、目が動いたんだよ」
確か、アニメでそんなこと言ってたっけ。細かいことを覚えていないせいか何だか新鮮に感じた。
「、一口もらってもいい?それで私に何もなかったら、キルアが食べたらいいよ」
「お前が食べたいだけだろ」
「バレたか……」
「それならステンノ、こっちにもう一匹あるから食べなよ」
ゴンがくれた魚を有難くいただくことにした。結局私達はそのまま辺りが暗くなるまで話し続けたのだった。