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貴方のコトが、
好きで、好きで、好きで・・・・・・・
大好きで・・・・・・。
夢の中の貴方は、今まで私が見たこともないような笑顔で微笑んで。
優しくて、カッコ良くて。
でも、私が貴方に少しでも触れようとすると・・・・・・・・・
そこで、私は目覚める。
ベッドの中で伸ばした、行き場のない手。
きつく握り締めると、私の瞳からは涙が零れていた。
「・・・・・・・・景吾・・・・・・・」
普段、決して口にはしない彼の名前を紡ぐ。
零した涙が、すごくしょっぱかった。
その朝、毎朝恒例になってしまった腫れぼったい瞼を一生懸命化粧で隠す私。
鏡に映る私は、ひどい顔だった。
********************************
昼食を終え、一休みの昼休み。
私は、自分の席・・・・・・(廊下側の一番前・・・・・最低だよ)で、朝出来なかった部誌の確認をしていた。
そこに、他のクラスの女の子が1人。
「あの・・・・・・跡部様は、いますか?」
その子は、私に話しかけて来て・・・・・・またか・・・・・そう思う。私は、この席になってから呼出には慣れたもので、窓際を振り返り忍足と話している跡部を呼ぶ。
「跡部ー!お客さん!」
私の声に振り返った跡部は、面倒臭そうに立ち上がりゆっくりとこちらに来る。
そうして、二言、三言話すと、二人で教室を出て行った。
3年になって同じクラスになり、週の半分以上は呼出される跡部。
それでも、彼は特定の彼女を作らない。
私は、1年の時から男テニのマネージャーで跡部やレギュラー達とはすごく親しかったから・・・・・告白して、いつも断られ泣いている女の子達を嫌というほど見てきた。
でも・・・・・・私はそんな彼女達が羨ましい。
断られたって、何だって、自分の正直な気持ちをちゃんと打ち明けられるんだから・・・・・・。
跡部にとって、私は同じ部活のマネージャーで、『仲間』みたいなもの。
下手に、近い位置に居すぎて・・・・・・告白とか・・・・・そういうタイミングを逃してしまった。
授業前に、お手洗いに行ってこようと席を立つ私。
その途中で、2、3人に囲まれて泣いている女の子とすれ違った。
さっきの女の子だと気づいたのはすぐで・・・・・。
その状態から、また跡部は断ったんだと分かった。
でもどこか、ほっとする自分がいて・・・・・・私はその足である場所に向かった。
「あーとーべ」
向った先は、特別教室の棟の非常階段の踊り場。跡部は、だいたい休みの時間の告白をこの場所で受ける。
「・・・・・・お前か・・・・・何か用か?」
手すりに腕を乗せ、空に視線を向けていた跡部が、私の声にチラッとこっちに視線を向けた。
太陽の日差しで、日に透ける髪はとても綺麗で・・・・・見とれてしまう。
「・・・・・・・・また、断ったんだね・・・・・・・」
そう言うと、一言で答える。
「まぁな」
そう言う跡部についつい言ってしまう。
「跡部さぁ、やっぱり理想高いんじゃないの?可愛い子だったのに・・・・・もったいないよ?」
その言葉に、こちらを向きながら跡部が答える。
「俺だって、好きな奴くらい居る。そいつでなきゃ、好きだと言われたって意味がねぇからな」
「・・・・・・・え?」
突然の跡部の爆弾発言に、私は思わず固まった。
・・・・・・・・・ 『好きな奴』・・・・・?いたの?
胸がぎゅって締め付けられてるみたいだった。
一瞬、息ができなかった。
でも、頑張って冷静さを保ちながら、言葉を吐き出す私。
「・・・・・・・えー、誰?跡部の好きな子ってどんな子なの?」
まるで興味津々を装って、明るく声を出す。
跡部は、一瞬間を置いたあと。真面目な顔で答える。
「そうだな・・・・・まず、意地っ張りで、気が強くて、面倒見が良い」
ふむふむ・・・・・でも、そういう子はたくさん居るわね。
「部活ではマネージャーで、俺の事を苗字で呼んでる」
マネージャー・・・・・って事は運動部の子ね。で、苗字で呼ぶ・・・・・確かに、跡部の事を名前呼ぶ子はいないよね・・・・?
「それでいて、泣き虫だな」
「・・・・・泣き虫?」
ちょっと、意外な言葉に聞き返してしまう。
跡部は、にやりと笑って、言葉を続ける。
「ここ最近は、ずっと泣き腫らした目で学校来てるしな」
・・・・・・・・・・っそれ・・・・・・・・て?
だんだん自分の顔が真っ赤になっていくのが分かる。
私は、その顔を見られたくなくて俯く。
その間にも、跡部は私に近づいて来て私の耳元で囁いた。
「バレバレなんだよ。お前の気持ちなんて」
思わず、顔を上げた私の目の前には・・・・・・・優しい瞳の跡部。
いつも夢見て、夢でしか会えなかった笑顔。
私は嬉しくて、でも恥ずかしくて・・・・・・零れた涙は跡部に拭われた。
「・・・・・・・ばか・・・・・跡部」
それだけ言った私に、跡部は口端を上げて笑いながら言った。
「名前で呼べ」
「・・・・・・・・景吾・・・・・・」
一人の時しか、紡いだ事のない名前。
私の言葉に応える貴方。
近づいてきた顔に、私もそっと瞳を閉じた。
優しい、温かいキス。
「好きだ。だから、もう1人で泣くな」
キスの合間の短い言葉。
私は、その言葉に笑顔で答えた。
「うん。景吾、大好きv」
**END**