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最初は、ちょっとした不安だったの。
貴方は、いつも私の言葉に答えてくれる。
言う事・・・・・聞いてくれたから・・・・・・・・。
貴方に、どっぷり甘えながらも・・・・・・・私はまだ不安で。
・・・・・・・・・どうしたらいいの?
「周助・・・・・・・私の事好き?」
「勿論、好きだよ」
「今度、あの映画観に行きたい!!」
「じゃぁ、今度の日曜日に観に行こうか?」
「じゃ、愛してる!って言って?」
「愛してるよ」
毎日のように、交わされる会話。
付き合いだした私達の間では、もうそれが日常になってる。
私の問いかけや、我侭にも嫌な顔一つせず笑顔で応えてくれる周助。
いつも、いつも、いつも・・・・・・・・・・・・・
なのに、今日もまた同じ会話を周助に求めてしまう・・・・・・・・
こんな私は、やっぱり迷惑かな・・・・・・・?
******************************
屋上で私は、大きく一つ溜息を漏らす。
今は、授業中・・・・・屋上には人影はない。
「馬鹿だよねぇ・・・・・?私・・・・・・・」
自嘲気味の言葉は、独り言。
今、私はココで周助を待ってる。授業始まる前に、メールを打ったから・・・・・もう少しでここに来るはず。
・・・・・・・・・最初は、ただの不安の解消。
でも、周助がちゃんと『言葉』で応えてくれたら、それで安心できた。
でも、どんどん周助のことを知るようになって・・・・・・不安はどんどん膨らんでいった。
周助は優しい。
男女問わず、誰にでも。
それは、『彼女』になれた事で舞い上がっていた私を・・・・・・・・地面に突き落とすようなものだった。
『彼女』の私には優しい。でも・・・・・・友達である『女の子』達にも、同等に優しい。
結局、『私』だけが『特別』な存在ではなかった。
それに気付かされてから、毎日のように周助に問い掛ける私の言葉。
『好き?』
『愛してる?』
愛情の確認。だけど・・・・・・それすら、今では私の不安を膨らませるだけ・・・・・・・。
膨らみつづけた私の不安は・・・・・・もう・・・・・限界だよ?
周助も、もう呆れてるんでしょ?
鬱陶しく思ってるんでしょ?
だから、いつも同じ言葉しか返してくれないんだよね・・・・・・・?
だから・・・・・・・
もう開放してあげる。
―――――――――――― 私から。
ギイィと軋むような、ドアの開く音。私は、まだ空をボーッと眺めていた。
「今日はどうしたの?授業中に呼び出しなんて・・・・・」
そう言いながらも、決して声にすら不機嫌を表さない貴方。
足音が近くで止まり、私はゆっくり振り返った。
「周助・・・・・私の事・・・・・好き?」
いつもの問いに、笑顔で応える貴方。
「好きだよ・・・・」
そうだね・・・・・貴方ならそう言ってくれるよね?
「ありがとう・・・・・だから、別れよ?」
精一杯の笑顔で、貴方を見つめながら言った。
「どうして?」
少し、真剣な瞳になる周助。私は、自分の言った言葉に泣きそうになりながらも笑顔を絶やさないよう必死に作る。
「え?もう、いいよ。周助も、私なんかに構ってるの・・・・・いい加減イヤになる頃でしょ?」
「何を・・・・・?」
周助が口を開きかけるのを無視して、私は最後の一言を言う。
「サヨナラ、周助」
そのまま、周助の横を通り過ぎて屋上の出口に向かった。
そこで涙が溢れてきた。
でも・・・・・・・・もういい。だって、私はもう二度と振り向かないから・・・・・・・。
大好きだよ、周助。
今まで、束縛して・・・・・・・・ごめんね・・・・・?
もうすぐ出口という所で、不意に腕を掴まれ私はバランスを崩した。
倒れる!!そう思った時には、周助の温かい腕の中。
「や・・・・・離して・・・・っ」
暴れる私を、周助はこれ以上身動きできないようにギュッと抱いた。
「何で、そんな事言うのかな?」
いつもより、ワントーン下がった周助の声。耳元で囁かれれば、それはひどく響いて・・・・・私は背筋がゾクッとした。
「・・・・・・・嫌・・・・いに・・・・・・なったから・・・・・・・・」
途切れ途切れに吐き出した言葉。
その声に応えるように、背中の手が後頭部に回って上を向かされた。
そこにあったのは、こちらを見据えるアイスブルーの瞳。
こんなに間近で、真剣に見つめられたのは初めてで・・・・・・。
思わず、息を呑んだ。
「そんな泣き顔で言われても、説得力ないよ?」
そう言いながら、もう片方の手でそっと私の涙を拭う。
そのまま近付いてくる周助の顔。私は、瞳も閉じれないまま近くなる綺麗な顔を見つめ続けた。
唇には温かな感触。
すぐに離れていったかと思えば、何度も何度も啄ばむように・・・・・・。
でもそれはすぐに、強引なキスへと変わる。
後頭部を固定されてて、逃げ場のない私の口内。周助の舌が私を追い詰める。
「・・・・・・・・っふぅ・・・・・・・・・っはぁ・・・・・・・んんっ!!」
唇が離された時には、私は力なくその場にしゃがみ込んでいた。
「で、理由は?サヨナラとその涙の・・・・・」
しゃがみ込む私と目線を合わせて、それでも周助は私を見据えながら言う。
溢れてくる涙を、拭えもせず・・・・・溢れる気持ちも抑える事も今の私には出来なかった。
「・・・・・・・・・・・周助が、誰にでも優しいの・・・・・分かってる。でも・・・・・不安で・・・・・・。私は『特別』じゃないんだって・・・・・・。だから・・・・・いつもいつも確かめるように周助に訊いてたの・・・・・・・・・・。不安、消すためって思いながら・・・・・・でもそれを訊く度に、私は周助の事・・・・・・周助の気持ちを信じられてないんだって、自己嫌悪に陥って・・・・・・・・・」
黙って、でもちゃんと話を聞いてくれてる周助に、溢れる想いは止まらず・・・・・。
「本当は、言いたかった!!私以外の女の子に優しくしないでって。私だけを見てって!・・・・・・・・・私を貴方の『特別』にしてって・・・・・・でも、そんな事言えるわけない・・・・・・ただの・・・・・ワガママだもん・・・・・」
そう言って、私の中の不安を・・・・・想いを全部ぶちまけた私。
・・・・・・・・・・もう、本当にこれで周助とも終わりだね・・・・・?
周助の顔すら見れなくて、ただただ俯く私。
ふわっ温もりに包まれた。
「馬鹿だね・・・・・そんな事、考えてたんだ」
優しい周助の声。
「え?」
「分からない?僕だって、皆に優しいわけじゃない。好きでもない人と付き合わない。本当に好きだから、訊かれる度に本当の気持ちを言ったんだよ?」
「・・・・・・怒ってない?」
そう問う私に、周助はクスッと笑ってもう一度強く私を抱き締めた。
「気付いてないの?もうずっと、君は僕の『特別』だったんだよ?だから、安心して。僕の気持ちをちゃんと信じていいから」
そう言って、また触れ合う唇。
キスを交わした後に見たのは、真摯な貴方の瞳。
「ありがとう・・・・・信じるよ」
大好きな貴方だから、信じられる。
そして、私は今度は自分から周助に抱きついた。
**END**