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付き合いだして、3ヶ月。
表面上は『彼氏』と『彼女』。周りにも、そう認識されるようにはなった。
キスもした。
肌も重ねた。
でも、最近は会話もなくて・・・・。
いつ以来、話してない?電話も、メールも来なくなって・・・・・。
いつも、言葉に出来ない私に・・・・・侑士は呆れてる?
自分の意志すら示せない私に、疲れちゃった?
私もそんな自分の性格が大嫌いで。
変わりたいけど、変わる事も出来ずにいる。
でも・・・・・・
貴方は、私と付き合う前と全然変わらないね・・・・。
でも、私にだって変わったところもあるんだよ?
帰宅部だった私が、貴方と一緒に帰りたいからって部活が終わるのを待ってる。
だから、帰りの時間が遅くなった。
貴方から、メールが来る・・・・・電話がかかってくる・・・・・
そう思うから、鞄の中に入れていた携帯を、ポケットの中に入れるようになった。
貴方が・・・・・女の子達と付き合う前と変わらない態度で話をする・・・・・・・・・
それだけで・・・・・・泣きそうになる・・・・・・・・・
ただの『嫉妬』。
でも、自分で分かってるから・・・・・・・・・・
貴方の前では泣かないよ?
だけど・・・・・・・・・
貴方と付き合いだして、
私は独りで泣く事が多くなった・・・・・・・・・・・
貴方は、知らないでしょ?
***************************************
休み時間、一人移動教室までを歩く廊下の途中。
そこに聞こえた声は、間違いなく愛しい貴方の声で。でも、一人じゃなくて・・・・。
・・・・・・・・・やだな・・・・・・・何だか近づきたくなくて、でも、そこを通らなければ目的の教室に辿り着く事も出来ない。
私は、覚悟を決めると足早に通り過ぎようとする。
「きゃはは・・・・マジで?侑士、おもしろすぎ!!」
「そうか?」
楽しそうな二人の会話。俯いたままの私は少しだけきつ唇をかみ締めた。
「・・・・・・・・・・・あれ?侑士の彼女だよー?」
「あー・・・・・うん」
通り過ぎる私に気付いた女の子。でも・・・・・・侑士の反応はそれだけ。
それが、今の私達の間にある距離のような気がして・・・・・・・・。
涙が溢れそうになる。
私は、そのまま目的地だった教室を通り過ぎて、走り出した。
とにかくココに居たくなくて・・・・・・。
貴方の居た空間から逃げたくて・・・・。
そのまま昇降口を出て、中庭に走る。
大きな木が生茂るココは、授業を受けて教室の中に居る人間からはまず分からない。
大きな木の下で、私はとうとう堪えきれずにしゃがみ込んで、泣き出した。
どんどん溢れ出てくる涙は、もう自分では止める事すらできずに・・・・・・。
「・・・・・・っ・・・・・・ふぇ・・・・・・ん」
それでも、口から零れそうになる嗚咽をどうにか必死に押さえ込みながら。
・・・・・・・馬鹿だね、私。侑士と付き合うってコトはこういうコトでしょ?
分かってたハズ・・・・・・
「いつまで、そうやって一人で泣いてるんや?」
突然かけられた声。私はビクンとして振り返る。
何で?いるの?
そう素直に訊けたら良いのに・・・・・。
こんな時すら、私は声も出せずに俯くばかりで。
「何で、何も言わへんの?」
そう言いながら近付いてくる侑士。
ドンッ!
私の顔の両脇を挟むように、後ろの木に両手をつく侑士。
怒ってる・・・・・?
その力強い音にまた驚いた私は、間近にある侑士の顔を見上げた。
でもそこにあったのは、少し哀しそうな、切なげな侑士の顔。
「・・・・・・・俺の事、嫌いになったん?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ちがう・・・・・っそんな事あるわけないのに!!
でも、声に出せなくて・・・・・。
その私の沈黙を、肯定ととった侑士は・・・・・・それでもと言葉を吐き出す。
「・・・・・俺は、お前が好きや!・・・・・・・・でも、何も言ってくれへんと、わからへんやんっ!!」
最後は悲痛な叫びのように・・・・・・。
でも、私は侑士の言葉にびっくりした。
『好き』なんて、付き合い始めてから・・・・・・聞いてないよ?
でも、嬉しくて・・・・・・私も、必死で言葉を紡ぐ。
「・・・・・・・・・私も・・・・・・でも・・・・・侑士、最近喋ってくれなくなって・・・・・・・電話も・・・・・メールもなくて・・・・・すごく不安だったの・・・・」
もしかして、初めて侑士に自分のコトを喋ってるのかな?私・・・・・。
そしたら、侑士も静かに話し出した。
「俺かて、一緒や。メールも、電話も来うへんくて・・・・・いつも泣きそうな顔してるのに、俺には何も言うてくれへんし・・・・・。さっきみたいに、俺が女と喋っとっても、ただ俯いて通り過ぎてくだけやし・・・・・」
そう言って、自嘲気味に笑う侑士にまた私の瞳からは涙が溢れる。
同じ気持ちだったの?
侑士も・・・・・不安だったの?
「・・・・・・・侑士が・・・・・・好き。こんな私でも・・・・・・嫌いにならないで・・・・・いてくれる?」
そう言って、恐る恐る上げた視線。でも、侑士はふわっと笑ってくれた。
そして、背中に回される侑士の腕。
抱き締められた耳元で、侑士がそっと囁く。
「当たり前やん?俺も、好きや。愛しとる・・・・・・・・」
どちらからともなく、交わす唇。
「だから、お前もこれから・・・・思っとるコト、全部話せばええよ?もっと、たくさんお前の考えとる事、聞きたい」
「・・・・・・うん」
温かい侑士の腕の中で、零れたのは嬉しくて・・・・・ちょっと恥ずかしい笑顔 ―――――――――― 。
**END**
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