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【拍手御礼SS】 ~こんな雨の日の午後~ 不二周助Ver.
窓の外は、雨。
朝から雨。
昨日も、その前も・・・・ずーっと雨。
「もう、いい加減にして!!」
ここ2,3日ずーっと募ったイライラをぶつけるように窓の外に向って叫んだ。
私は、青学男子テニス部のマネージャー。部室のデスクに座り、部誌をめくりながらずーっとイライラ。
窓の外に吊るしたてるてる坊主も、この梅雨時期には全く役に立たず雨に濡れている。
「荒れてるね」
部員はもう皆帰ってしまったはずなのに、声をかけられてびっくりする。振り向くと(振り向かなくても分かるけど・・・・)そこには、優しい微笑の私の彼氏の周助。
「だって・・・・・雨の日って、どうしても練習は筋トレとかだし・・・・・大会も近いっていうのに・・・・!」
そう言いながらも、周助の顔を見ただけで少しづつイライラが治まってきてしまう私。
つい、恥ずかしくなって俯いた。
うわー、だめだ。緊張する。
付き合っているとは言っても、まだ付き合い始めて1ヶ月も経っていない。練習練習で、部活中心な私達はデートだって1回しかしてなくて・・・・・一緒に下校するくらい?赤くなって俯いた私の手を、周助はくすっと笑って取って言った。
「ほら、今日はもう帰ろう?」
「・・・・・うん」
************************
帰り道、私達は周助の傘で一緒に帰る。相合傘というやつで。
最初に、周助に促されるまま帰ってから、それが雨の日の習慣。
「周助は雨、好きなの?」
ふとした疑問をきいてみた。私は、周助が雨のことを悪く言ってるのを聞いたことがない。
「うーん・・・・そうだね、嫌いではないかな?」
少し考えて、そう答えただけの周助。そして反対に質問してきた。
「どうして、雨がそんなに嫌いなの?」
「じめじめしてるし・・・・・あ、でもね、雨が全部嫌いじゃないのよ?雨が止んだ直後に太陽の陽が差してるのは好き」
「止んだ後・・・?」
「そう!緑はなんか生き生きしてるし、葉っぱとかの上に水玉ができるでしょ?その水玉に太陽の光が差すと、反射してキラキラしてるの。全然違った世界にいるみたいで大好きvv」
ついつい語ってしまった私を、優しい瞳で見つめていた周助。
それに気づいて思い切り赤面した私は、すぐに俯いた。
そんな、やさしい顔で笑ってくれたら・・・・・私は、ドキドキしっぱなし・・・・・。
まともに周助の顔を見ていられない。
そんな私の上から降ってきた声。
「雨・・・・・止んだね・・・・・」
「え?」
そう言われて、私も空を見上げた。
もう、西の空は明るくなってきていて・・・・・雲間からは青空が覗いていた。
そして、雲の合間から光が差し込んでいる。
「ホントだ・・・・・綺麗だね」
そう一言呟くように言った周助に、私は嬉しくなった。
「でしょ?」
同じものを見て、共感してくれる人。
それが、大好きな人なら尚更嬉しいに決まってる。
そんなちょっとした事で『幸せ』になれちゃう私って・・・・・変かなぁ?
そんな事を考えながら、立ち止まっていた私。そんな私の上が急に翳った。
不思議に思って見上げると、周助の傘。
「・・・・?傘、たたまないの?」
単純に疑問を口にした私に、周助はいたずらっぽい笑顔で言った。
「僕が雨を嫌いじゃない理由はね・・・・・こうして二人っきりになれるからだよ」
そう言って、近づいてくる周助の顔。
傘で二人の顔を隠しながら、私達は初めてのキスをした。
りんごみたいに真っ赤になって俯いた私の手をぎゅっと繋いで、周助は歩き出す。
そうだね・・・・・・こんな雨の日なら、これからは私も好きになれそうだよ!
*** END ***
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