「彼女」が「彼」になった理由
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タイミングバッチリの梶さんに感謝しながら、また商店街を歩いていく。
大きい荷物を持ったおばあさんの荷物代わりに持ったり、ちょっとした事だけど少しでも困っている人が居れば手を貸していく。
その積み重ねが、色んなお店の前を通ると、商品持って行ってと色々貰う事も多い。
中学の時は一兄ぃが何で、いろんなモノ持って帰ってくるのか不思議だったけど、こういうことね。
実際に自分が見回りしてみて初めて気づく。
今は貰ったみたらし団子食べながら隣を歩く桐生君を見る。
「何か…風鈴高校すごいね。やっぱ…」
「んー、そうだね」
うん、このお団子美味しい。タレが甘すぎず、辛すぎず、柔らかくて最高!
「如月ちゃん、お団子美味しい?」
「え?うん。美味しくない?コレ…僕は好きかな。桐生君は嫌いだった?」
楽し気に訊いてくる桐生君に首を傾げながら訊き返す。
「美味しいよー。ただ、如月ちゃんすごく嬉しそうに食べてるから。」
「…え?そんな変な顔してた?」
慌てて顔を真面目に整えるも、そんな私の頬をそっと包み込む手が触れる。
「ううん、可愛い顔してたなって。あ、タレ付いてるね」
口端を親指の腹で優しく擦ると離れていった手を呆然と眺めていると、その親指をペロリと舐める。
「え?!…ちょっ…なっ、な……!!」
一気に顔が熱くなる。ってか、そんな事昔一兄ぃ位にしかされた事ないっ!
「顔真っ赤だねー」
「だ…ダメだよっ!桐生君、こんな事誰にでもほいほいしてたら、僕はともかく…そのうち女の子に刺されちゃうからねっ!!」
そーだ、こういうことは良くない。確かにきれいな王子様キャラだけど、すぐ本気になっちゃう子は居るだろうし、ヤンデレな子なんてその中に居たら刺されて人生終了だよっ!
思わず、桐生君の肩をガシッと掴んで力説してしまう。
「本当に、ちゃんと行動には気を付けて!!」
一瞬ポカンとした顔で私を見ていた桐生君が口に手を当てて笑う。
「あーー、そういう感じかー。なかなか手強いなー…。うん、大丈夫。皆にしてる訳じゃないからねー」
「そっ、それなら良いけど、ホント気を付けて…!」
肩から手を放して前を向く。う、きっと私今顔赤い気がするわ。
「あ?獅子頭連だ?!…どこだっ?」
前を歩く梶さんが携帯で怒鳴る。忌々しく携帯を切ると一気に反対方向へ走り出した。
「お前ら今日は解散!もし他のチームと遭っても絶対ェ揉めるなよ?」
「えっ?梶さ…」
すれ違い様に声を掛けるも、袋を押し付けらた。
「それ、持ってろ」
「え?…これ、さっきの…」
最初の苗木屋で貰った一兄ぃの野菜の苗だった。梶さんに聞こうにももうかなり向こうまで走り去ってしまっている。
「それ、梅宮さんへの…野菜の苗?」
「うん…」
一緒に袋を覗き込んでくる桐生君に頷きながら、再び梶さんの走り去った方へ視線を向ける。
「さっき、梶さん…ししとうれん…?って電話で言ってたね…桐生君、知ってる?」
「んー、高架の向こう側のチームで、確かオレンジのスカジャンが目印って事しか…」
「そうなんだ…また喧嘩なのかな…」
ぽつりと呟く。揉めたらまた、誰かケガしちゃうんだろうな…。
「怖い?…如月ちゃん、家まで送ろうか?」
私の言葉に反応したように心配そうに見てくる桐生君に、片手を軽く振りながら言葉を返す。
「あー、大丈夫、大丈夫…ちゃんと自分の事くらいは守れるから。さて、解散だし帰ろうか?僕はこの苗とりあえず預かって持って帰るよ。」
「そうだねー。じゃ、途中まで一緒に行こっかー」
「うん」
商店街の真ん中辺りまで一緒に戻った所で楽器店の前に差し掛かる。
「あ、僕寄る所あるから此処で」
「そっかー、じゃ、また明日ね。あ、如月ちゃん…」
「ん?何?」
呼び止められて桐生君を見上げる。またしても両頬を挟まれて固定れる。
…え?何?軽くパニックにる中、一生懸命首を傾げようとするが叶わず。
「俺ねー、桐生 三輝っていうんだ」
うん、知ってるけど…?意図が分からず彼の顔を見つめる。
「友達にもなれたし、これからは名前で呼んで」
「……桐生君?」
「んー…それは名前じゃなくて名字だよねー」
え?名前で呼んで欲しいって、そういう事?まぁ、本人がそう望むなら…別に。
「あー…そっか、じゃ…み、三輝君…?」
「そう、これからはそう呼んでね?」
「…うん、分かった…」
そう言うとやっと解放される私の顔。
「じゃ、ちゃんと気を付けて帰ってねー。また明日ねー」
「うん、また明日ね」
最後まで私なんかの事気遣って、本当王子様だよねー。よし、もう桐生…じゃなくて三輝君は私のなかで王子決定だ。
手を振りながらそんな事を思う。彼を見送るとこの商店街唯一の楽器店へと入る。
「トシさーん、ヴァイオリン取りに来ました。万里でーす」
いつも通り奥のカウンターまで行くと声をかける。
「おや、万里ちゃん。ヴァイオリン、メンテ終わってるよ。って、あれ、風鈴入ったの?」
鼻の下に髭を蓄えた初老の男性が顔を出すも、私の制服姿を見て少し驚きながら眼鏡に手を掛けた。
「うん、今日は入学式だったの」
「そうか。で、梅君は知っとるのか?」
「--------------…内緒で」
ははっ、笑って誤魔化す。この楽器店はもう私が小学生から通っている小さい頃からの馴染みのお店。
まるでおじいちゃんみたいに優しい店主は、もと調律師というだけあって、凄く腕は確か。
私のヴァイオリンも、何かあるとすぐにメンテナンスしてくれる。
「そうか…いつまで内緒にできるかねぇ?」
そう笑いながらヴァイオリンケースを広げて、こちらに見せてくれる。
「駒はちゃんと直しといたから…後は、替えの弦入れとくな」
「ありがとう、トシさん。あ、だから学校の子達の前では名前呼んじゃ駄目だからね」
「ふふ、分かったよ。梅君に怒られん事を祈っとくな」
「え。…酷い…。べ、別に悪い事してないし…」
「いやいや、あれだけ可愛がってる万里ちゃんに嘘吐かれたら、落ち込むと思うがなー?」
「いやいや、一兄ぃが溺愛してるのはことはだよ。私は一緒に施設で育った妹分なだけだから」
「そう思っとるのは、万里ちゃんだけかもだぞ?」
「ないない…」
笑いながら話せる位には常連だ。笑いながらもヴァイオリンを最終チェックしてケースの蓋を閉める。
「じゃ、トシさんありがとうね。またヨロシクー」
「あぁ、いつでもおいで」
片手にヴァイオリンケース、もう片手には苗袋を持って店を出る。
うーん。苗どうしよう。直接一兄ぃに渡すのは危険な気がする…うーん、持って帰っても明日困るし…。
あ、そっか。ことはの所に預けよう。うん、それが良いよね。そしたらことはから一兄ぃに渡して貰えばすむし。
どうせ、一兄ぃならことはのトコすぐ来るだろうし。
丁度今日の話も聞いて貰いたいし、ついでにオムライスも食べれるー。
そう思いつくとポトスへと行先を変え、足早に歩きだした。
大きい荷物を持ったおばあさんの荷物代わりに持ったり、ちょっとした事だけど少しでも困っている人が居れば手を貸していく。
その積み重ねが、色んなお店の前を通ると、商品持って行ってと色々貰う事も多い。
中学の時は一兄ぃが何で、いろんなモノ持って帰ってくるのか不思議だったけど、こういうことね。
実際に自分が見回りしてみて初めて気づく。
今は貰ったみたらし団子食べながら隣を歩く桐生君を見る。
「何か…風鈴高校すごいね。やっぱ…」
「んー、そうだね」
うん、このお団子美味しい。タレが甘すぎず、辛すぎず、柔らかくて最高!
「如月ちゃん、お団子美味しい?」
「え?うん。美味しくない?コレ…僕は好きかな。桐生君は嫌いだった?」
楽し気に訊いてくる桐生君に首を傾げながら訊き返す。
「美味しいよー。ただ、如月ちゃんすごく嬉しそうに食べてるから。」
「…え?そんな変な顔してた?」
慌てて顔を真面目に整えるも、そんな私の頬をそっと包み込む手が触れる。
「ううん、可愛い顔してたなって。あ、タレ付いてるね」
口端を親指の腹で優しく擦ると離れていった手を呆然と眺めていると、その親指をペロリと舐める。
「え?!…ちょっ…なっ、な……!!」
一気に顔が熱くなる。ってか、そんな事昔一兄ぃ位にしかされた事ないっ!
「顔真っ赤だねー」
「だ…ダメだよっ!桐生君、こんな事誰にでもほいほいしてたら、僕はともかく…そのうち女の子に刺されちゃうからねっ!!」
そーだ、こういうことは良くない。確かにきれいな王子様キャラだけど、すぐ本気になっちゃう子は居るだろうし、ヤンデレな子なんてその中に居たら刺されて人生終了だよっ!
思わず、桐生君の肩をガシッと掴んで力説してしまう。
「本当に、ちゃんと行動には気を付けて!!」
一瞬ポカンとした顔で私を見ていた桐生君が口に手を当てて笑う。
「あーー、そういう感じかー。なかなか手強いなー…。うん、大丈夫。皆にしてる訳じゃないからねー」
「そっ、それなら良いけど、ホント気を付けて…!」
肩から手を放して前を向く。う、きっと私今顔赤い気がするわ。
「あ?獅子頭連だ?!…どこだっ?」
前を歩く梶さんが携帯で怒鳴る。忌々しく携帯を切ると一気に反対方向へ走り出した。
「お前ら今日は解散!もし他のチームと遭っても絶対ェ揉めるなよ?」
「えっ?梶さ…」
すれ違い様に声を掛けるも、袋を押し付けらた。
「それ、持ってろ」
「え?…これ、さっきの…」
最初の苗木屋で貰った一兄ぃの野菜の苗だった。梶さんに聞こうにももうかなり向こうまで走り去ってしまっている。
「それ、梅宮さんへの…野菜の苗?」
「うん…」
一緒に袋を覗き込んでくる桐生君に頷きながら、再び梶さんの走り去った方へ視線を向ける。
「さっき、梶さん…ししとうれん…?って電話で言ってたね…桐生君、知ってる?」
「んー、高架の向こう側のチームで、確かオレンジのスカジャンが目印って事しか…」
「そうなんだ…また喧嘩なのかな…」
ぽつりと呟く。揉めたらまた、誰かケガしちゃうんだろうな…。
「怖い?…如月ちゃん、家まで送ろうか?」
私の言葉に反応したように心配そうに見てくる桐生君に、片手を軽く振りながら言葉を返す。
「あー、大丈夫、大丈夫…ちゃんと自分の事くらいは守れるから。さて、解散だし帰ろうか?僕はこの苗とりあえず預かって持って帰るよ。」
「そうだねー。じゃ、途中まで一緒に行こっかー」
「うん」
商店街の真ん中辺りまで一緒に戻った所で楽器店の前に差し掛かる。
「あ、僕寄る所あるから此処で」
「そっかー、じゃ、また明日ね。あ、如月ちゃん…」
「ん?何?」
呼び止められて桐生君を見上げる。またしても両頬を挟まれて固定れる。
…え?何?軽くパニックにる中、一生懸命首を傾げようとするが叶わず。
「俺ねー、桐生 三輝っていうんだ」
うん、知ってるけど…?意図が分からず彼の顔を見つめる。
「友達にもなれたし、これからは名前で呼んで」
「……桐生君?」
「んー…それは名前じゃなくて名字だよねー」
え?名前で呼んで欲しいって、そういう事?まぁ、本人がそう望むなら…別に。
「あー…そっか、じゃ…み、三輝君…?」
「そう、これからはそう呼んでね?」
「…うん、分かった…」
そう言うとやっと解放される私の顔。
「じゃ、ちゃんと気を付けて帰ってねー。また明日ねー」
「うん、また明日ね」
最後まで私なんかの事気遣って、本当王子様だよねー。よし、もう桐生…じゃなくて三輝君は私のなかで王子決定だ。
手を振りながらそんな事を思う。彼を見送るとこの商店街唯一の楽器店へと入る。
「トシさーん、ヴァイオリン取りに来ました。万里でーす」
いつも通り奥のカウンターまで行くと声をかける。
「おや、万里ちゃん。ヴァイオリン、メンテ終わってるよ。って、あれ、風鈴入ったの?」
鼻の下に髭を蓄えた初老の男性が顔を出すも、私の制服姿を見て少し驚きながら眼鏡に手を掛けた。
「うん、今日は入学式だったの」
「そうか。で、梅君は知っとるのか?」
「--------------…内緒で」
ははっ、笑って誤魔化す。この楽器店はもう私が小学生から通っている小さい頃からの馴染みのお店。
まるでおじいちゃんみたいに優しい店主は、もと調律師というだけあって、凄く腕は確か。
私のヴァイオリンも、何かあるとすぐにメンテナンスしてくれる。
「そうか…いつまで内緒にできるかねぇ?」
そう笑いながらヴァイオリンケースを広げて、こちらに見せてくれる。
「駒はちゃんと直しといたから…後は、替えの弦入れとくな」
「ありがとう、トシさん。あ、だから学校の子達の前では名前呼んじゃ駄目だからね」
「ふふ、分かったよ。梅君に怒られん事を祈っとくな」
「え。…酷い…。べ、別に悪い事してないし…」
「いやいや、あれだけ可愛がってる万里ちゃんに嘘吐かれたら、落ち込むと思うがなー?」
「いやいや、一兄ぃが溺愛してるのはことはだよ。私は一緒に施設で育った妹分なだけだから」
「そう思っとるのは、万里ちゃんだけかもだぞ?」
「ないない…」
笑いながら話せる位には常連だ。笑いながらもヴァイオリンを最終チェックしてケースの蓋を閉める。
「じゃ、トシさんありがとうね。またヨロシクー」
「あぁ、いつでもおいで」
片手にヴァイオリンケース、もう片手には苗袋を持って店を出る。
うーん。苗どうしよう。直接一兄ぃに渡すのは危険な気がする…うーん、持って帰っても明日困るし…。
あ、そっか。ことはの所に預けよう。うん、それが良いよね。そしたらことはから一兄ぃに渡して貰えばすむし。
どうせ、一兄ぃならことはのトコすぐ来るだろうし。
丁度今日の話も聞いて貰いたいし、ついでにオムライスも食べれるー。
そう思いつくとポトスへと行先を変え、足早に歩きだした。