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仮装なんかじゃなくていつかは…… (ハロウィン2020)

太陽の光が眩しくて目を覚ます。カーテンを勢いよく開けると、よく晴れた秋晴れで、絶好のパーティー日和だ!

「ハルヒ、起きて。今日はウチのお母さん主催の仮装パーティー行くって言ったでしょ?」
「…うーん、そうだった…」

ハルヒは僕にしか見せない無防備な姿で、眠い目を擦りながらベッドからのそりと出てきた。

「おはよう、ハルヒ。ほら、顔洗って、歯磨いて、ご飯食べて、着替えて!」

背中を押してハルヒを洗面所まで連れていく。顔を洗ったハルヒはやっと目が覚めたようで今更、おはよう、馨と言っている。
そんなハルヒと並んで歯磨きを終えると、次は向かい合って朝食を食べる。パーティーで色々美味しいもの食べられるよ、と話したからなのか、食パンと目玉焼きとウィンナーだけの朝食はちょっと物足りないけど、きっと庶民ならこういうものなのだろうと思うことにした。
朝食を食べ終わるとパーティーに着ていく格好に着替える。まぁ、僕にしか見せないはずのパジャマ姿も最高なんだけどね。だけど他の人には見せたくないし、パーティーに参加する時の格好じゃないからね。仮装パーティーに参加出来るような格好にしなくちゃ。

「自分の服って馨が用意してくれたんだよね?」
「そうだよ。はい、これがハルヒの。着替えが終わったら髪だからネ」

ハルヒが着替るのを待つ間に僕も着替えを済ませる。
こんな格好をしている僕を見て、ハルヒはどんな反応をするだろう?そんなことを考えていると隣の部屋からハルヒの声が聞こえてきた。

「…馨、服ってこれであってるの?」
「あってるヨ。大きさもバッチリでしょ?」
「そういうことじゃなくて!なんでウエディングドレスなの!?」

そう言いながら、勢いよく扉を開いて僕の元へとやって来るハルヒ。だけど僕を見て動きが止まっている様を見ると、どうやら僕の格好に驚いているらしい。

「ハルヒ、びっくりした?花婿さんの衣装でーす」
「…仮装パーティーじゃないの?」
「仮装パーティーだよ?ハルヒが花嫁さんで僕が花婿さん!」
「…ハロウィンの仮装じゃなくていいんだ?」
「仮装パーティーだからね」

僕がにやっと笑うとハルヒは力が抜けたように椅子に座り込む。だけど僕はハルヒのウェディングドレス姿が見られてとても嬉しくて。

「お、いいねー、そのまましてて。髪しちゃうから。…嫌なんだったらさ、いつかの予行練習だと思って悪いけど我慢してよ。でも可愛いよ、ハルヒ」
「嫌なんかじゃないよ。馨とのいつかのためだって分かってるけど、心の準備が出来てなくて緊張してるのかも。馨も似合ってるし…」


ハルヒが僕の袖をきゅっと摘む。

そんなハルヒに優しくキスをしてみたけど、こんな格好だからなのか何故か僕は擽ったく感じたんだ。
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