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君の幸せ、僕の幸せ

カラスの鳴き声が聞こえてふと目を覚ます。さっきまで窓の外には秋らしい高く澄んだ青空といわし雲が広がっていたはずなのに、気付いたら辺りは赤く染まっている。時計を見るとさっき青空を見たと思っていた時間からは何時間も経っていた。
…いつの間に眠ってしまっていたのだろう。だけど寝たらスッキリしたなぁ。どんなだったかは忘れたけど、暖かくて幸せな夢も見れたし。


大きなあくびを一つして、起き上がろうと布団をめくる。すると僕の手は隣で寝ているハルヒの手と繋がれていた。

「え!?ハル……」

…っと、危ない!!僕は慌てて自分の口を手で押さえた。大きな声を出したらせっかく眠ってるハルヒが起きちゃうよね。それにしてもハルヒと手を繋いで眠っていたなんて全く気付かなかった。でも、だから暖かくて幸せな夢を見たのかもしれない。

驚いている僕のことなんて気にもせずに、すやすやと気持ち良さそうに眠るハルヒ。ハルヒと繋いでいる方の手とは逆の手でハルヒの髪に触れてみるとサラサラしていて、柔らかくて、やっぱり女の子だ。

「…好きだよ、ハルヒ」

ふと自分の口からこぼれた言葉に少し照れくさくなる。ハルヒが光や殿じゃなくて、僕を選んでくれるなんて思ってもいなかったからたまにはこうして気持ちを言葉にしたくなる。まあ、いざ言葉にするとなると、今みたいに緊張して照れくさくなっちゃうんだけど。だからハルヒが眠ってたりして聞いてない時にしか言えないのかも。
あーあ、ホスト部の接客で、光との兄弟愛を見せる時なら緊張なんかしなかったのに。好きな子を前にしたら緊張するなんてかっこ悪いなぁ。だけど、ハルヒはそんなところも含めて僕を選んでくれたんだ。


でもそんな僕だからこそ、ぎこちないとしても君に気持ちを伝えたい。君は僕らの世界を広げてくれた、僕らの、僕のとても大切な人なのだから。


ハルヒの髪にそっと口付けをする。ここでハルヒが目を覚まさなくても、目を覚ましてくれてもどっちだっていいかも。だって僕は君といられるだけで、こうして君の隣で君の温もりを感じられるだけで、世界中の誰よりも幸せだって思うから。
だから……、

「ハルヒ、これからも僕のそばにいてね」

小さく呟いた僕の願いはちゃんとハルヒに届いたらしく、眠っていたはずのハルヒは寝起きとは思えないようなぱっちりとした目で僕を見つめて言った。

「当たり前だよ。だから馨も、自分のそばにいてね」

寝惚けているのか、幸せそうにふわふわと笑うハルヒ。そんなハルヒを見ると僕だってつられて笑顔に、そして幸せになる。



君のことを、僕の人生をかけて幸せでいっぱいにしたいんだ。だから君も、僕のことを幸せでいっぱいにしてくれたら嬉しい。
そのために今日も、いつか咲くであろう大きな幸せを願って僕は君に幸せの種を送るんだ。
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