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光とハルヒとカレー

「中辛のカレーってハルヒっぽいよな」


夕飯のカレーを食べていたら光がやけに自信ありげに呟いた。
ところが、カレーみたいだと言われたハルヒは納得がいかないのか、スプーンの上に乗ったカレーをまじまじと見つめている。

「自分はこんなに茶色くないんだけど…」

そう、そんなに茶色くなんてないのだ。それに中辛というのにも引っかかるし、そもそも人を食べ物で喩えることだってどうなのだろうか?
色々な疑問が頭の中を駆け巡っているハルヒは光に真っ直ぐ質問をぶつけてみることにした。

「どういうこと? 自分が中辛のカレーっぽいって」

質問された光はというと、最後の一口を食べ終え、ご馳走様! 今日も美味かった! と満足げに手を合わせている。ハルヒが不思議そうに小首を傾げているのに気付くと、なにー? 知りたーい? とハルヒの横にするすると移動して、ハルヒの髪で遊び始めた。

「別に。言いたくないならいいよ」
「えー、聞いてくれたっていいじゃん」
「はいはい。じゃあ、どういうこと?」

光が聞いてほしがっているのは分かっていたからそんな言い方しなくてもよかったのに、とハルヒは思った。しかし、その思いは心の中で留めておくことにした。光だって、そんな言い方なんてしなくてもハルヒが聞いてくれることは分かっていただろうから。

「だって中辛のカレーってハルヒっぽいじゃん。甘くも辛くもあってどっちも兼ね揃えてるトコロとかさ〜。なんかハルヒっぽい! それにみんなに好かれるトコロとかさ!」

光の自分へのイメージがおかしくてハルヒは、ふふふと笑う。笑われた光は、えー、そんな変? とくしゃくしゃと頭を掻いている。

「変じゃないよ。光は自分のことをそんなふうに思ってたんだって思うとなんかおかしくて」
「やっぱり変だから笑ってるんじゃんか!…そんなハルヒなんかこうしてやる…!!」

光はにやりと笑うとハルヒの頭もくしゃくしゃと撫でる。光に撫でられたことで、くしゃくしゃになっているハルヒを見て、ぎゃはは! 変な頭!! と昔と同じように笑う光は、昔よりも顔つきが大人っぽくなった。
光もハルヒも年を重ねたのだから当たり前のことではあるのだけど、それが何故か今のハルヒには妙にくすぐったい。


光を食べ物に喩えるなら何になるだろうか。
あれでもない、これでもないと考えながらハルヒもカレーを食べ終えた。
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