名を呼ぶ
「平助くん」と千鶴はいつも嬉しそうにオレの名を呼ぶ。
千鶴に「平助でいいぜ」って言ったのはオレだし、千鶴に名を呼ばれると嬉しい。
でもだからってさ、「平助くん巡察お疲れ様」「平助くんご飯だよ」「平助くんあのね」そんだけ何度もお前に平助くん平助くんって呼ばれると、オレはその度に名を呼ばれる度に胸がきゅっと掴まれたような気分になるんだよなぁ。だからもう少し呼ぶ回数を減らしてくれると助かるって言いたいのに、やっぱりお前に名を呼ばれる度にお前の笑顔を見る度にそれまで考えていたことなんて全部吹っ飛んでってしまって。
またお前に名を呼んでほしくなるからオレも何度もお前の名を呼ぶんだ。
今日も笑顔で「千鶴」って。