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それはきっと、今年も一緒だから (双子 誕生日2022)


とある日曜日、僕らは暇を持て余していた。

せっかくのお休みなのに外はあいにくの雨で、出掛ける気分にもならない。となれば、出来ることといえば家の中で暇を潰すことくらいで。だから僕(……あ、馨ね)は、何か面白いことはなかったかと頭を悩ませていた。


意味もなく部屋の中を見回してふと目についたのはカレンダー。すると、あることを思い出して隣で退屈そうに携帯をいじっていた光を呼んだ。

「光、光。聞いた?」
「どうした? 馨」

面倒臭そうに顔を上げた光を見ていたら思わず笑顔が零れる。だってきっとこのことを話したら光も笑顔になるから。

「今年の僕らへの誕生日プレゼント、ハルヒの家でサプライズパーティーなんだって」
「え、それどこ情報!?」

想像した通りに僕の言葉を聞いて、光は笑顔で身を乗り出してくる。そんな光の表情には、先程までの退屈さなんて微塵も感じられない。

「殿の計画表情報。そういえばこの間、部室に出しっ放しだったんだ。ハルヒが料理作って、鏡夜先輩がお寿司頼んで、ハニー先輩とモリ先輩がケーキ用意して、殿が会場準備するんだって」
「なにそれ。馨にそれだけバレてたらサプライズじゃないじゃん」
「ホントにね」

はぁーっと溜息をついた光につられて僕も溜息をつく。だけど次の瞬間にはもう、光も僕もまた先程と同じく笑顔に戻るんだ。

「あ、というか馨も僕に教えたらダメじゃん」
「まあそうなんだけどさ、一人で秘密を抱え込める気がしなくて」

それは確かに。そうでしょ。なんて言い合いながらまた笑う。
すると光がふと口を開いた。

「……それにしても、あの人たち本当に俺たちのこと大好きだよなぁ」
「好かれすぎてて困っちゃうよね」

しみじみと呟けば、そうだよなぁと光が目を伏せた。みんなのことでも考えているのかななんて思いながら僕も光に倣って、目を伏せながらみんなのことを考える。

あの狭いハルヒの家で、みんなでボクらの誕生日パーティー。
みんなでぎゅうぎゅうになりながらケーキを食べたりするのかな。なんて考えてみて思い浮かぶのは、みんなの笑顔ばかりで。きっと僕もみんなに負けないくらいに、みんなのことが大好きなんだろう。
それがなんだか可笑しくて少し照れくさくて、ふふっと笑みが漏れた。

「……あ、じゃあさ、馨」

だけど光に呼ばれて現実に戻ると、隣で光が楽しそうな顔をしていた。何かいいことでも思いついたのだろうか。

「どうしたの? 光」

そう問いかければ光がにっと笑った。

「ボクたちからもみんなにサプライズしない?」

面白そうで楽しそうで退屈をしのげるだろうその提案に、僕が乗らないわけがなくて。今度は僕が身を乗り出した。

「いいね、それ! 何する?」
「うーん……、みんなに衣装を用意するとか?」
「パーティーで着る服? ハルヒの家なのに?」

光と同じようににっと笑えば、光が更に口角を釣り上げて立ち上がる。

「そう、ハルヒの家なのに!」

そんな光につられるようにして僕も立ち上がると顔を見合わせ笑い合う。

「ふふ、楽しそうだね、光」
「あはは、絶対に楽しいよな」


今年のボクらの誕生日も、きっと楽しい一日になる。
みんなからのサプライズのお返しである、僕らからのサプライズの計画を立てながらそう確信した。
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