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君に悪戯する理由 (ハロウィン2020)

ミーティングが終わればスーパーの特売に早く行けるかも、と思ったハルヒは張り切りすぎて部室に早く着いた。
だけど部室にはハルヒよりも先に教室を出た双子たちもまだ来ておらず、ハルヒは一人のんびりお茶を飲んでいた。とは言っても、ハルヒよりも更に早く部室にいて、パソコンで何やら作業をしていた鏡夜にもお茶を用意したのだけど。


「あ、今日ってハロウィンなんだ。へー」

お茶を飲み終わり、カレンダーを見ていたハルヒがふと呟く。休憩のためお茶を飲んでいたからなのか、それを聞き逃さなかった鏡夜は眼鏡をクイッと上げて言った。

「あぁ、だから明日はハロウィンの仮装だぞ。でも、ハルヒがハロウィンに興味があったとは意外だな」
「いえ、特にないですけど。こういったイベントはホスト部の経営に役立つだろうから鏡夜先輩は好きそうですよね」
「まぁな。…だが、それ以外の理由でも好きだとしたら?」

いつのようにものぐさに言いながらティーセットを片付けるハルヒを鏡夜は問い詰める。問い詰められたハルヒはというと、片付けている手は止めずに、そんな理由あります?と考え込んでいる。
鏡夜がハロウィンを好きな理由、その理由をハルヒが考えつかないことは鏡夜には想定内だった。だけどそれが想定内であることは鏡夜にとっては面白くもあり、面白くないことでもあった。

「何故だか分からないか?」
「…はい。鏡夜先輩のメリットになりそうな理由は何も」
「ハルヒもまだまだだな。…お前がお菓子を持っていないからだよ」

そう答えるとにやりと笑った鏡夜は、ちょうどティーセットを片付け終えて戻って来たハルヒの腕を自分の方へと引いた。男の格好なんてしていても女のハルヒはとても軽く、簡単に引っ張られるとあっという間に鏡夜の膝の上に乗せられた。
顔を赤くさせながら、驚いてバタバタと暴れているハルヒのことなんて気にしていないのか、それともわざとなのか鏡夜はハルヒの耳元で囁く。


「…お菓子がないなら悪戯するぞ」
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