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2人、部屋の隅にて。

ハルヒとキスをした。お父さんと娘のキスじゃなくて、恋人同士のキスを。


「ちょっと環先輩。いつまでそうして隠れてるんですか」
「だ、だってハルヒ」
「だってじゃありませんよ。こういう時は自分が照れるんであって、先輩が照れることではないと思うんですけど。それにもう何回もしたでしょう?」
「何回も…ってことは、ハルヒにとって俺とのキスはその程度のものなのか?」

ハルヒの言葉を聞いて、先程よりも部屋の隅で小さくなっているのが自分でも分かる。だけどそれほどまでにハルヒの発言は俺にとって衝撃的だったのだ。
ハルヒをじっと見つめると、ぷいっと目を逸らされた。
ハルヒ、そこまで……つつーっと涙が頬を伝う。そんな俺を見たハルヒはバツが悪そうに俺の名前を呼んだ。

「…環先輩」
「……ハルヒ?」
「ちょっと目瞑ってください」
「え」

ハルヒに促されるがまま目を瞑る。
まさかこの隙に俺から逃げるとかじゃないよな…?なんて意味の分からない考えが頭の中を駆け巡る。
そんな危機感から目を開いた時、目の前にはハルヒがいて、唇と唇が触れた。

「……え、ハルヒ?」
「…目瞑っててくださいって言ったでしょう」

怒っているのか照れ隠しなのかハルヒが俺を睨み付ける。真っ赤な顔で。

「…自分だって何回したって慣れるわけないじゃないですか。いつもは環先輩が急にキスしてくるくせに、一人で勝手に照れるから自分が照れる暇がないだけです。…それにいつだって自分もドキドキしてますから」

ハルヒの突然の告白に動きが止まってしまう。そんな真っ赤な顔でそんなこと言われると、嬉しいのに俺だってなんだか恥ずかしくなってしまう。

「ま、待ってハルヒ。…顔、見れない」

次は恥ずかしさや照れ、嬉しさなんかが色々混ざってハルヒの顔が見れなくて、だけどにやけてしまっている顔を隠すために部屋の隅で小さくなった。
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