―やっと、言えた…。

悠月は伝えたいことを伝えられて、少しほっとして、頬を緩めた。

頬を緩めたことで、悠月は微笑んだような表情になった。
その瞬間の微笑みが、バジルにとっては、誰よりも可愛い微笑みに見えた。

バジルは自分の心が、嬉しさと、幸せが満ちていくのがわかった。



「あの…っ。拙者も、伝えようと思っていたんです。」

「……？」

悠月がドキッとしたような不安げな顔で、バジルを見つめた。



「拙者も…悠月殿のことが、好きです。」

バジルはそう、悠月に言った。
まっすぐでおだやかな青いまなざしが、悠月に注がれる。



悠月は一瞬、何を言われたか分からなくて、固まった。
しかしその数秒間の間に、たった今言われたことを理解した。

「…ホントに……？」

「ええ、嘘ではありません。拙者の、本当の気持ちです。」

バジルが言葉を一つずつ、丁寧に悠月に伝えた。
悠月は思わず立ち上がって、もう一度問う。

「嘘…ホント、に……？」
「ええ。本当ですよ、悠月殿。」

バジルも、悠月と目線が合うように、立ち上がった。
そしてはっきりと言った。

「好きです、悠月殿。」

バジルも、嬉しそうに、少し照れたように、微笑む。
その微笑みに、悠月の緊張が少しずつ、解けていく。

「本当の、本当に………？！」

たった今バジルに言われたことが信じられなくて、
悠月は3度目の問いかけをした。


「悠月殿が信じるまで、何度でも伝えますよ。」

そしてバジルは、

「ずっと前から好きでした。悠月殿。」


悠月の3度目の問いに、答えた。


バジルの優しい目に見つめられて、悠月の目に、涙があふれた。

嬉しくて、でも、言葉にならなくて。
声を詰まらせながら、悠月は泣いた。

バジルは悠月の傍に行って、
少し迷いながら、悠月をそっと抱きしめた。

悠月は、バジルの腕の中で泣いた。