一方、少し時間は戻り。

悠月の部屋を出て、自分の部屋へと入ったバジル。

悠月の母が用意したゲストルームには、自分の荷物と、机といす、ベッドが置いてある。
バジルはまっすぐにベッドに向かうと、そのまま倒れ込んだ。

「はぁ……………」

長い溜息が、静かな部屋に響く。

一人になったバジルは、今日あったいろいろなこと思い返した。

悠月に会えるのが楽しみすぎて、
悠月の家に早く着きすぎてしまったこと。

悠月の家でじっとしていられなくて、
散歩に行くと言って家を出たこと。

悠月との思い出の場所に似たところを見つけたと思ったら、そこに悠月がいたこと。

嬉しくて、あの時と変わらない面影に、
心がぎゅっと締めつけられるような気持ちになったこと。

一緒に晩ご飯を食べたこと。
悠月の部屋で、たくさん話したこと。

そして…あのノートを、見てしまったこと……。

「ごめんなさい、悠月殿…。」

バジルは、そのノートに書かれていた悠月の言葉が忘れられなかった。


―あなたに会えなくて寂しい。けれど、私は信じているよ。