―壊れそう　きみみたいな花　消えることはない記憶―


雲の切れ目からこぼれる、陽の光。

空を見上げると、白い雲の切れ間に、青空がちらりとのぞく。
そんな、ある晴れた日のこと。


待ちに待った昼休みになると、
俺はいつものように階段を駆け上がり、少しさびついた屋上への扉を開ける。

すると、明るい光が一気に視界にあふれて、目の前が真っ白になる。

その光の向こうから聞こえてくる、いつものききなれた声。

『あ、ツナくん！』

鈴のなるような、声。

白い光に目が慣れてくると、視界に描かれていく悠月ちゃんの輪郭。

悠月ちゃんは、今日も無邪気に笑って
きれいに晴れた青空をバックに、俺に手を振ってくれる。

「悠月ちゃん！」

俺が声をかける。
すると、悠月ちゃんは顔いっぱいに笑ってくれる。
その笑顔が可愛くて、俺もつられて、笑顔になってしまう。

そんないつもの、昼休みの始まり。