君のひとひらを手に
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ふと悲しいような声が聞こえて、恭弥は悠月を見つめた。
憂うようにうつむいた悠月の横顔が、じっと手のひらを見つめていた。
『ただ待ち続けてるだけじゃ、ちゃんとつかんでいなきゃ、
いつかはまた風に舞う花びらに戻るの。
気づいたら、私のそばには誰もいなくなってたみたいに。』
その言葉に呼応するかのように、ざあぁっと強い風が吹いた。
悠月の手のひらにあった桜の花びらが、みんな風にさらわれていく。
空へ舞い上がる桜の花びらを、悠月と恭弥は見送る。
悠月の手のひらには、もう何もなかった。
悠月はそろりと、待つことをやめた。
『だから、だからね、恭弥。
今度はちゃんとつかんで離さずにいようと思うの。
少しだけでいいから、ちゃんとつかんでいようと思う。
そしていつか、たくさんの花をつけた桜みたいに、
いっぱい笑って…散ってしまったときには、誰かの心に、
消えない桜のひとひらを残しておきたい。』
すっと恭弥を見つめる悠月の瞳が、桜の花びらを映して輝く。
春風が駆け抜けて、恭弥と悠月の髪を揺らした。
「ふうん。それが、君の答え?」
『…うん。それが、今の私の答え。』
まだ痛みを残した悠月の笑顔は、
それでも前を向いて歩き出そうとしていた。
その様子を見て、恭弥はまた、校舎へと足を向けて歩き出す。
「そう。……頑張って。」
たった一言、悠月への言葉を、呟きながら。
恭弥の顔は見えなかったけれど、
悠月は恭弥の言葉を聞き逃さなかった。
悠月はうれしそうに笑うと、
「ありがとう、恭弥! 私、頑張るからね!!」
そう言って、まだ何もない手のひらを、ぎゅっと握りしめ、
悠月はその手を、空に掲げた。
―何もない僕の手の上 君のひとひらを手に
歩き出そう 僕の答え 道標にして―
<Fin.>
憂うようにうつむいた悠月の横顔が、じっと手のひらを見つめていた。
『ただ待ち続けてるだけじゃ、ちゃんとつかんでいなきゃ、
いつかはまた風に舞う花びらに戻るの。
気づいたら、私のそばには誰もいなくなってたみたいに。』
その言葉に呼応するかのように、ざあぁっと強い風が吹いた。
悠月の手のひらにあった桜の花びらが、みんな風にさらわれていく。
空へ舞い上がる桜の花びらを、悠月と恭弥は見送る。
悠月の手のひらには、もう何もなかった。
悠月はそろりと、待つことをやめた。
『だから、だからね、恭弥。
今度はちゃんとつかんで離さずにいようと思うの。
少しだけでいいから、ちゃんとつかんでいようと思う。
そしていつか、たくさんの花をつけた桜みたいに、
いっぱい笑って…散ってしまったときには、誰かの心に、
消えない桜のひとひらを残しておきたい。』
すっと恭弥を見つめる悠月の瞳が、桜の花びらを映して輝く。
春風が駆け抜けて、恭弥と悠月の髪を揺らした。
「ふうん。それが、君の答え?」
『…うん。それが、今の私の答え。』
まだ痛みを残した悠月の笑顔は、
それでも前を向いて歩き出そうとしていた。
その様子を見て、恭弥はまた、校舎へと足を向けて歩き出す。
「そう。……頑張って。」
たった一言、悠月への言葉を、呟きながら。
恭弥の顔は見えなかったけれど、
悠月は恭弥の言葉を聞き逃さなかった。
悠月はうれしそうに笑うと、
「ありがとう、恭弥! 私、頑張るからね!!」
そう言って、まだ何もない手のひらを、ぎゅっと握りしめ、
悠月はその手を、空に掲げた。
―何もない僕の手の上 君のひとひらを手に
歩き出そう 僕の答え 道標にして―
<Fin.>