君のひとひらを手に
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―何もない ぼくの手の上 君のひとひらを手に―
『ん~~~っ!今日もいい天気~~~!』
澄み渡る青空の下、悠月は大きく伸びをした。
『あったかくなってきたし!桜もきれいに咲いたし!
まさしく“春”って感じだね~~~~』
「何がそんなに楽しいの、悠月?」
隣で並盛中の校舎への道を歩く恭弥が尋ねる。
人と群れるのが大嫌いで有名な風紀委員長の恭弥が
他人と肩を並べて歩いている光景はかなり珍しいことだった。
しかし、それを目にした生徒はいない。
なぜなら今日は、入学式の1日前だったからだ。
今日は入学式の準備のため、部活もない。
普段は休みの日ですら部活で活気のある並盛中だが、今日だけはやけに静かだった。
『え~。だって桜がきれいだし、いい天気だから、楽しい♪』
「それ、答えになってないと思うけど」
けど、というその先は口に出してはいわなかった。
―けど、そんなことどうだっていい。
君が笑っているのを、見ていられるのなら。
『別にいいでしょ?なんて言うかさ…。
私ね、桜を見ると、あぁ春が来たんだなぁって、うれしくなるの』
悠月は立ちどまって、桜の咲き乱れる木を見上げた。
恭弥もつられて、立ち止まる。
『子供の頃も、こうやってずっと、
首が痛くなるまで桜の花が散って行くのを見てた。
なんか懐かしいな。』
桜の花びらが風に舞ってひらひらと悠月に降り注ぐ。
その光景は、いつもの見慣れた並盛中ではないような、
不思議と幻想的な世界のように見えた。
『あの頃は、桜の花びらがうまくつかめなくて。
だから、こうやって手のひらに花びらが降ってくるのを待っていた。』
さらさらと花びらが散る舞台で、夕月は手のひらを重ね、
焦がれるような目で桜を見つめた。
やがていくらかもしないうちに、
ひとひらの花びらが、悠月の手の中へと舞い降りた。
そして一つまた一つと、悠月の手が桜色に染まってゆく。
まるで、悠月の気持ちに答えるかのように。
『でも、ずっと待っているだけじゃいけないんだよね。』
『ん~~~っ!今日もいい天気~~~!』
澄み渡る青空の下、悠月は大きく伸びをした。
『あったかくなってきたし!桜もきれいに咲いたし!
まさしく“春”って感じだね~~~~』
「何がそんなに楽しいの、悠月?」
隣で並盛中の校舎への道を歩く恭弥が尋ねる。
人と群れるのが大嫌いで有名な風紀委員長の恭弥が
他人と肩を並べて歩いている光景はかなり珍しいことだった。
しかし、それを目にした生徒はいない。
なぜなら今日は、入学式の1日前だったからだ。
今日は入学式の準備のため、部活もない。
普段は休みの日ですら部活で活気のある並盛中だが、今日だけはやけに静かだった。
『え~。だって桜がきれいだし、いい天気だから、楽しい♪』
「それ、答えになってないと思うけど」
けど、というその先は口に出してはいわなかった。
―けど、そんなことどうだっていい。
君が笑っているのを、見ていられるのなら。
『別にいいでしょ?なんて言うかさ…。
私ね、桜を見ると、あぁ春が来たんだなぁって、うれしくなるの』
悠月は立ちどまって、桜の咲き乱れる木を見上げた。
恭弥もつられて、立ち止まる。
『子供の頃も、こうやってずっと、
首が痛くなるまで桜の花が散って行くのを見てた。
なんか懐かしいな。』
桜の花びらが風に舞ってひらひらと悠月に降り注ぐ。
その光景は、いつもの見慣れた並盛中ではないような、
不思議と幻想的な世界のように見えた。
『あの頃は、桜の花びらがうまくつかめなくて。
だから、こうやって手のひらに花びらが降ってくるのを待っていた。』
さらさらと花びらが散る舞台で、夕月は手のひらを重ね、
焦がれるような目で桜を見つめた。
やがていくらかもしないうちに、
ひとひらの花びらが、悠月の手の中へと舞い降りた。
そして一つまた一つと、悠月の手が桜色に染まってゆく。
まるで、悠月の気持ちに答えるかのように。
『でも、ずっと待っているだけじゃいけないんだよね。』