消えることはない記憶
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今年4月。桜が咲き始めた校庭での始業式の日をきっかけに、
昼休みは悠月ちゃんと一緒に過ごすのが俺の日課になっていた。
今日もいい天気だね、とか、今日の授業がどうだったか、だとか
そんな他愛のない話をしながら過ごす悠月ちゃんとの休み時間は、
俺にとってすごく楽しい時間だった。
悠月ちゃんがここにいることは、俺と悠月ちゃんの、二人だけの秘密だった。
悠月ちゃんと仲良くなったのは、始業式の日だった。
クラス替えと、自己紹介のホームルームが終わって昼休みになると、
さっと悠月ちゃんが教室を出ていったのが目の端に見えた。
その時、自分でもよく分からないけれどとても気になってしまって、
気づいたら、悠月ちゃんを追いかけていた。
追いかけて追いかけて、
屋上への扉を開けようとしている悠月ちゃんに声をかけた。
声を掛けられた悠月ちゃんは、すごく驚いてた。
思わず怒られるかな、なんて覚悟して黙ったけど、
悠月ちゃんは少し黙ったあとで、いたずらっぽい声で
『…見つかっちゃったなら、仕方ないね』
と言って笑った。
『沢田くん、だったよね?』
「う、うん…。」
『約束、してくれる?』
「えっ……?」
『昼休みに私がここにいること、みんなに内緒にしてくれるって』
そう、言われただけだった。
もちろん誰にも言わないよ、と俺が約束すると、
悠月ちゃんは階段を下りてきて
『分かった。じゃあ、こっちに来て。』
「あっ…」
俺の手を取って階段を上り、屋上への扉を開けた。
明るい光が一気に視界にあふれて、目の前が真っ白になる。
そして目が慣れてくると、そこにはコンクリート打ちの、
風が吹きすさぶ屋上が広がっていた。
『約束してくれるなら…ここ、いつでも来ていいから。』
俺は悠月ちゃんと一緒に、屋上から校庭を眺めた。
そこからは、校庭いっぱいに咲く桜が一望できた。
その景色は、いつもの窓から見る景色とは違っていた。
広い空。吹きすさぶ春風。葉がさざめく、音の波。
遠くには、いつもの並盛町の街並み…。
俺はすぐに、屋上が好きになった。
その日をきっかけに、俺は毎日お昼休みに屋上へ行くようになったのだった。
昼休みは悠月ちゃんと一緒に過ごすのが俺の日課になっていた。
今日もいい天気だね、とか、今日の授業がどうだったか、だとか
そんな他愛のない話をしながら過ごす悠月ちゃんとの休み時間は、
俺にとってすごく楽しい時間だった。
悠月ちゃんがここにいることは、俺と悠月ちゃんの、二人だけの秘密だった。
悠月ちゃんと仲良くなったのは、始業式の日だった。
クラス替えと、自己紹介のホームルームが終わって昼休みになると、
さっと悠月ちゃんが教室を出ていったのが目の端に見えた。
その時、自分でもよく分からないけれどとても気になってしまって、
気づいたら、悠月ちゃんを追いかけていた。
追いかけて追いかけて、
屋上への扉を開けようとしている悠月ちゃんに声をかけた。
声を掛けられた悠月ちゃんは、すごく驚いてた。
思わず怒られるかな、なんて覚悟して黙ったけど、
悠月ちゃんは少し黙ったあとで、いたずらっぽい声で
『…見つかっちゃったなら、仕方ないね』
と言って笑った。
『沢田くん、だったよね?』
「う、うん…。」
『約束、してくれる?』
「えっ……?」
『昼休みに私がここにいること、みんなに内緒にしてくれるって』
そう、言われただけだった。
もちろん誰にも言わないよ、と俺が約束すると、
悠月ちゃんは階段を下りてきて
『分かった。じゃあ、こっちに来て。』
「あっ…」
俺の手を取って階段を上り、屋上への扉を開けた。
明るい光が一気に視界にあふれて、目の前が真っ白になる。
そして目が慣れてくると、そこにはコンクリート打ちの、
風が吹きすさぶ屋上が広がっていた。
『約束してくれるなら…ここ、いつでも来ていいから。』
俺は悠月ちゃんと一緒に、屋上から校庭を眺めた。
そこからは、校庭いっぱいに咲く桜が一望できた。
その景色は、いつもの窓から見る景色とは違っていた。
広い空。吹きすさぶ春風。葉がさざめく、音の波。
遠くには、いつもの並盛町の街並み…。
俺はすぐに、屋上が好きになった。
その日をきっかけに、俺は毎日お昼休みに屋上へ行くようになったのだった。