星の息吹 - 冒険王ビィト another story-
そんなわけで、さっそく宿屋に案内されたビィトとキッス。
「いらっしゃいませ…」
扉を開けると、大人しそうな女の子がひょこっとカウンターから半身を乗り出す。
そしてビィト達と一緒に帰ってきた宿屋の主人を見るやいなや、ささっとその後ろに隠れた。
大きな背丈の宿屋の主人、その影に隠れるくらいの小柄な女の子が、じっと二人を見つめる。
「ほーらステラ。バスターさんにご挨拶しな。」
「…ステラ…です。よろしく、お願いします…。」
宿屋の主人の服の裾をぎゅっと握りつつ、彼女ーステラは二人に挨拶をした。
「俺はビィト!こいつは相棒のキッス!」
「よろしくね、ステラ。」
ビィトとキッスも挨拶を返すと、
ぺこり、と一礼し、ステラは父の後ろに隠れた。
「いやぁすまんねぇ。引っ込み思案な娘でなぁ。」
隠れつつも、ステラはじっと二人を眺めている。
そんなステラの頭をなでてやりながら、宿屋の主人は笑う。
「こんな娘だけどよ、ステラも村の子らと同じくらいバスターにあこがれてるんだ。仲良くしてやってくれな」
---
夜になった。
宿の夕食が終わり、しばらく経った頃だった。
(コンコンッ。ガチャッ。)
「あの…お風呂の準備…できました…」
おずおずと二人を呼びにきたのは、ステラだった。
「お!じゃあ俺先でもいいか、キッス?」
「うん、構わないよ」
「ありがとなーキッス!おっさきー!」
ビィトがあっという間に支度を整えたかと思うと、部屋を出て階段を下りていく。
それを見送った後、少しの間をおいて、
「あ、あの…っ」
ステラは、思い切ったようにキッスに話しかけた。
「私にも天撃、教えてもらえますか…?」
あの内気そうに見えたステラが、あまりにまっすぐにキッスの目を見て尋ねてきたので、キッスは少し驚く。
「君も、天撃が使えるのかい?」
ステラはこくりと頷き、続けた。
「私も…バスターに、なりたい。あの時のお姉ちゃんみたいに、カッコよくなりたい…」
「あの時の、お姉ちゃん?」
「うん…!」
ステラは一生懸命な様子で、話しはじめた。
「私、昔…この村の門が壊れちゃった時に、モンスターに襲われて…
でもその時に、バスターのお姉ちゃんが助けてくれたの!」
ステラは小さくもまっすぐなまなざしでキッスに話す。その様子に、
ーなんてったって、バスターさんはうちの娘の、命の恩人だからな!
キッスは、この宿屋の主人が言っていた”娘の命の恩人”という言葉を思い出していた。
「そっか、バスターさんが君を助けてくれたんだね。」
「うん!すっごくかっこよくて…!その時に、私も、あんな風になりたい、って思ったの…!」
そう言ってステラは、キラキラと目を輝かせた。
キッスは、当時は自分もこんな風にバスターに憧れていたな、と思い出し微笑む。
しかしその矢先、ステラはうつむいた。
「…でも……私、才能ないかもしれない…」
急にしゅんとするステラに、キッスが尋ねる。
「どうしてそう思うんだい?」
「みんなに言われるの。私…怖がりだし、人見知りだし…天撃も弱いから、向いてないって。」
「そうなんだ。天撃は、あまり得意じゃない?」
「うーん…好きだけど、みんなみたいに強くはない…かな」
そう言ってステラは右手を空にすべらせながら、ゆるやかな風の流れを作ってみせた。
「私が得意なことは、少し風を操ること。それから…」
続けて両手のひらを胸の前に掲げる。
すると、ステラの手のひらに、光の粒が集まってきた。
「こうして…光を集めることくらいで…」
キッスは驚いた。それは光の天撃だった。
光が集まってくると、手のひらにほんのり白く光る、小さな玉ができる。
しばらくしてステラが両手を解くと、光の玉はふわっと消えていった。
「でも…こんなの何の役にも立たないよって、みんなに言われちゃって…」
ステラは不安そうに、キッスに尋ねた。
「キッス…こんな私でも、バスターに、なれる…?」
その質問に、キッスは微笑み、ステラに問い返した。
「君は、バスターになりたいんだろう?」
「うん……なりたい。」
「なら、大丈夫だよ。」
「…え……っ?」
小首を傾げたステラに、キッスは続けて話した。
「僕もさ、本当は気が弱いし、強いモンスターと戦うのは怖いって思うこともあるけど…それでも、なりたいと思ったから、僕はバスターをやってる。だから、君もきっと大丈夫だ。」
「キッス…」
「それに、君は光の天撃が使えるんだ。それだけで君は、才能があるよ」
「光の…天撃?」
「うん。君がさっき見せてくれたそれは、光の天撃さ。」
「そうなんだ…!これも天撃…なんだ…!」
キッスはステラに頷いてみせた。
ステラの目に再び、光が宿っていく。
「光の天撃は、使いこなせる人がそんなに多くないんだ」
「キッスも、使える?」
「うん、僕も少しならね。」
「そうなんだ!光と、炎と、それから…?」
「他の天撃かい?」
「うん!」
「僕みたいなタイプは珍しいと思うんだけど…僕は5つの天撃、全て使えるんだ」
「キッス…!すごい、すごい!!」
「君も、使えるようになるかもね。」
「…!!!!」
ステラがびっくりしたように目を丸くし、やがて再び、目をキラキラと輝かせ始めた。
キッスも思わず、笑顔になる。
「君の周りに、光の天撃が使える人はいるかい?」
ステラは首を横に振った。
「じゃあ、光の天撃を教えてくれる人もいない?」
「うん…誰もいないよ」
「そっか。…じゃあ、ここにいる間は、僕が教えてあげるよ」
「ほんとに…!?」
「ああ。」
そう言ってキッスは、手に白い光を集めてみせた。
「すごい…綺麗…!」
「ステラもきっと、このくらいはすぐにできるようになると思うよ」
「本当!!?」
「うん。光の天撃はね、ちょっとコツがいるんだ」
「コツ…?」
「そう。いいかい? 光の天撃はね…」
そう言ってキッスは、ステラに”コツ”を伝えた。
ステラは素直に聞き入れ、それをすぐに実践してみせた。
「わぁ……!!」
手のひらに集めた小さな光はすぐに、2倍にも3倍にも膨らんでいった。
「すごいすごい!!!キッス!!できたよー!!!」
気持ちが抑えられず集中が途切れて天撃が解除されてしまったものの、ステラはそれはもう嬉しくて大はしゃぎしていた。
それを見て、はしゃぎすぎだよ、と言いながらも、キッスも笑った。
そこに、ビィトが部屋に戻ってきた。
「お、どうしたんだーステラ?」
「ビィト!ねえ見て!キッスが教えてくれたの!!」
ステラはキッスに教わったように、もう一度手のひらに光の玉を作ってみせた。
「すっげー!!これって光の天撃じゃねーか!」
「うん!!」
「すげーじゃねぇかステラ!おめー天撃の才能あるんじゃねぇか?」
「えっへへ~!!」
照れたように、嬉しそうに笑うステラの表情には、最初に感じた自信のなさなどはかけらもなくなっていた。
人見知りがとけたこともあって、ステラはすっかり別人のようになっていた。
「ねえキッス、他の天撃も、コツ、ある?」
「光の天撃ほどじゃないけどね。君の天撃を見せてもらったら、アドバイスくらいはできるかも」
「ホント!?」
「でも、今日は遅いから、また明日にしようね」
「うん!わかった!!」
部屋を出ていこうとしたステラは、扉の前で振り返った。
そしてやはり嬉しそうに笑って、
「明日、絶対!約束だからね!!!」
そう宣言すると、パタン!と扉をしめていった。
ぱたぱたぱた…と騒がしい足音が階下に降りていく。
遠ざかる足音を聞きながら、ビィトが笑う。
「キッス、おめぇステラになつかれたみてえだなー」
「天撃のコツをちょっと教えただけだよ。さて、僕もいってくるかな。」
「いらっしゃいませ…」
扉を開けると、大人しそうな女の子がひょこっとカウンターから半身を乗り出す。
そしてビィト達と一緒に帰ってきた宿屋の主人を見るやいなや、ささっとその後ろに隠れた。
大きな背丈の宿屋の主人、その影に隠れるくらいの小柄な女の子が、じっと二人を見つめる。
「ほーらステラ。バスターさんにご挨拶しな。」
「…ステラ…です。よろしく、お願いします…。」
宿屋の主人の服の裾をぎゅっと握りつつ、彼女ーステラは二人に挨拶をした。
「俺はビィト!こいつは相棒のキッス!」
「よろしくね、ステラ。」
ビィトとキッスも挨拶を返すと、
ぺこり、と一礼し、ステラは父の後ろに隠れた。
「いやぁすまんねぇ。引っ込み思案な娘でなぁ。」
隠れつつも、ステラはじっと二人を眺めている。
そんなステラの頭をなでてやりながら、宿屋の主人は笑う。
「こんな娘だけどよ、ステラも村の子らと同じくらいバスターにあこがれてるんだ。仲良くしてやってくれな」
---
夜になった。
宿の夕食が終わり、しばらく経った頃だった。
(コンコンッ。ガチャッ。)
「あの…お風呂の準備…できました…」
おずおずと二人を呼びにきたのは、ステラだった。
「お!じゃあ俺先でもいいか、キッス?」
「うん、構わないよ」
「ありがとなーキッス!おっさきー!」
ビィトがあっという間に支度を整えたかと思うと、部屋を出て階段を下りていく。
それを見送った後、少しの間をおいて、
「あ、あの…っ」
ステラは、思い切ったようにキッスに話しかけた。
「私にも天撃、教えてもらえますか…?」
あの内気そうに見えたステラが、あまりにまっすぐにキッスの目を見て尋ねてきたので、キッスは少し驚く。
「君も、天撃が使えるのかい?」
ステラはこくりと頷き、続けた。
「私も…バスターに、なりたい。あの時のお姉ちゃんみたいに、カッコよくなりたい…」
「あの時の、お姉ちゃん?」
「うん…!」
ステラは一生懸命な様子で、話しはじめた。
「私、昔…この村の門が壊れちゃった時に、モンスターに襲われて…
でもその時に、バスターのお姉ちゃんが助けてくれたの!」
ステラは小さくもまっすぐなまなざしでキッスに話す。その様子に、
ーなんてったって、バスターさんはうちの娘の、命の恩人だからな!
キッスは、この宿屋の主人が言っていた”娘の命の恩人”という言葉を思い出していた。
「そっか、バスターさんが君を助けてくれたんだね。」
「うん!すっごくかっこよくて…!その時に、私も、あんな風になりたい、って思ったの…!」
そう言ってステラは、キラキラと目を輝かせた。
キッスは、当時は自分もこんな風にバスターに憧れていたな、と思い出し微笑む。
しかしその矢先、ステラはうつむいた。
「…でも……私、才能ないかもしれない…」
急にしゅんとするステラに、キッスが尋ねる。
「どうしてそう思うんだい?」
「みんなに言われるの。私…怖がりだし、人見知りだし…天撃も弱いから、向いてないって。」
「そうなんだ。天撃は、あまり得意じゃない?」
「うーん…好きだけど、みんなみたいに強くはない…かな」
そう言ってステラは右手を空にすべらせながら、ゆるやかな風の流れを作ってみせた。
「私が得意なことは、少し風を操ること。それから…」
続けて両手のひらを胸の前に掲げる。
すると、ステラの手のひらに、光の粒が集まってきた。
「こうして…光を集めることくらいで…」
キッスは驚いた。それは光の天撃だった。
光が集まってくると、手のひらにほんのり白く光る、小さな玉ができる。
しばらくしてステラが両手を解くと、光の玉はふわっと消えていった。
「でも…こんなの何の役にも立たないよって、みんなに言われちゃって…」
ステラは不安そうに、キッスに尋ねた。
「キッス…こんな私でも、バスターに、なれる…?」
その質問に、キッスは微笑み、ステラに問い返した。
「君は、バスターになりたいんだろう?」
「うん……なりたい。」
「なら、大丈夫だよ。」
「…え……っ?」
小首を傾げたステラに、キッスは続けて話した。
「僕もさ、本当は気が弱いし、強いモンスターと戦うのは怖いって思うこともあるけど…それでも、なりたいと思ったから、僕はバスターをやってる。だから、君もきっと大丈夫だ。」
「キッス…」
「それに、君は光の天撃が使えるんだ。それだけで君は、才能があるよ」
「光の…天撃?」
「うん。君がさっき見せてくれたそれは、光の天撃さ。」
「そうなんだ…!これも天撃…なんだ…!」
キッスはステラに頷いてみせた。
ステラの目に再び、光が宿っていく。
「光の天撃は、使いこなせる人がそんなに多くないんだ」
「キッスも、使える?」
「うん、僕も少しならね。」
「そうなんだ!光と、炎と、それから…?」
「他の天撃かい?」
「うん!」
「僕みたいなタイプは珍しいと思うんだけど…僕は5つの天撃、全て使えるんだ」
「キッス…!すごい、すごい!!」
「君も、使えるようになるかもね。」
「…!!!!」
ステラがびっくりしたように目を丸くし、やがて再び、目をキラキラと輝かせ始めた。
キッスも思わず、笑顔になる。
「君の周りに、光の天撃が使える人はいるかい?」
ステラは首を横に振った。
「じゃあ、光の天撃を教えてくれる人もいない?」
「うん…誰もいないよ」
「そっか。…じゃあ、ここにいる間は、僕が教えてあげるよ」
「ほんとに…!?」
「ああ。」
そう言ってキッスは、手に白い光を集めてみせた。
「すごい…綺麗…!」
「ステラもきっと、このくらいはすぐにできるようになると思うよ」
「本当!!?」
「うん。光の天撃はね、ちょっとコツがいるんだ」
「コツ…?」
「そう。いいかい? 光の天撃はね…」
そう言ってキッスは、ステラに”コツ”を伝えた。
ステラは素直に聞き入れ、それをすぐに実践してみせた。
「わぁ……!!」
手のひらに集めた小さな光はすぐに、2倍にも3倍にも膨らんでいった。
「すごいすごい!!!キッス!!できたよー!!!」
気持ちが抑えられず集中が途切れて天撃が解除されてしまったものの、ステラはそれはもう嬉しくて大はしゃぎしていた。
それを見て、はしゃぎすぎだよ、と言いながらも、キッスも笑った。
そこに、ビィトが部屋に戻ってきた。
「お、どうしたんだーステラ?」
「ビィト!ねえ見て!キッスが教えてくれたの!!」
ステラはキッスに教わったように、もう一度手のひらに光の玉を作ってみせた。
「すっげー!!これって光の天撃じゃねーか!」
「うん!!」
「すげーじゃねぇかステラ!おめー天撃の才能あるんじゃねぇか?」
「えっへへ~!!」
照れたように、嬉しそうに笑うステラの表情には、最初に感じた自信のなさなどはかけらもなくなっていた。
人見知りがとけたこともあって、ステラはすっかり別人のようになっていた。
「ねえキッス、他の天撃も、コツ、ある?」
「光の天撃ほどじゃないけどね。君の天撃を見せてもらったら、アドバイスくらいはできるかも」
「ホント!?」
「でも、今日は遅いから、また明日にしようね」
「うん!わかった!!」
部屋を出ていこうとしたステラは、扉の前で振り返った。
そしてやはり嬉しそうに笑って、
「明日、絶対!約束だからね!!!」
そう宣言すると、パタン!と扉をしめていった。
ぱたぱたぱた…と騒がしい足音が階下に降りていく。
遠ざかる足音を聞きながら、ビィトが笑う。
「キッス、おめぇステラになつかれたみてえだなー」
「天撃のコツをちょっと教えただけだよ。さて、僕もいってくるかな。」
