第三章 ファミリー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
しばらく、僕は真っ暗な布団の中で、息をしていた。
そして、自分がどうしたいのかをもう一度考えてみた。
僕は、もう一度ディーノと話がしたいと思った。
夕食を持ってきてくれたソフィアに、
さっそく今日あったことを話した上で、
ディーノともう一度話がしたいことを伝えた。
そして翌日、ディーノは僕の部屋に来てくれた。
「昨日は、ごめん。」
ディーノは、また僕に謝った。
「…いや、僕の方こそ。急に変なことを聞いて、悪かった。」
少しの間をおいて、僕は話し始めた。
「……昨日、考えていたんだ。
ディーノが言っていた人のことは、今も分からない。
でも、僕の記憶が戻れば、その人のことも思い出せるかもしれない、って。」
ディーノの目が、驚きに見開かれる。
「フィリ、と、ディーノは言ったよね。
その言葉を聞くと、何だかこのあたりが、ざわざわしたんだ。」
僕は自分の心臓あたりにそっと手を当てて示した。
フィリ、という名前を唱えたせいか何なのか、心臓の鼓動がいつもより、少し強く感じる。
「僕は、自分が誰だったのか、知りたいと思っている。
僕が今まで何をしてきたのか…僕は誰、だったのかを。
それに、僕が誰だったのかを知ることが、ディーノのためになるかもしれないと思ったんだ。
だから、わがままな願いかもしれないが…僕に協力してくれないか、ディーノ。
僕の記憶を、取り戻すために。」
僕は、ディーノに伝えようと思ったことを伝えた。
心臓の上に当てた手に、どくん、どくん、と自分の鼓動が伝わってくる。
強く、鳴らされる心臓。
僕は今、生きている―。
ディーノは僕の話を聞いた後、ふぅーっと細く長く、息を吐いた。
そして、こう言った。
「お前の気持ちは、わかった。」
穏やかなまなざしが、僕を見る。そして、
「もちろん協力させてもらうぜ。フィリ。」
僕に向かって、彼はそう、言った。
「……えっ………?」
「お前の記憶が戻って、本当の名前を思い出すまで。
それまで、この名前を預かっておいてくれないか?」
「それって…」
「それまでは、お前のこと、フィリって、呼んでいいか?」
自分の中の心の波が、ざああぁぁっと揺れるのを感じた。
それが良いことなのか悪いことなのか、僕には分からない。
ただ、大きく揺れるのを、感じていた。
それと同時に、かすみがかったようにぼんやりしていた自分が、
輪郭をなしていくような感覚があった。
フィリ。
フィリ。
「………わかった。僕が、その名前を預かる。
僕の本当の名前がわかるまで、だね。」
それが”かりもの”の名前だとしても。
僕はいま、自分がここにいるという感覚をただ、感じていた。
そして、自分がどうしたいのかをもう一度考えてみた。
僕は、もう一度ディーノと話がしたいと思った。
夕食を持ってきてくれたソフィアに、
さっそく今日あったことを話した上で、
ディーノともう一度話がしたいことを伝えた。
そして翌日、ディーノは僕の部屋に来てくれた。
「昨日は、ごめん。」
ディーノは、また僕に謝った。
「…いや、僕の方こそ。急に変なことを聞いて、悪かった。」
少しの間をおいて、僕は話し始めた。
「……昨日、考えていたんだ。
ディーノが言っていた人のことは、今も分からない。
でも、僕の記憶が戻れば、その人のことも思い出せるかもしれない、って。」
ディーノの目が、驚きに見開かれる。
「フィリ、と、ディーノは言ったよね。
その言葉を聞くと、何だかこのあたりが、ざわざわしたんだ。」
僕は自分の心臓あたりにそっと手を当てて示した。
フィリ、という名前を唱えたせいか何なのか、心臓の鼓動がいつもより、少し強く感じる。
「僕は、自分が誰だったのか、知りたいと思っている。
僕が今まで何をしてきたのか…僕は誰、だったのかを。
それに、僕が誰だったのかを知ることが、ディーノのためになるかもしれないと思ったんだ。
だから、わがままな願いかもしれないが…僕に協力してくれないか、ディーノ。
僕の記憶を、取り戻すために。」
僕は、ディーノに伝えようと思ったことを伝えた。
心臓の上に当てた手に、どくん、どくん、と自分の鼓動が伝わってくる。
強く、鳴らされる心臓。
僕は今、生きている―。
ディーノは僕の話を聞いた後、ふぅーっと細く長く、息を吐いた。
そして、こう言った。
「お前の気持ちは、わかった。」
穏やかなまなざしが、僕を見る。そして、
「もちろん協力させてもらうぜ。フィリ。」
僕に向かって、彼はそう、言った。
「……えっ………?」
「お前の記憶が戻って、本当の名前を思い出すまで。
それまで、この名前を預かっておいてくれないか?」
「それって…」
「それまでは、お前のこと、フィリって、呼んでいいか?」
自分の中の心の波が、ざああぁぁっと揺れるのを感じた。
それが良いことなのか悪いことなのか、僕には分からない。
ただ、大きく揺れるのを、感じていた。
それと同時に、かすみがかったようにぼんやりしていた自分が、
輪郭をなしていくような感覚があった。
フィリ。
フィリ。
「………わかった。僕が、その名前を預かる。
僕の本当の名前がわかるまで、だね。」
それが”かりもの”の名前だとしても。
僕はいま、自分がここにいるという感覚をただ、感じていた。
1/1ページ