第二章 緑の景色の中で
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やがて僕は、歩みを止めた。
日かげと日なたの、はっきりと引かれた境界線が、そこにあった。
どうして立ち止まったのか、自分にも分からなかった。
それはただ日かげから日が当たるところへ行くだけの境界線で、
もちろん壁があるわけでもなんでもない。
それなのになぜか、意識の中で
その境界線を越えるのをためらっていた。
きっちりと線をひかれたその向こうには、
暖かそうな日だまりが静かに横たわっているだけだ。
なぜためらっているのか分からなくて、
自分でもどうしていいか分からなかった。
その時。
「もう起きても大丈夫なのか?」
―この声は確か…。
顔を上げると、向こうにディーノが立っているのが見えた。
「ディーノ…」
彼は名前を呼ばれると、僕に微笑んだ。
「ああ、ディーノだ。よく覚えていてくれたな」
中庭に降りて来たディーノは、
僕と向かい合うような形で立ちどまった。
そこはちょうど、僕のいる日かげの、
その境界線の向こう側だった。
日なたにいるディーノの金色の髪は、
太陽のようにきらきらと輝いているように見えた。
ディーノは、その境界線の向こうで、僕に手を差し出す。
「ほら、お前もこっちに来いよ?」
日のあたる場所から、風が吹いた。
まるで僕を誘うように。
ディーノにとってその動作は、きっと何でもないことだったんだと思う。
けれど僕にとっては、特別なことのように思えた。
「…わかった。」
僕は、彼の手にそっと自分の手を差し出し、一歩踏み出した。
僕の足が、境界線を、越えた。
日かげと日なたの、はっきりと引かれた境界線が、そこにあった。
どうして立ち止まったのか、自分にも分からなかった。
それはただ日かげから日が当たるところへ行くだけの境界線で、
もちろん壁があるわけでもなんでもない。
それなのになぜか、意識の中で
その境界線を越えるのをためらっていた。
きっちりと線をひかれたその向こうには、
暖かそうな日だまりが静かに横たわっているだけだ。
なぜためらっているのか分からなくて、
自分でもどうしていいか分からなかった。
その時。
「もう起きても大丈夫なのか?」
―この声は確か…。
顔を上げると、向こうにディーノが立っているのが見えた。
「ディーノ…」
彼は名前を呼ばれると、僕に微笑んだ。
「ああ、ディーノだ。よく覚えていてくれたな」
中庭に降りて来たディーノは、
僕と向かい合うような形で立ちどまった。
そこはちょうど、僕のいる日かげの、
その境界線の向こう側だった。
日なたにいるディーノの金色の髪は、
太陽のようにきらきらと輝いているように見えた。
ディーノは、その境界線の向こうで、僕に手を差し出す。
「ほら、お前もこっちに来いよ?」
日のあたる場所から、風が吹いた。
まるで僕を誘うように。
ディーノにとってその動作は、きっと何でもないことだったんだと思う。
けれど僕にとっては、特別なことのように思えた。
「…わかった。」
僕は、彼の手にそっと自分の手を差し出し、一歩踏み出した。
僕の足が、境界線を、越えた。