エルリ



 カウントダウンを間近に迎えた世間は、画面越しに騒がしい。番組のクライマックスに着飾った歌手たちが歌いあう。リヴァイはエルヴィンの体にはまり込むように、ふたりしてこたつに潜って華やかな画面を眺めていた。
「今年ももう終わりだな」
 もう年越しそばを食べ終わってしまって、こたつの上には空になったどんぶりが並ぶ。
「あぁ、来年もよろしく頼むよ。リヴァイ」
「おう」
 丁度テレビの奥の画面に大きく10が表れて、歌手たちがカウントダウンを始める。エルヴィンはリヴァイの顔を引き寄せて頬にキスを送り、こたつの中で足を絡める。
「おい、エルヴィン、」
 テレビの音はさらに騒がしくなっていく。
ちゅっちゅ、と派手にリップ音をたてながらキスを続けると、リヴァイは恥ずかしそうに身をよじった。0になると、音と共に紙吹雪が舞い、テレビに映る西暦が一つ進む。
「あけたね、リヴァイ。」
「ん、おめでとう」
 もう一度、唇にキスをする。
「…それにしても、よくお前は俺で飽きないな」
「飽きるわけないだろう、俺はリヴァイがずっと好きなのに。うっかりしたら他の男にとられるんじゃないかって心配なんだ。」
「……真顔で言うな、…恥ずかしい…」
 照れるリヴァイを見て、エルヴィンは追い打ちをかけるように耳元で囁く。それから、リヴァイはこたつ布団に顔を埋めてしまった。
「そうだ、明日初詣に行こう」
 言って、エルヴィンはリヴァイのうなじにキスをした。

******

「エルヴィン、起きろ。」
 リヴァイはカーテン越しの光に気づいて目を覚ます。初詣に行く約束を思い出して、エルヴィンの肩をゆすった。結局、こたつの中ですっかり眠ってしまった二人は、初日の出を拝むことなく新年の朝を迎えた。
「ん…」
 大きな欠伸をしてから、エルヴィンは間抜けた声でおはよう、と答える。リヴァイはエルヴィンに抱えられたままで、起き上がろうと体をもそもそ動かした。しかし、エルヴィンはぎゅっと抱きしめてしまう。
「おい、エルヴィン。初詣行くんだろう」
「……」
 エルヴィンは青い目でリヴァイを見つめる。リヴァイの頭の上にクエスチョンマークが並ぶが、お構いなしの様子で、しばらくそのまま。いきなりにっこりと笑うと、うん、と満足げに頷いた。素晴らしい自己完結である。
「リヴァイ、好きだよ。」
 リヴァイはその鋭い目を丸くして驚き、固まった。エルヴィンが唐突に好きだ、というのは常であるのだが、リヴァイとしては一向に慣れない。唐突すぎて慣れられないのだ。
「やっぱり、リヴァイの顔を見ると恋をしてるんだって実感する。」
「お、おぅ……」
「何度もそう思うんだよ。リヴァイが好きで堪らないんだ。」
「わかった、わかったからもういい加減俺を離せ。初詣行くぞ」
 エルヴィンは一言謝ってからリヴァイを解放した。
こたつから出ると、ストーブを切った部屋は寒く、冷え切ってしまっている。
「寒いな、初詣に行きたくなくなる。」
「行こうっつったのはお前だろ」

 二人とも準備をして、コートを着込んで明け方の街を並んで歩く。来年もこうなればいいと、リヴァイはこっそり思っていた。
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