１
【宵々】
夜が来た、また空気が冷える。
腹の底からゆっくりと、芯の芯まで寒々と。

熱が恋しい、光が恋しい。

彩り豊かな浴衣の波は目に映らない。
賑やかな祭り囃子の流れも耳に入らない。

貴方は一体、何に震えているのだろう？



２
【回遊】
ゆらりゆらゆら、くるりくらくら。
ゆったり揺れて、ゆっくり回って。

何度目だろう、あの景色。
幾度目だろう、この憧憬。

ぼくは、わたしは、未だこの場にとらわれている。



３
【烈火】
空気を、酸素を飲み込み、赤く紅く燃え上がるのがこの世の条理。
ならば非条理は？

空気ではなく街を、酸素ではなく人を、それらを飲み込み燃え上がるのは。
それもまた、この世の条理になる、なってしまう。

火の文明を手にしたときから始まった熱く焦げ臭い世界はどこまでも……。