随想録 Ⅰ


哀しき性



ヒトは『欲望』のままに動く、そんな生き物。
それ故にたくさんの悲劇が生まれる。
だけど誰も気がつかない。
気づいても見ないフリ。

何故?
それはヒトが自分自身の欲を満たす、ただそれだけのために動いているから。
どれだけの犠牲が出たって気にならないから。

「そんなの間違ってる」なんて誰かが叫ぶ。
だけどそんな綺麗事は誰にも通用しない。
心の奥底には正反対の考えが渦巻いているのだから。

どんなに純粋なヒトだって、どんなに誠実なヒトだって、心の中には暗く穢れた部分を隠し持っている。
ヒトによってはそれを上手く隠しているだけ。

闇に呑み込まれてしまえばヒトは簡単に壊れていく。
一度闇に染まればその穢れを拭うのは不可能。
些細なコトで壊れ穢れる、ヒトの弱い部分。

逃れるコトは決して出来ない。
ましてや拒むコトさえも。
心に潜む闇はヒトの哀しき性なのだから……。
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