郷に入っては郷に従え
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もぐもぐ、ガツガツ、ムシャムシャ。
僕は目の前の光景を唖然として見ていた。
次々と運ばれてくる大量の料理が、次々とエースの中に吸い込まれていくのだ。
一応たくさん食べるということは知っていたが、目の前で見るとこうも圧倒されるのか。
兄弟揃ってなんという胃袋。
「んめェなこの店!」
『あ、うん……そうだね……』
僕は普通にパスタを注文したのだが、正直エースの食いっぷりばかり気になって味がわかってない。
多分おいしい。
隣に座っているマルコさんはといえば、特に気にする様子もなく黙々と料理を口に運んでいた。
動じていない様子に、さすが…とこれまた驚きの表情でマルコさんを見てると、その視線に気づいたのかこちらを向いた。
そして咀嚼を終えると、
「驚くのはこれからだよい」
とだけ言って、また料理に向き合ってしまった。
これから…?
これ以上に何があるというのだ、と思いつつ、エースに視線を戻すと変わらずムシャムシャと食べ続けていた。
特に量にもスピードにも変わりはない。
一体何が、__
ガンッ!!
『うわっ?!!』
まじまじと見ていたら、いきなりエースが机に…いや料理に突っ伏した。
__そうだ、忘れてた。
エースはなぜだかご飯を食べてる途中に寝てしまうのだ。
『…え、エース…?』
「面白ェだろ、こいつメシ食ってる途中いきなり寝るんだよい」
そう説明してくれるマルコさんだが、エースを一瞥もしなかった。慣れていらっしゃるようだ。
僕が小学生だったらぜひとも自由研究のテーマにしたいくらいの謎である。
『え、エースー…』
恐る恐る声をかけるも、一向に起きる気配はない。
「ほっといてもすぐ起きるよい」
確かに漫画ではそうだった。フィクションと言われればそこまでだが、メカニズムが分からなすぎる。
「ブホッ?!」
『うぇっ!?』
いろいろ思案していたが、突如エースは起き上がった。
眠そうな目をキョロキョロとさせて、「おお、寝てた」とお決まりのセリフを言っては食事を続けるのだから、不思議極まりない。
驚きもしたが、一連の流れを間近で見れた感動と、あまりにもおかしい出来事で、僕は堪えきれずに笑ってしまった。
それに対して、当の本人は首を傾げるだけだった。
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