郷に入っては郷に従え
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その後はもう、店員さんの独壇場。
僕の体型にあったものを次々勧めてくる。たまにぶっ飛んだものもオススメされるが、それ以外は割とカジュアルでかつ動きやすそうな服ばかり。
気に入った上下三点(あと下着や靴もね!)を選んで、二人にも見せようとしたら、彼らも服を見て悩んでいた。
彼らも何か買うのかなと思ったら、僕の視線に気づいたエースが「なあ、」と声をあげた。
『どうしたの?』
「こっちとこっち、どっちが良い?」
見せてきたのは、黒のハーフパンツと紺のハーフパンツ。色違いのようだ。
どことなくエースが今履いてるものに似てる気がする。
似たようなものを集めて着るタイプなのかな。
そうなると色違いの紺の方が新鮮味がある?
いや、でも。
『うーーん…黒かなあ』
そう言うと、エースはやっぱりな、といった様子でにっと笑った。
「やっぱ色も揃ってた方がいいよな」
エースは紺のパンツを戻すと、黒の方をこちらに渡してきた。
『え?』
「俺と、お揃い」
なんてな、とまた爽やかな笑顔を向けてくれた。
『…………はわわ』
理解するまでに時間を要したが、つまりは僕とエースとでお揃いで着ようという事か。だからサイズも少し小さめなのだ。
好き…。
全てを察したような店員さんは、あらあらといった様子で微笑んでいた。
「お兄様と仲がよろしいんですね」
『おに、……はいっ』
そうだ、僕らは兄弟なんだ。
周りから見てもそう思われるのか。
すごく嬉しいけれど、やはりまだ慣れない。少し恥ずかしい。むず痒い感じだ。
僕ら二人はへへへ、と笑いあった。
「そろそろ決まったかよい」
『あ、はい!何着か…あ、マルコさんも買うんですか?』
彼の手にも、数着服が握られていた。
その事を言うと、彼は若干目を逸らしながら気恥ずかしそうに言葉を漏らした。
「…遠慮してあんま選ばなそうだと思ったからよい、」
『…………はわわわ』
理解するまで(割愛)、つまりは僕のために服を選んでくれたのだ。
彼が言う通り正直僕は遠慮していた。買ってもらうのに、そんな何点も選ぶのは申し訳なかった。
それを見越して、彼も選んでいたという事だ。
好き…。
『あ、ありがとう、ございます…』
やっぱりむず痒い。
また察した様子の店員さんは、先ほどよりもニコニコと微笑んでいた。
「優しいお父様ですね」
この言葉に吹き出したエースに、またもや立派なたんこぶが出来たのは言うまでもないだろう。