郷に入っては郷に従え
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サッチから出されたコーヒーを片手に、マルコさんは新聞を眺めていた。
僕は食後のココアを飲みながら、その横顔をチラチラ盗み見ていた。
何でこんな事をしているかって、朝ご飯はもう食べ終わり、サッチはキッチンで他の船員さんと忙しなく働き始めたようだし、特にする事もなくなってしまったからである。
つい昨日仲間入りしたわけだが、勿論見知らぬ方とフレンドリーに喋れるはずもなく、隣のマルコさんも新聞を読み始めたわけで、折角だからその様子を見させて頂いているというわけだ。
それにしてもコーヒーを飲みながら新聞を読む姿がとても様になっている。
ここまで似合う人なんて、よくある父親像くらいではないだろうか。
…つまりマルコさんはパパ…?
「…さっきから何チラチラ見てんだよぃ」
『ば、バレてた』
「いやお前が露骨過ぎだからだろぃ…」
『申し訳ない…』
「何か用かよぃ」
何か用かと言われてしまえば、特に用はないのだ。
本当にただ言葉通り、見ていただけなのだから。
と、言うのも申し訳ないので、他の用を考えてみる。
『ええと…………あっ、次の島の上陸予定とか…教えて頂けますか…?僕私物何もないのさすがにやばいかなって』
「ああ、確かに服とか必要だねぃ。いつまでもその堅っ苦しい服じゃ疲れるな」
そうなんですよ。
驚いた事に、実は僕、まだ学生服なんです。
ああ大変。そろそろ着替えたい。
「詳しいこた分からねえが、…まあ早くて数日後ってところかよい」
『げ、げえぇ』
「んな潰れたカエルみてえな声出すなよい…」
『だってぇ…』
多分豪快な海賊の皆さんは、着替えだのお風呂だのは数日おきなのかもしれないけれど(偏見)、さすがに、さすがに着替えさせてくれ…!
そんなことを思いながら項垂れていると、食堂に入って来た一人の船員さんが少々大きめな声である言葉を告げた。
「なんか新しい島が見えてきたみたいだぞ!」
『…お?』
僕の目を輝かせるには、十分な言葉だった。
そんな目でマルコさんを見上げると、彼は呆れたような笑みを浮かべつつ、ため息混じりに呟いた。
「つくづく、運の良い奴だよい」