郷に入っては郷に従え
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まぶたの裏に微かな光を感じ、ゆっくりと目を開ける。
それが窓から差し込む陽の光だと気付くのには、あまり時間はかからなかった。
つまり自分は寝ていて朝になったのだと、普段の習慣からすぐに理解出来た。
寝ぼけ眼でむくり、と体を起こす。
今は何時だろう、もしかしたらもう学校に行く準備をしなければいけないかもしれない、そう思って目を擦りながら布団脇に置いた時計を探る。
何かに触れた。
だがしかしその感触は時計の無機質なものではなく、もふっとした柔らかなものだった。
自分の布団脇にはぬいぐるみなんて置いていただろうか。いや、置いていないはず。
不思議に思って、その感触の先まで目を向ける。
「………ん…」
人。
髪が黄色い。
どこか南国の果実を連想させる髪型。
どうやら僕はその髪を触っていた。
誰。
脳が理解するよりも先に、僕は叫んでいた。
『…う、うわあああああああああ!!!!!!!!!!!母さーーーーん!!!!!!僕の隣に変な人がああああああ!!!!!!!!!!!』
「うおぁあ??!!!!な、何だよぃ!!!!」
しまった。起こしてしまった。下手に刺激してはマズイ。隠れなきゃ。
自分で言うのも癪だが、昔から備わっている僕のビビり本能が瞬時に状況を判断し、即座に体が動いた。
慌てて毛布の中に身を隠す。
『あわわわわわわごめんなさいごめんなさい許してください僕はひ弱な人間です家も一般家庭です金目のものは一切ございませんのでもし良ければ金持ちの鈴木くんの家に行ってくださいごめんなさいごめんなさいごめんなさい』
自分の安全のためとは言え、友達を売ったのは正直自分でも最低だと思いました。ごめん鈴木。
毛布の中でぶるぶる震えていると、心底呆れたようなかなり大きいため息が聞こえた。
そして勢い良く布団を剥がされる。ジ・エンドオブ僕。
「何寝ぼけてんだよいケイ!!!」
『…ほえ』
せめてもの抵抗でうずくまっていたが、何故か名前を知っていたようなので恐る恐る顔を上げると、予想通りの心底呆れた顔をしていたが、見知った顔があった。
『……マルコさん』
「ったく…朝っぱらからンな大声出すなよい…頭に響く」
そう言って不機嫌そうにしながら再びボフッ、と枕に頭を預け、目を閉じた。
現状を確認するためもう一度目を擦り、頬も抓る。
『……夢じゃ、なかったん「ケイ!!!!どうしたあああああ!!!!」………サッチ…!』
勢い良くドアが開け放たれ、血相変えて部屋に入ってきたのは昨日も見た顔。
ああ、やっぱり夢じゃない。