欣喜雀躍
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おまけ
この船員の中で確実と言って過言ではないほど最弱の、新しい家族の歓迎目的で開いた宴は、日が沈んでも続いていた。
だが、その主役はといえば。
『もう食えにゃい…むにゃ』
幸せそうな顔をしながら、本人が飲んだわけではない空いた酒瓶を抱えて、一人夢の世界へと旅立っていた。
それに気づいたのは、1番隊隊長と4番隊隊長の二人。
「おいおい、ケイ寝ちまったよい」
「マジだ、慣れない環境で疲れちまったんかな」
世間で言うおやつの時間から始まった宴は、未だ終わる気配を見せない。
普通の人間だったらここらで少し疲れも見えてくるだろうが、さすがと言うべきか。
誰も疲れた気配はなく、むしろ夜が更けていくにつれてヒートアップしていく。
しかし、この中で最弱かつ一般人かつ言ってしまえば子供であるケイは、サッチが言うように慣れない環境ということもあり、早々に力尽きてしまった。
すやすやと規則正しい寝息を立てる新しい弟の幸せそうな寝顔に、自然と口元が緩くなる。
「…ここじゃ体痛くするだろうから、ベッドに寝かせてくるよい」
しかしながらケイの体を抱えようと伸ばしたマルコの腕を、不意にサッチが掴み、そしてケイを起こさないよう小声で話し始めた。
「待て、それはお前の部屋じゃねえだろうな?」
その言葉にマルコは、こいつは何を言っているんだと怪訝な顔をする。
「…いや、まあ、今の話の流れ的にはそうだろうよい」
「だったら俺の部屋に連れてく!」
「いや、なんでだよい」
「可愛い弟と一緒に寝たい!!!!」
「バカかお前は!!余計預けらんねえよい!!!」
「いーじゃねーか別に!!お前だけ良い思いしようったってそうはいかねえぞ!!」
「あのなあ、確かにこいつはベッドに寝かせるが、俺はソファで寝るつもりだよい!!」
「お前それでいいのか!!勿体ねえだろ!!!!」
「どっちだよぃもうめんどくせェな!!!!」
彼らは一応小声である。
いつまでも平行線を辿るこの論議に、いらぬ口出しをするのは彼らの言い合いに気付いた2番隊隊長。
「なら俺の部屋に連れてこーぜ!!」
「「お前の部屋は汚いからダメだ」」
「ヒッデ!!!!」
__結局、言い出しっぺのマルコが半ば強引に言いくるめて、自室のベッドに寝かせる事に落ち着いた。
甲板に戻ってくると、サッチに納得のいかないような目で見られ続けたのは、言うまでもないだろう。
それから、主役の居なくなった宴が終わったのは、日が変わってからだった。
当の本人はそんな事は露知らず、かけられた毛布に包まりながら、これが夢ではない事を片隅で願いながら、すやすやと幸せそうに眠っていた。