欣喜雀躍
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「じゃあ1番ハルタ!歌いまーす」
「おっ、いいぞハルターーー!!」
こんにちは、ケイです。
絶賛受験生だった僕ですが、何が起きたか突然ONE PIECEの世界へとトリップしてきました。
そうしてたくさんの奇跡が重なり、無事白ひげ海賊団入りを果たしたワケです。
ワケですが。
「飲んでるかケイーーー!!!!」
『いたっ、痛い、痛いよサッチ!!』
只今、甲板にて僕の為の歓迎会的な宴が開かれています。
これがまた、何というか。
「2番エース!火の輪くぐりまーす!!」
「ギャッハッハッハ!!エースそりゃお前だと意味ねーだろ!!!!」
「うるせーーー!!」
新年会のような隠し芸大会のような、おっさん達の飲み会のような。
宴といったら、こういうモノなのかもしれないけど。
とにかくみんな、お酒をがぶ飲みして完全に出来上がっている。
僕は未成年だから、ご厚意のもと用意されたオレンジジュース。そして目の前に並べられた料理をつまむ。美味しい。
さっきから肩をバシバシ叩いて絡んでくるサッチも、何だかお節介な上司みたいだ。
『いたたたた、痛いって、痛い痛い!』
「んん~~~~??なーにちびちびジュースなんか飲んでんだよ」
『未成年だから、僕未成年だから!!!!』
「未成年とか関係ねーよ!!海賊だろ!!!飲め!!!!」
『関係ある!!あるから!!ギャーーーーッッッ!!!!やめ、ちょ、やめい!!誰か助けて!!!!』
手に持っていた酒が注がれたジョッキを、無理やり飲ませようとしてくるサッチ。
さすがにこの年で飲酒する訳にもいかない。人間として。モラルの問題。
サッチと飲む飲まないの攻防を繰り広げていたら、迫りくる影一つ。
「ケイが困ってるだろうがよぃ」
「いてっ!!」
『救世主 -メシア- …!!』
サッチの頭を叩いて、僕を助けてくれたマルコさん。
今ならそのヘアスタイルも何もかも輝いて見える。
「いってーな…ただの冗談じゃねえかよ…」
叩かれた事で少し乱れた自慢のリーゼントを、どこから出したか、くしで器用に直すサッチ。
『嘘だッッ!!!!』
「何かもう…傍から見たら、ガキに言い寄る“そういう奴”みてぇだったよい」
「酷ェ!!!!!」
思いの外辛辣な言葉にショックを受けたサッチは、僕に背を向けつつ膝を抱えている。
マルコさんはといえば、空いているもう片方の隣へと座った。
挟まれた。
「どうだい、俺らの船は」
マルコさんは、片手に持ったジョッキをぐい、と煽りながら、僕を横目に尋ねた。
『すごく楽しいです!みんな良い人そうだし……やっぱりこの船にして良かったです!』
「だろうよぃ。こんな最高な船、他には無いよい」
『はい!僕、最っ高に幸せです!!』
幸せ過ぎて、さっきから頬が緩みっぱなしだ。だらしない顔が、余計だらしなくなる。
緩み切った顔を見て、マルコさんは目を見開いた後、ふっと微笑んだ。
「そりゃ、良かったよい」
『…!』
貴重な表情を見てしまった気がする。
何だかそれ以上見たら大人の男の色気にやられそうで、すぐさま目を逸らした。