断じて行えば鬼神も之を避く
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「……顔上げろ、ハナタレ」
『は、はひっ、!!?』
急に声をかけられて、声が裏返ってしまった。
急いで顔を上げた先に見えたオヤジの顔は、どこか呆れ気味で、どこか優しげだった。
「ったく、見るからに弱ェのに、それでも一丁前に覚悟とやる気だけはあるってか……グラララ!気に入った、今日からお前は白ひげ海賊団だ!」
『………えっ』
思わず目が点になる。
「俺の事は他の息子にならって、オヤジとでも呼べ。末のバカ息子」
『えっ、えっ』
「グララ……どうした、末っ子じゃ不満か?弱ェし小せェし、適任だ」
『いや不満じゃな、えっ、ぼ、ぼぼぼ僕採用されたんですか……??!!!』
「家族に採用もクソもあるか」
その一言にようやく、目からウロコ、とでも言うのだろうか。
飲み込めなかった状況が、どんどん脳内に染み渡る。
てっきり出てけと言われる事を覚悟していたのだが、何の奇跡が起こったか。
どうやら僕は、白ひげ海賊団の一員に加われたようだ。
『……オヤ、ジ…』
「何だ、バカ息子」
僕を見下ろすその目は、優しさに満ちていた。
__ずっと、本人に言いたかった。
船員を息子として受け入れる、その懐の広さ。
理想の父親。
理想の、オヤジ。
「グララララ!泣く程嬉しいか」
『っ、……嬉し、です…うぇっ、…』
「ハナタレは所詮ハナタレのままだなァ。…新しい息子も増えた事だ、……マルコ!」
「呼んだかよい」
気を使ってか、僕とオヤジが話を始める時に出て行ったマルコさんが、扉を開いて再び中に入ってきた。
もしかして、ずっと待っていたんだろうか。
「この新しい末の息子を、歓迎してやれ」
「んなら…まだ日は高いが、宴にするかよぃ。他の奴らに知らせてくる」
「ケイ、お前も着いていけ。手っ取り早く親睦でも深めてこい」
『あ、は、はい!』
オヤジにそう言われたら、着いていかない訳にはいかない。
小走りでマルコさんの元へと向かう。