基本私はメイクをしない。
日焼け止めを塗って、粉をパフパフするくらいがデフォルト。(それすらもしない日が多々ある)
眉毛がしっかり濃くあるので、まぁそれなりに見えるだろうとタカをくくっている。
とても接客業をしているとは思えない精神だ。

今日のお昼休憩は後輩と一緒になった。
彼女は、休憩が終わる15分前から化粧直しを始めた。
私もつられて、化粧ポーチに手を伸ばした。
たまにはしなきゃね…そんなことを思いながら、白粉を付け直し、チークを重ねた。
ここまで1分とかかっていない。
しかし後輩はまだ、おなおし中。
さらに私はアイシャドウを手につかんだ。
まぶたの上に、薄い色から順番に重ねていく。
ダークブラウンをまぶたのギリギリに重ね完成のはずが、私の手は慣れた手つきでそのまま目尻方面の下まぶたを塗りつぶしてしまった。
『………』
こ…これは…居酒屋にだけバイト行くときのゴリゴリメイクではないか…っ！
(居酒屋のバイトでは、比較的若い男性に声をかけられることが多いので、いつも頑張ってメイクしている)
本業ではこんな真っ黒の目にしたことがないというのに…恥ずかしすぎるぜ！
後輩はきっとそんなことには気づいてはいないだろう。
私は顔を伏せ、下まぶたを虚しくこすった。