君の願い
『ねぇ…どこ行くの??』
泣き止んだばかりの香笑だけど
まだどこか涙声だった
そんな今にも壊れそうな香笑の手を俺は離さなかった
「俺ん家
次の駅でおりたらすぐ着くから」
『あの…でも……急にお邪魔しちゃっていいのかな…??』
「俺一人暮しだし
俺ん家だったら香笑…まわり気にせず泣けるかなって思って」
恋愛に苦しさって付き物なんだろうな…
こんなに苦しいって思ったのは…マジで久しぶりかも
俺は…何がしたいんだろう…
「…で??
どうしたんだ??」
俺の部屋について香笑が落ち着いたところで聞いてみる
『そんな…たいしたことじゃないんだけどね…
私は…仁の…なんなのかな…??』
また泣き出しそうな香笑は震えだした
「火傷すっぞ…」
今にも中身が零れそうなコーヒーカップを香笑の手から奪った
「香笑…泣きてぇの我慢しなくていぃんだからさ…」
香笑は顔を覆って涙を流した
『でもッ…でも……』
「まだ香笑にできることは
あるはずじゃね??」
コクコクと泣きながらも香笑は頷いた
「辛いなら…いつだって頼ったっていいんだ…
いつでも…ここにきていいから」
とりあえず俺は香笑を励ました
早く元気になって欲しい
笑顔の香笑が見たいから
『もう少しだけ…
頑張ってみるね』
最後に香笑はこう言った
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