君の願い
香笑のことがすきだと気づいた
でも俺は特に何もしなかった
香笑は赤西をすきでいるから
いつの間にか俺は臆病になっていた
今日も三人でメシ…
あんまり乗り気ではない
でも二人は俺を待っていてくれるから…重い足取りで食堂に向かった
すると食堂のすぐ近くでばったりと香笑に会った
「あれ??…香笑…メシは??」
『え…と……レポートが…』
おどおどして俺と目を合わせようともしない
まずレポート書けなんて言われてねぇし
「…ばーか」
『ちょ…バカって…どうして!?』
その時香笑とやっと目が合った
「私は辛いです…って顔に書いてあんだよ」
どうせ赤西絡みのことだろうけど…
『え!?ホントに!?』
そう言ってすぐさま顔を隠す
マジで書いてあるわけねぇし
「バカだな…」
健気すぎんだよ…香笑は
俺はそっと香笑の頭に触れた
『……ッ』
すると香笑は涙を流した
「あーあ…ひっでぇ顔してんぞ」
『だっ…て………ッ』
「……無理してしゃべんな」
このまま赤西のところになんてやれねぇ…
俺は香笑の手を引いた
『わッ』
香笑に無理はさせたくない
俺はもう授業をサボる気満々だった
赤西には≪香笑とレポート仕上げるから一人でメシ食って先に帰っといて≫とメールをしといた
香笑のウソに乗ることが唯一できる俺の優しさだった
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