｢仁また女子口説いてる｣


｢相変わらずだねー｣






あ………ありえない




初対面でこんな………



って言うか今日入学式で…



高校生活最初で…



新しいクラスで…




始めが………始めが肝心なときにこんな………





｢あれー??固まっちゃってる??｣




彼は私の目の前で手を振った




｢………やめてよ｣




｢んー??｣



首を傾げる彼を睨んだ


｢私､あんたみたいな奴キライだから｣




本当は殴ってやりたかった



だけどっ!!



だけど今日は大事な日!!



悪目立ちはしたくない!!




｢ぶはっ!!｣



｢なっ…｣



彼は笑いながら私の頭に触れた



｢俺､この子にフラれた!!あと言い忘れたけどこのクラスの女子みんなカワイイね!!大好きだよ!!｣



教室中に聞こえるような声で彼はそう言い放った



そして教室は爆笑の渦に包まれた










この事件は､みんなに同情されて事なきを得たけど…




最悪な一日だった





こんなつもりじゃなかったのに



もっと華やかで､輝いてて…楽しくて



すきな人なんかもできちゃったりして…



恋もできたらいいなぁ



なんて…思ってた私はまだまだ甘かったのかな………








彼との出会いは､決していいものではなかった━




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